片賠と評価損請求で物損事故を解決できた事例

こんにちは、優誠法律事務所です。

以前、以下の記事で「別冊判例タイムズ38号」をそのまま参照できない類型の事故についてご紹介しました。

今回も、別冊判例タイムズ38号記載の類型にそのまま当てはめることができないのではと思われる類型の事故について、以前もご紹介した「片賠」や、「評価損」という方法をあわせて解決できた事例の物損の解決についてご紹介いたします。

1.事案の概要~青信号と赤色点滅信号の丁字路交差点での事故~

本件の事故は信号のある丁字路交差点での自動車同士の事故で、ご相談者は優先道路を直進、加害者は丁字路突き当りを左折しようとしました。

これだけであればよくある事故なのですが、少し特殊なのは、ご相談者の対面信号が青色、加害者の対面信号が赤色点滅だったことです。

このような事故状況について、ご相談者は物損について加害者側保険会社から1(被害者):9(加害者)の過失割合での解決を迫られており、不安に思われたため弊所弁護士にご相談の上、ご依頼になりました。

2.過失割合についての検討

信号のある交差点において、一方の信号が青色であれば交差道路の信号は赤色であるのが通常で、この場合の過失割合は0:10が基準になります。

では、本件のように一方の信号が青色であるにも関わらず、交差道路の信号が赤色点滅の場合はどのように考えるべきでしょうか。

道交法上、赤色点滅信号は一時停止と同様の扱いがなされています。

これをそのまま適用すれば、本件の事故は、「丁字路における優先道路直進車と一時停止規制側進行車両の接触事故」として整理されます。

そうすると、別冊判例タイムズ142図に従い、1:9という過失割合になります。

判例タイムズ142図
基本過失割合Ⓐ10:Ⓑ90

したがって、加害者側保険会社の1:9の過失割合の主張は、一応は法的な根拠のあるものだったと言えます。

3.交渉経緯

しかし、ご相談者としては、目の前の青信号に従って進行しただけですので、釈然としません。

上記のとおり、通常は一方の信号が青色であれば交差道路の信号は赤色で、青色に従って進行した自動車に過失はありません。

したがって、当方からは、まず、こちらは目の前の青色信号に従って進行しただけであるから、9割よりもさらに加害者側の過失が加重されるべきである、という主張を行いました。

しかし、加害者側保険会社は、加害者の過失9割での解決に固執してきました。

そこで、当方からは、加害者の過失9割は認めるが、以前もご紹介した片側賠償(片賠)という方法で、0:9で解決できないかという交渉を行いました。

併せて、こちらの評価損も損害として認めていただきたいと主張しました。

自動車が事故にあった場合、修理をしたとしても自動車の価値が下がってしまうことがあります。

この下がってしまう価値を「評価損」と言います。

評価損の請求はハードルが高いケースが多く、裁判であっても、登録から数年以内であり、走行距離も短いといったケースでないと認めさせるのは難しいです。

その他、損傷部位が車両の骨格部か否か、ということも重視されます。

そのため、示談交渉時に保険会社が評価損を認めることは、あまりないと言ってよいと思います。

しかし、今回は、過失割合について双方の言い分に食い違いがあり、こちらの主張もある程度根拠がある(と思われる)事例でした。

また、被害車両自体も初度登録から1年経過していないものでした。

そこで、妥協点の提案として、片賠の話とともに、評価損の請求も行いました。

「片賠」については以下の記事もご覧ください。

4.交渉結果~評価損2割弱も含めた片賠で示談~

上記のような交渉を行ったところ、加害者側保険会社も0:9の片賠での示談を受け入れました。

また、こちらの請求額満額ではなかったものの、修理費の2割弱である10万円程度の評価損を損害額に加えることも認めました。

このように、今回の事例では、修理費について過失1:9で1割分を妥協することになりましたが、修理費の2割弱の評価損を加算させることができ、片賠で加害者側の修理費の1割を負担する必要もなくなりました。

もちろん、評価損は過失を補うものでなく、全く別の話ですが、結果的には、むしろ評価損なしで修理費だけで0:10で示談した場合よりも少し高い金額を得ることができましたので、今回の依頼者も納得され、円満に物損について示談することができました。

5.まとめ

今回は、物損について、0:9の片賠と評価損の請求という方法で解決できた事例についてご説明しました。

評価損が請求できるケースは限られますので、このような解決できる事例は限定的ではありますが、物損事故の解決について、一つの参考としていただければと思います。

優誠法律事務所では交通事故のご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

 栗田道匡 弁護士

2011年12月に弁護士登録後、都内大手法律事務所に勤務し、横浜支店長等を経て優誠法律事務所参画。
交通事故は予期できるものではなく、全く突然のものです。
突然トラブルに巻き込まれた方のお力になれるように、少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。
■経歴
2008年3月 上智大学法学部卒業
2010年3月 上智大学法科大学院修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)

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