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交通事故のリハビリでも慰謝料は請求できる?通院時の注意点を弁護士が解説
交通事故に遭い、辛い痛みや不自由な生活に耐えながらリハビリを続けている被害者の方は少なくありません。
終わりの見えない治療の中で、「いつまで通院すればいいのか」「リハビリ期間中の慰謝料は適正に支払われるのか」と不安を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、交通事故におけるリハビリ期間と慰謝料の深い関係性、入通院慰謝料の計算基準、症状固定後の対応、そして弁護士に依頼するメリットまで、慰謝料請求の全貌を詳しく解説します。
結論として、交通事故で負った怪我について、医師の診断や指示のもとで行うリハビリ通院は、原則として入通院慰謝料の対象です。
相手方に賠償責任がある場合には、慰謝料を請求できるほか、治療費(リハビリ費用)、通院交通費、休業損害などの賠償金についても補償の対象となります。
ただし、リハビリに通っていれば必ず希望どおりの金額をもらえるわけではありません。
症状、治療の必要性、治療期間、実通院日数などを踏まえ、適切な金額が判断されます。
1 交通事故のリハビリと慰謝料の関係
⑴ リハビリの重要性と慰謝料の関連性
重傷であれ軽い怪我であれ、被害者が失われた能力を取り戻すためには、適切な治療を受けることが不可欠です。
交通事故後の治療において、リハビリは非常に重要な役割を果たします。
心身の機能回復を促進するだけでなく、慰謝料の算定においても影響を与えることがあるのです。
慰謝料の金額は、単に通院した回数だけで決まるものではありませんので、どのように算定されるのかについて知っておく必要があります。
⑵ 交通事故によるリハビリの目的
交通事故(追突事故や自転車、バイクの事故など)によるリハビリの主な目的は、身体機能の回復や怪我の改善です。
怪我の程度に応じたリハビリ(例えば、運動器リハビリテーション等)を受けることで、日常生活に戻るためのサポートを受けられます。
むちうちなどの軽傷であっても、骨折など比較的重い怪我であっても、必要となるリハビリの内容や通院期間は一律ではありません。
主治医の診断をもとに、症状や回復状況に応じた治療計画を立てることが重要です。
また、早期に適切なリハビリを受けることにより、後遺障害が残ってしまう可能性を軽減できるという効果も期待できます。
2 入通院慰謝料の対象となるリハビリ期間
⑴ 入通院慰謝料の算定基準
入通院慰謝料の金額については、裁判基準の場合、治療回数(実通院日数)ではなく治療期間が主な要素となります。
一方、自賠責基準の場合は、次のとおり、基本的に治療回数(実通院日数)が基準になりますが、治療期間も考慮要素になります。
【自賠責基準の慰謝料:4,300円×対象日数】
対象日数:以下の①と②を比較して少ない方
①実通院日数(入院日数+通院日数)×2
②治療期間(治療開始から完治または症状固定までの日数)
例えば、治療期間が90日、実通院日数が40日の場合、対象日数は「90日」と「40日×2=80日」のうち少ない80日となります。
この場合、自賠責基準による入通院慰謝料は、4,300円×80日=34万4,000円を目安に算出します。
また、傷害による損害(治療費や慰謝料など)について、自賠責保険会社から支払われる限度額は120万円となります。
入通院慰謝料を計算するにあたっては、医療機関が作成した診断書や診療報酬明細書等の治療記録が極めて重要な証拠となります。
特に、相手方に治療の必要性など争われている場合には、必要に応じて専門家の意見を求めるなど、適切な慰謝料の算定について事前の準備を進めることも大切です。
⑵ リハビリ期間中の慰謝料請求の可否
人身事故による傷病の治療としてリハビリを受ける期間中も、相手方保険会社からの内払いという形で慰謝料の支払いを受けられる場合もあります。
既にある程度治療実績がある場合や、診断書などに医師の指示やリハビリの内容が記録されている場合は、内払いが認められる可能性も高くなります。
ただ、慰謝料の内払いを保険会社に強制する法的根拠はありませんので、あくまで保険会社側の判断次第ということにはなります。
3 症状固定後のリハビリと慰謝料
⑴ 症状固定とは何か
症状固定とは、治療してもこれ以上症状の改善が見込めない状況を指します。
