突然の交通事故によってご家族やご親族を亡くされた方、心からお悔やみを申し上げます。ご家族、ご親族を亡くされた悲しみや、相続、各種届出等のご負担の大きさは察して余りあるものがあります。
そのような状態でも事故の賠償金の話は進めていかなければなりません。
今回は、事故でご家族を亡くされた場合に注意すべきポイントを紹介していきます。
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示談交渉を開始する時期
交通事故で被害者がお亡くなりになった場合、49日法要が終了した段階から本格的な示談交渉を開始するケースが多いです。
これは、四十九日法要の費用までは加害者に請求することができるとされているためです。
この当たりの時期に示談提示を行う保険会社が多いといえるでしょう。
ただし、保険会社の提示内容はきちんと確認する必要があります。
例えば、弁護士から見ると、「慰謝料」について低額な提案をしているケースもあります。
そのような場合は、弁護士を入れて話をすることで、保険会社の基準より高額な「裁判所・弁護士基準」をベースとした慰謝料に増額できることが多いです。
また、お亡くなりにならなければ得られたであろう利益である「逸失利益」について、その算定の基礎となる基礎収入額や期間、生活費控除率等について、不適切な数字を用いられているケースもあります。
これについても、適切な数字になっているか、弁護士のチェックがあると安心です。
さらには、過失相殺が問題となるような事故の場合、適切な過失割合となっているか、注意する必要があります。
故人の過失を不当に大きくとられているかもしれません。
そのような場合は、刑事裁判の中で事故態様が明らかにされるのを待つこともあります。
もちろん、弁護士を入れて交渉を行うことも有効です。
四十九日法要後から示談交渉開始ということが多いが、その内容には要注意。 |
仮渡金制度について
刑事裁判が終わるまで待つといっても、故人の収入が途絶えてしまったりといった理由で、経済的に待つことができないという方もおられるかもしれません。
そのような場合、自賠責保険の「仮渡金制度」を利用できます。
「仮渡金制度」とは、当座の支出に充てるため、速やかに自賠責保険から支払われる金銭です。
受領した仮渡金の額は、将来受け取る示談金から差し引かれることになりますが、早期に支払いを受けられるのがポイントです。
被害者がお亡くなりになった事故の場合、290万円を請求できます。
当座の支出に充てるため、自賠責保険の「仮渡金制度」を利用できる。 |
刑事裁判で利用できる制度
刑事裁判の際は、ご遺族の方が被告人である加害者に直接聞きたいことがある等の場合、「被害者参加制度」の利用を検討します。
これにより、ご遺族の方やその代理人弁護士が法廷での刑事裁判に出席し、被告人に質問をしたり、心情を述べたりといったことができます。
事故態様などの事実認定に大きく関与できるわけではないですが、ご遺族の思いを裁判所や加害者にしっかり認識させる効果はあります。
刑事裁判では「被害者参加制度」の利用を検討。 |
相続について
被害者がお亡くなりになった場合、相続が発生します。
しかし、事故は突然起きるため、相続対策を行っている方はほとんどおられません。
したがって、相続財産・相続人を調査し、相続人が複数であれば遺産分割手続を行う必要があります。
財産が散逸している、相続人の中に音信不通の方がいる等、ケースによっては複雑な問題を孕むケースもありますので、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
なお、相続人が複数のケースで示談についての相続人間の意見が一致しない場合、法的には各相続人が個別に加害者と示談できますが、実際上、保険会社が個別の示談に応じることはそう多くはありません。保険会社が示談に応じない場合、一部の相続人の方が賠償を得るには裁判を行わざるを得ないこととなりますが、そのあたりについても弁護士に相談されてから決めることをお勧めいたします。
相続関係については弁護士の意見を聞いたうえで決定すべき。 |
以上、交通事故によってご家族やご親族を亡くされた方が注意すべき点についてご説明しました。被害者がお亡くなりになった事故の場合、弁護士のお手伝いが必要な部分が多いですので、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
優誠法律事務所では交通事故の初回ご相談は無料で承っておりますので、ぜひともご活用いただければと思います。