死亡事故は早期に弁護士へご相談ください

突然の交通事故によってご家族やご親族を亡くされた方、心からお悔やみを申し上げます。

交通事故でご家族・ご親族を亡くされた場合、各種の手続の対応を行いつつ、加害者加入の保険会社と交渉を行う必要があります。

その際、慰謝料等の損害賠償の内容や、それぞれの計算方法、相場や適正金額といったところがわからなければ、交渉を有利に進めることは難しいでしょう。

今回は、死亡事故の場合に請求できる損害賠償の費目とそれぞれの内容についてご説明いたします。

なお、死亡事故の場合、刑事事件や相続問題が関係してくることもあり、これらは事故直後から対応する必要があります。

まずは一度早期に弁護士に相談されることをお勧めいたします。


死亡事故で請求できる損害賠償の費目

死亡事故の場合、葬儀費用、死亡逸失利益、死亡慰謝料の損害賠償を請求することができます。

事故からしばらく治療してお亡くなりになった場合には、その期間の治療費、入通院慰謝料、休業損害の請求が別途可能です。

以下、葬儀費用、死亡逸失利益、死亡慰謝料の計算方法や相場、適正金額について見ていきましょう。

なおそれぞれの費目について、金額の少ない順から、最低限の自賠責保険基準と、任意保険基準、裁判所基準と3つの基準がありますので、注意が必要です。


葬儀費用

自賠責保険基準では、葬儀費用として100万円(2020年4月1日以降発生の事故の場合)が認められます。

任意保険基準でも、ほぼ同程度の費用が認められます。

他方、裁判所基準で最も用いられているといえる「赤い本」基準では、原則150万円、実際に支出した額がこれを下回る場合にはその額とされています。

ただし、裁判例の中には、被害者の方の社会的地位や年齢等を考慮し150万円を超える金額を認定しているものもあります。

「葬儀費用」の中には、四十九日法要の費用までを含みます。

また、いただいた香典を差し引かずに請求できますが、他方で香典返しの金額を請求することはできません。

仏壇・仏具の購入費用や、墓碑の建立費については、社会通念上の相当額を葬儀費用とは別に認める裁判例、葬儀費用に含まれるとして別には認めなかった裁判例いずれもが存在します。

遺体搬送料についても同様です。

葬儀費用については、100万円を超える支出があった場合、弁護士を入れて裁判所基準で交渉を行うことで、増額が見込めることが多いといえます。


死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、事故に遭い死亡しなければ得られたであろう収入のことです。

これは、「①基礎収入額×②(1―生活費控除率)×③就労可能年数に対応するライプニッツ係数」という計算式で算定します。

以下、この計算式の各要素についてご説明いたします。


①基礎収入額

「基礎収入額」は基本的に事故前年の収入を用いますが、被害者が若年の方の場合などは平均賃金を用いることもあります。

主婦、主夫の方の場合は、女性労働者の全年齢平均賃金額を基礎収入額とします。


②生活費控除率

「(1―生活費控除率)」の部分は被害者の方がお亡くなりにならなければ支出していた誠意活費の部分を、賠償請求額から差し引く、という意味です。

生活費控除率が小さいほど、被害者のご遺族にとっては有利となりますが、これは、被害者の属性によって判断されます。

裁判所基準のうちの「赤い本」基準では、生活費控除率について、被害者が一家の支柱の場合は30%から40%、女性の場合は30%、男性の場合は50%とされています。

男女で差がある理由としては、男性の方が自身のために収入を消費する傾向が強いことや、男女の収入差からくる賠償額の差を大きくしないため、といったことが言われています。

なお、年金収入部分については、生活費控除率を50%~70%と高い割合とすることがあります。

これは、年金収入は生活費に費消する割合が高いことに由来します。


③就労可能年数に対応するライプニッツ係数

まず「就労可能年数」とは、基本的には死亡時から67歳までの年数を指します。

67歳を超える方や、67歳までの年数が「簡易生命表」の平均余命の2分の1より短くなる方については、平均余命の2分の1を就労可能年数とします。

上記のように就労可能年数が決まりますが、逸失利益は将来の収入の補償であるため、本来であれば将来にわたって発生するべきものです。

それを一括で支払いを受ける以上、将来の利息分を控除する必要があり、そのために用いるのが「ライプニッツ係数」です。

ライプニッツ係数は年数ごとに決められており、例えば、10年に対応するライプニッツ係数は8.5302、30年に対応するライプニッツ係数は19.6004です。

なお、2020年4月1日に民法改正があり、利率が5%から3%に変更になりました。

そのため、ライプニッツ係数も2020年4月1日の前後で変わっていますので、注意が必要です(上記の例は2020年4月1日以降の数字です。)。

以上の要素をもとに、死亡逸失利益の算定を行います。

保険会社からの提案では、生活費控除率を不当に大きくとったり、就労可能年数を短く見積もったりといった理由で適正額になっていない可能性がありますので、ご確認いただき、一度弁護士に相談されることをお勧めします。


死亡慰謝料

自賠責保険基準では、被害者ご本人の慰謝料400万円、ご遺族の慰謝料が遺族の数によって最大750万円、被害者に被扶養者がいる場合には200万円加算となります。

したがって、被害者である夫に妻と未成年の子2人がいた場合、自賠責保険から慰謝料として受領できるのは、1350万円(400万円+750万円+200万円)となります。

ただし、自賠責保険には総額で3000万円という限度額があります。

任意保険基準では、概ね自賠責保険基準を少し上回る程度の金額となっています。

他方、裁判所基準のうち「赤い本」基準では、被害者が一家の支柱の場合は2800万円、母親、配偶者の場合は2500万円、その他の場合は2000万円~2500万円とされています。

これは、ご遺族の慰謝料も含めた総額です。

自賠責保険や任意保険の基準と比べるとかなり高額になりますので、弁護士を入れて裁判所基準で交渉することで、増額が大きく見込める部分です。


まとめ

今回は、死亡事故の場合に請求できる損害賠償の費目とそれぞれの計算方法や相場、適正額についてご説明いたしました。

死亡事故の場合、各種の届け出や手続きに加え、刑事裁判や場合によっては相続問題に対応しなければならず、弁護士がお手伝いできる部分が大きくなります。

また、弁護士にご依頼いただくことで、示談金額の大幅増額が見込めることが多いです。

優誠法律事務所では交通事故の初回ご相談は無料で承っておりますので、ぜひともご活用いただければと思います。

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