医学的な要素が含まれていることもあり、症状固定した日がいつであるかについては、基本的には担当医師が判断することになります。
そのため、安易に症状固定であると自己判断して治療を中断することなく、医師の指示に従って治療を行うことが重要です。
一方、症状固定は、法律的な観点からの評価を行う概念でもあり、担当医の症状固定日に関する判断は絶対的なものではありません。
例えば、裁判に至った場合などでは、担当医の判断を参考にしながら、症状固定した日がいつであるかについて裁判所が判断することになります。
⑵ 症状固定後のリハビリに関する慰謝料
原則として、交通事故の損害賠償の範囲は症状固定までになります。
そのため、症状固定後にリハビリを継続しても、その治療費や慰謝料は損害として認められません。
症状固定時に残存してしまった症状に対しては、「後遺障害」としての評価を受けて、損害賠償を受けることが必要になります。
症状固定後に後遺障害の申請をしない場合は、症状固定までに発生した治療費や通院交通費、慰謝料などを具体的に計算して請求することになります。
また、症状固定後も、強い症状が残って困っている場合には、自己負担でリハビリの治療を継続することも検討すると良いでしょう。
心身のためということはもちろん、後遺障害の審査にあたり、症状が残っていることに関する判断要素にもなり得るためです。
4 リハビリにおける慰謝料の計算方法
⑴ 自賠責・任意保険・弁護士基準の違いとリハビリ通院の慰謝料相場
交通事故のリハビリ通院の慰謝料は、治療期間、怪我の程度、入院の有無、実通院日数、通院頻度などを踏まえて算出されます。
なお、通院回数を増やせば慰謝料が自動的に増額されるわけではなく、医師の指示に基づく必要かつ相当な治療であったかが重要です。
そして、慰謝料の相場については、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準という3つの基準があります。
自賠責基準は法律に基づく最低限の慰謝料を示し、通常は低めの金額であるとともに、自賠責保険金自体に120万円の上限額が設定されています。
もっとも、自賠責基準は、基本的に被害者側に多少の過失があっても減額されず、重大な過失がある場合にだけ過失減額がされるという特徴があります。
任意保険基準は、相手方の任意保険会社が示談金額を提示する際に用いる基準であり、具体的な金額や運用は保険会社ごとに異なります。
弁護士(裁判)基準は、基本的に最も高額となります。
これらの違いを理解することで、慰謝料の請求においてどの基準を用いるべきか適切な判断ができるようになります。
具体的には、事故の状況や過失割合の争い、相手方との交渉により変わるため、それぞれの基準の特徴をしっかり把握しておきましょう。
ただ、これらの判断を自身で行うのは難しいと思いますので、専門家に相談することが重要といえます。
⑵ 慰謝料請求時の注意点
慰謝料請求を行う際には、事故直後の対応が非常に重要です。
例えば、事故の記録や、いつどこで治療を受けるべきか、整骨院や接骨院に通院する場合は担当医から同意を得ておく必要があるのか等です。
また、慰謝料の請求には専門的な知識が必要となるため、法律の専門家や弁護士に相談することで、早い段階で適切なアドバイスを得ることができます。
適正な慰謝料を受け取れるようにするためには、事故後早い段階からこれらの知識を身につけ、準備を怠らないことが大切です。
5 リハビリ通院の頻度と慰謝料の影響
⑴ 適正な通院頻度とは
リハビリの適正な頻度は、症状ごとにそれぞれ異なるため、医師の診断や指示に従い、必要な回数を通院することが重要です。
毎日痛みが続くからといって、医師の診断や指示に従わず、むやみに回数を増やしたり、一度に長時間の治療を受けたりすれば良いというわけではありません。
どのような頻度で通うべきかについては、医師と相談の上、医師の指示に従いましょう。
また、リハビリによる改善傾向が記録されていれば、通院期間が長引いていたとしても、症状固定ではないことについての重要な一資料となります。
⑵ 過度な通院のリスク
一方で、むちうち等で過剰に通い過ぎる(通院日数が多い)と、保険会社が負担する治療費の金額が大きくなる上、保険会社から治療の必要性を疑われることにより、治療費が早期に打ち切られやすくなる等、慰謝料請求において不利な状況を招く可能性があります。
