【速報】後遺障害等級認定事例(5) ~外貌醜状(顔面の醜状痕)~

皆さん、こんにちは。弁護士の甘利禎康です。

ここまで私が2021年に担当して後遺障害の異議申立てを行った事例をご紹介してきましたが、最後は頭部挫傷の怪我を負い、顔面に醜状痕外貌醜状)が残ってしまった被害者のEさん(小学生)の事例をご紹介します。

Eさん:12級14号⇒外貌醜状9級16号

1.初回の申請は12級14号

 小学生のEさんは、自宅マンションの敷地で近所の子どもたちと遊んでいたところ、マンションの前の道路を走行してきた相手方車両が、対向車とすれ違うためにマンションの敷地内に入ってきて衝突されてしまいました。

 相手方は、道路幅が狭いことから、スムーズに対向車とすれ違うためにマンションの敷地に乗り入れましたが、そのマンションの敷地で子どもたちが遊んでいることに気が付かず、おもちゃの車に乗って遊んでいたEさんに衝突してしまいました。Eさんは地面に顔面を撃ちつけるなどして、救急搬送され、搬送先の病院で頭部挫傷と診断されました。

 幸いなことに、Eさんは頭部に異常はなかったため、しばらく経過観察となりました。そして、その後も頭部の異常はなく、特に症状も出なかったため、交通事故から約半年が経過した時点で主治医が症状固定の診断をしました。

 しかし、残念ながら、交通事故の際に顔面を地面に撃ちつけたことで、Eさんの額(おでこ)の右側と眉間から右眉にかけて、複数の線状の傷痕(線状痕)や瘢痕が残ってしまいました。これらの傷痕は、交通事故直後よりは改善したものの、症状固定となった交通事故から約半年後の時点でもさほど変わりませんでした。

 Eさんのお父さんは、保険会社から送られてきた後遺障害診断書を主治医に書いてもらいましたが、出来上がってきた診断書の記載を確認したところ、傷跡の長さや面積が書かれておらず、図も適当に書かれてしまっていると感じ、これでは適切な後遺障害等級が認定されないのではないかと不安を感じたため、私たちの事務所に相談にいらっしゃいました。Eさんのお父さんとしては、相手方保険会社の担当者にも不信感があったため、保険会社とのやり取りも全て弁護士に任せたいというご希望でご依頼いただきました。

 ご依頼後、私たちは、Eさんの主治医に後遺障害診断書の修正をお願いしたところ、直接説明に来て欲しいと言われたため、病院まで医師面談に伺い、診断書の書き方を説明して修正・加筆をお願いしました。このように、記載が不十分なままで申請してしまうと、そもそも後遺障害の審査対象にしてもらえない場合もありますので、適切に記載してもらうことは重要です。

 Eさんの後遺障害診断書の修正後、私たちは被害者請求で後遺障害申請をしました。そして、初回の申請では、右前額部の線状痕について、隣接する複数の線状痕の長さを合算することで長さ3センチメール以上の線状痕があるものと評価できるとして、「外貌に醜状を残すもの」として12級14号が認定されました。

2.異議申立ての結果、9級16号が認定

 Eさんの場合、初回申請で額の線状痕について12級14号が認定されましたが、外貌醜状の場合、長さが5センチメートル以上の線状痕であれば、9級16号が認定されます。つまり、初回申請で12級14号の認定にとどまったのは、人目につく程度の線状痕の長さが、3センチメートル以上5センチメートル未満だと判断されたためだと考えられました。

 しかし、後遺障害診断書に記載してもらった額の線状痕と眉間から右眉にかけての線状痕の長さを合算すると、8センチメートル以上にはなっていたため、Eさんのお父さんとしては、12級14号の認定には納得できませんでした。なお、外貌醜状の場合はサイズだけではなく、「人目につく程度以上のもの」でなければなりませんので、Eさんの顔の写真から、この要件で線状痕としてカウントされなかった傷痕もあったのではないかと推測されました。

 外貌醜状の後遺障害の場合、コロナ禍になる前は、基本的に自賠責保険の調査事務所において面接を行い、傷痕のサイズをメジャー等で測定して、等級認定が行われていました。しかし、コロナの感染防止の観点もあり、最近ではあまり面接は行われず、傷痕のサイズが記載された診断書と写真のみで認定が行われることが多くなっており、今回のEさんも初回申請では面接は行われませんでした。

 そこで、私たちは、異議申立書において、複数の線状痕の長さを合算すると5センチメートル以上になることを主張し、加えて、人目につくものであるから、実際に面接をして確認して欲しいと申し入れました。

 そうしたところ、自賠責調査事務所での面接が行われることとなり、私(弁護士)も同席して、該当する傷痕を指摘しながら長さの測定を行いました。

 その結果、私たちの主張が認められ、Eさんの顔面の線状痕について、5センチメートル以上であるとして9級16号が認定されました。

3.まとめ

 今回は、外貌醜状(顔面の醜状痕)で初回申請12級14号から、異議申立てで9級16号が認定された事例をご紹介しました。

 今回のEさんの場合、お父さんご自身で相手方保険会社とやり取りして進めていた場合、不十分な後遺障害診断書で後遺障害申請を進めることになっていましたから、後遺障害は非該当だったかもしれません。9級になると、後遺障害慰謝料だけでも裁判所基準で690万円になりますから、非該当だった場合と比べると最終的な示談額にはかなり大きな差が出ます。

 この記事をご覧になっている方も、医師であればしっかり診断書を作成してくれると思っている方が多いと思いますが、実は、今回のEさんの主治医のように後遺障害診断書の記載方法についてしっかり理解していない医師もいます。医師としても、保険会社が後遺障害診断書の書き方をレクチャーしてくれる訳ではありませんから、交通事故の患者さんの対応経験が少ない場合は仕方がないのかもしれません。そのためか、私たちが記載例などを持っていくと喜ばれることもあります(逆に、弁護士に指図されたくないと怒り出す医師もいますが・・・)。

 今回、私たちは医師面談にも自賠責調査事務所での面談にも同席しましたが、おそらくここまで対応する弁護士はかなり少数派だと思います。私たちの過去の経験上、調査事務所の面接でも、こちらから指摘しないと一部の傷痕を測ってもらえない場合もありましたので、私たちはできる限り同席するようにしています。

 ここまで読んでいただくとお分かりになるかもしれませんが、正直、交通事故は、弁護士に依頼するかしないかによっても示談額が変わりますが、依頼する弁護士によっても結果が変わってしまうことがあると思います。だからこそ、私たちはご依頼者様のためにベストを尽くすよう努めております。

 当事務所では、交通事故のご相談は無料でお受けしておりますので、お困りのこと、お悩みのことなどがございましたら、是非お気軽にご相談ください。

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