自転車で相手方に怪我をさせてしまった加害者の方へ

1.はじめに

自転車に乗っていたら、歩行者とぶつかってしまい、けがをさせてしまった。

このような場合、どのような責任を負うことになるのでしょうか。

この記事では、自転車事故で相手方に怪我をさせてしまった方の責任等に関し、解説します。


2.加害者の責任

交通事故の加害者には、刑事上の責任及び民事上の責任の2つの責任があります。


(1)刑事上の責任

刑法209条は、「過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金または科料に処する」という過失傷害の罪を定めています。

そのため、自転車を運転して、不注意によって歩行者等にぶつかり、けがを負わせてしまった場合には、過失傷害罪(刑法第209条)が成立します。

もっとも、犯罪が成立すれば必ず刑罰に処されるということではなく、最終的には検察官がどのような処分をするのかによって決定されます。


(2)民事上の責任

民法709条は、「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。

そのため、自転車を運転して、不注意によって歩行者等にぶつかり、けがを負わせてしまった場合には、被害者が被った損害の賠償を行わなければなりません。


3.民事上の責任について

上記のとおり、加害者は、被害者が被った損害を賠償する義務を負い、もし、自分に使用することができる損害保険がない場合には、自らこれを支払わなければなりません。

具体的には、被害者に発生する以下のような損害について賠償を余儀なくされるでしょう。

  • 治療費
  • 治療にかかった交通費
  • 休業損害
  • 慰謝料
  • 後遺障害慰謝料(後遺障害が残存してしまった場合)
  • 逸失利益(後遺障害が残存してしまった場合)

など

しかしながら、現実には、どこまでが交通事故による治療であるのか、また休業の必要性がどこまであるのか、慰謝料はどの程度の金額が妥当であるのか、わからないことが多いかと思います。

損害の額については、一般的には、数十万円から数百万円の範囲内となることが多いかと思いますが、数千万円を超える高額な賠償を認めた裁判例もあります。

被害者から損害賠償の請求を受けてしまった場合には、弁護士に相談してみましょう。


4.まとめ

不注意によって自転車事故を起こしてしまい、相手方に怪我をさせてしまった場合には、刑事上及び民事上の責任を負います。

民事上の責任では、場合によっては非常に高額な賠償責任を負う可能性もありますので、自転車を運転される方は、まずは自転車保険や個人賠償責任保険等への加入を検討するべきでしょう。

今では、多くの都道府県で条例による保険の加入義務もありますので、ご自身の地域がどうであるのか調べてみてください。

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