反対に、むち打ち等で通院日数があまりにも少ない(過少な)場合も、不利な状況を招く可能性があります。
例えば、1ヶ月に1回程度しか通院していない場合、空白の期間が長すぎるといった理由で、治療費が打ち切られやすくなることが考えられます。
このように、通院頻度については、医師にしっかり相談した上で、自身の体調に合わせた通院計画を立てることが重要です。
適度な頻度を心掛け、過剰・過少な通院による打ち切りを防ぎながら、健康的な回復を目指しましょう。
6 整骨院・接骨院でのリハビリと慰謝料の関係
⑴ 整骨院・接骨院通院のメリットとデメリット
整骨院などに通院することにはいくつかのメリットがあります。
まず、整形外科よりも受付時間が長いことが多く、患者のライフスタイルに合わせた通院が可能な傾向にあります。
また、個別のケアが受けられるため、患者にとって満足度の高い施術が行われる傾向にあります。
しかしながら、デメリットとして、このような満足度の高い施術が行われることもあり、過剰に通い過ぎてしまい、治療費が高額になって早期に打ち切られたり、治療の必要性を争われるリスクもあります。
最近は、整骨院の施術費を3ヶ月までしか認めないと主張してくる保険会社もありますので、整骨院での治療を選択することで治療期間が限定されてしまう可能性もあります。
⑵ 整骨院・接骨院での治療が慰謝料に与える影響
リハビリの慰謝料の算定をする際には、整骨院・接骨院での治療日・治療期間も合わせて算定しますので、整骨院・接骨院での治療も慰謝料の金額に影響を与えます。
また、症状固定時期が問題になるケースでは、施術証明書等に症状が改善している旨の記載がされていれば、症状固定ではないことを示す証拠にもなります。
交通事故で負った捻挫などの怪我について整骨院・接骨院で施術を受ける際は、まず整形外科を受診し、主治医の診断を受けることが重要です。
整骨院などへの通院は、主治医に相談し、治療上問題がないことを確認した上で行いましょう。
加害者側の任意保険会社が治療費を一括対応している場合には、整骨院などに通院する前に保険会社へ連絡しておくことも大切です。
医師の診断や許可、施術内容の記録がないまま通院を続けると、治療費や慰謝料の必要性を争われるおそれがあります。
7 転院時の手続きと保険会社への連絡
⑴ 転院の必要性と手続き
引っ越し等により転院を余儀なくされる場合、新しい病院を選ばなければならない必要性が生じます。
院にあたっては、現在の治療状況や症状を整理し、医師に相談することが重要です。
転院の手続きをするにあたっては、転院先の医療機関に事前に連絡を取り、受け入れ可能か否かを確認しておいた方が良いでしょう。
その上で、現在の医師に紹介状を作成してもらうことにより、円滑な転院が可能となる可能性が上がります。
⑵ 保険会社への連絡方法
任意保険会社が治療費の一括対応をしているケースで転院する場合、対応している任意保険会社に電話等で連絡し、転院を希望している旨を伝えましょう。
保険会社への事前連絡を怠ると、転院先の治療費について一括対応をしてもらえないこともあり、一時的に治療費を立て替えなければならないリスクがあることに注意が必要です。
8 後遺障害等級と慰謝料請求
⑴ 後遺障害等級の決定方法
リハビリを続けても後遺症が残った場合、後遺障害の等級を獲得できないか検討することが重要です。
基本的には自賠責保険会社が後遺障害等級認定の審査を行いますが、後遺障害等級の判断や決定には、医療機関での診断が必要です。
具体的には、医療機関で後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。
注意点としては、後遺障害等級認定の審査には時間が掛かるということです。
また、後遺障害診断書の費用は医療機関によって異なり、5,000円~10,000円程度という印象ですが、後遺障害等級が認定されなかった場合は自己負担になるというリスクがあります。
後遺障害等級は第1級から第14級までに区分され、認定結果や等級によって後遺障害慰謝料、逸失利益などの損害賠償額が変わります。
症状が残っている場合には、後遺障害等級の申請を行うべきか、早めに検討することが重要です。
⑵ 後遺障害慰謝料の計算方法
交通事故に遭って後遺障害が残った場合、後遺障害慰謝料には、等級に基づく裁判基準が存在します。
まずはその裁判基準を知識として身に着け、どの程度の後遺障害慰謝料が妥当かを把握しましょう。
なお、後遺障害に関する請求費目には、後遺障害慰謝料に加えて、後遺障害逸失利益(将来の収入減に対する逸失利益)があります。
これらの請求費目についても、専門知識を持つ弁護士に相談することで、より正確な計算が可能になります。
9 弁護士に依頼するメリットと相談の流れ
⑴ 弁護士に相談する理由
なぜ法律事務所(弁護士法人など)に相談するのが良いのか、その理由としてはまず、交通事故に基づく損害賠償請求の手続きは複雑であるということが挙げられます。
次に、弁護士は専門的な知識を持っており、適切なアドバイスを提供できる点が挙げられます。
保険会社から治療の打ち切りを打診されたり、治療の必要性を疑われ、治療を続けることに疑問が生じるような事例でも、弁護士が状況を整理して保険会社と交渉します。
さらに、弁護士に依頼することで、保険会社とのやりとりに関する時間や労力を節約できることもメリットとして挙げられます。ご自身の保険に弁護士費用特約が付帯されていれば、基本的に保険会社が弁護士費用を負担してくれます。
⑵ 示談交渉の流れと注意点
示談交渉の流れについて、基本的な流れをご説明します。
交通事故が発生した後、通院を開始し、治癒または症状固定するまで通院を行います。
症状固定になった場合は、自賠責保険会社に後遺障害等級の申請をするか否か検討を行い、申請を行わない又は後遺障害等級について確定(非該当含む)した後、示談交渉という流れになるのが一般的です。
示談交渉において注意すべきポイントとして、提示された通りの示談内容に漫然と同意するのは避けるべきです。
提示された金額が妥当かどうか判断するにあたり、専門家に相談してみることをお勧めします。
10 リハビリ通院中の慰謝料に関するよくある質問
Q.交通事故のリハビリ通院でも慰謝料はもらえる?
A.医師の診断や指示に基づき、交通事故による怪我の治療として行うリハビリ通院は、原則として入通院慰謝料の対象です。
ただし、症状、治療の必要性、通院頻度、診療記録などを踏まえて判断されるため、通院していれば必ず希望どおりの金額をもらえるわけではありません。
Q.保険会社から治療の打ち切りを打診された場合はどうすればよい?
A.保険会社から治療費の支払い終了を打診されても、自己判断で通院をやめる必要はありません。
まずは主治医に症状や治療継続の必要性を相談し、診断内容や治療方針を確認しましょう。
加害者側の保険会社から提示された内容に納得できない場合には、交通事故に詳しい弁護士への相談も検討してください。
Q.整骨院でリハビリを受ける場合も慰謝料の対象になる?
A.整骨院での施術も、交通事故による怪我の治療として必要性が認められれば、慰謝料や治療費の対象となります。
ただし、整骨院のみの通院や、医師の診断を受けていない施術は争われやすいため、整形外科への通院と主治医への相談を継続することが大切です。
11 まとめ
交通事故後にリハビリ通院を行う場合、医師の診断や指示に基づき、怪我の治療として必要かつ相当な内容で継続していれば、原則として入通院慰謝料の対象となります。
もっとも、慰謝料の金額は通院回数だけで決まるものではなく、症状、治療期間、実通院日数、診療記録、治療の必要性などを踏まえて判断されます。
特に、整骨院での施術、通院頻度、転院、症状固定、後遺障害等級の申請などは、治療費や慰謝料の取扱いに影響することがあります。
自己判断で通院を中断したり、保険会社から提示された示談内容にそのまま同意したりせず、まずは主治医の意見や診療記録を確認することが重要です。
保険会社から治療の打ち切りを打診された場合や、提示された慰謝料額が適正か判断できない場合には、交通事故に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」

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交通事故による大腿骨骨折・後遺障害と慰謝料を徹底解説
交通事故で負傷する部位のなかでも、大腿骨(太ももの骨)の骨折は特に重篤な損傷のひとつです。
手術やリハビリに長期間を要するうえ、後遺症が残るケースも少なくありません。
そのような事情もあり、交通事故で大腿骨を骨折した場合、治療期間に応じた入通院慰謝料に加え、後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求でき、受け取れる賠償金は大きくなります。
大腿骨骨折では、股関節や膝関節の可動域制限、下肢の短縮、変形癒合、偽関節、痛みやしびれなどが後遺障害として問題となります。
後遺障害慰謝料の目安は、等級により弁護士基準で110万円から1,180万円程度ですが、実際の賠償額は入通院期間、収入、年齢、仕事への影響、過失割合、他の怪我の有無によって変わります。
なお、後遺障害が認定されない場合でも、治療費、入通院慰謝料、休業損害、通院交通費などは請求できます。
本記事では、交通事故による大腿骨骨折の基礎知識から、後遺障害等級の認定基準・慰謝料相場・弁護士に相談するメリットまでを、交通事故案件に注力している弁護士の監修の下わかりやすく解説します。
1. 交通事故による大腿骨骨折の基本知識
大腿骨の役割と重要性
大腿骨は人体最大かつ最強の骨であり、大腿部(太もも)に位置して股関節と膝関節をつなぐ重要な役割を担っています。
体重の支持・歩行・走行・立ち上がりなど、日常のあらゆる動作に不可欠です。
大腿骨は構造上、①大腿骨頭・頸部・転子部(股関節側)、②骨幹部(中央部)、③遠位端(膝関節側)の3つに大別されます。

それぞれ骨折の様相や治療法・後遺障害リスクが異なります。
交通事故での大腿骨骨折のメカニズム
大腿骨骨折は、交通事故のなかでもバイク事故・自転車事故・歩行者と自動車の衝突などで多く発生します。
直接的な衝撃(相手車両への膝の激突など)や、転倒時の体重のかかり方によって骨折が生じます。
| 骨折部位 | 主な受傷メカニズム | 特徴・リスク | 後遺障害で確認する主な点 |
| 大腿骨頚部骨折 | 側方からの衝突・転倒時の捻転力 | 高齢者に多い。股関節の機能障害が残りやすい | 股関節の可動域制限、疼痛、人工骨頭・人工股関節置換後の機能 |
| 大腿骨転子部骨折 | 直接打撲・転倒 | 歩行困難となる場合や足が短縮する場合もある | 下肢短縮、股関節の可動域制限、歩行状態 |
| 大腿骨骨幹部骨折 | 車両との正面衝突・強い外力 | 大量出血リスク。髄内釘固定が一般的 | 下肢短縮、変形癒合、偽関節、股関節・膝関節の可動域、神経症状 |
| 大腿骨遠位端骨折 | 膝の強打 | 膝関節の機能障害が残りやすい | 膝関節の可動域制限、膝痛、変形癒合、歩行への影響 |
2. 大腿骨骨折の症状と治療法
大腿骨骨折の主な症状
大腿骨骨折は骨折部位によって症状が異なりますが、共通して現れる主な症状は以下のとおりです。
- 激しい疼痛
- 大腿部の変形・腫脹(骨がずれると著明な腫れが生じる)
- 患肢の短縮・回旋変形
- 歩行・起立不能
- 出血・血腫形成(骨幹部骨折では大量出血)
- 神経・血管損傷症状(しびれ・冷感・チアノーゼ)
⚠️ 注意:大量出血について
大腿骨骨幹部骨折では、骨折部への出血だけで1,000〜2,000mLに達することがあります。救急搬送後の輸血・ショック対応が必要となるケースもあり、生命に関わる重篤な外傷です。
治療方法とリハビリテーション
大腿骨骨折の治療は基本的に手術療法が選択されます。骨折部位・年齢・骨折型によって術式が決まります。
| 治療法 | 対象・特徴 | 入院期間の目安 |
| 髄内釘固定術 | 骨幹部骨折に最も多く用いられる。骨髄腔にチタン製の釘を挿入して固定する。 | 2〜4週間 |
| プレート固定術 | 遠位端骨折など複雑な形状の骨折に有効。プレートとスクリューで固定。 | 2〜6週間 |
| 人工骨頭置換術 | 頚部骨折(特に高齢者)に対し、骨頭を人工物に置き換える。 | 3〜6週間 |
| 人工股関節全置換術(THA) | 骨頭壊死・変形性股関節症が生じた場合に選択される。 | 3〜6週間 |
術後はリハビリテーションが不可欠です。
早期から関節可動域訓練・筋力訓練・歩行訓練を行い、機能回復を目指します。
骨折の重症度・合併症の有無によって、リハビリ期間は数カ月〜1年以上に及ぶことも珍しくありません。
📋 リハビリの流れ(例)
STEP 1:術直後〜2週間(急性期リハビリ)→ ベッド上での関節可動域訓練・筋力維持・浮腫軽減
STEP 2:2〜8週間(荷重・歩行訓練)→ 部分荷重から全荷重へ段階的に移行。松葉杖・歩行器使用
STEP 3:2〜6カ月(機能回復訓練)→ 筋力強化・バランス訓練・日常生活動作(ADL)の回復
STEP 4:6カ月以降(社会復帰へ向けたリハビリ)→ 職場復帰訓練。症状固定の判断も行われる
3. 大腿骨骨折による後遺障害の種類
大腿骨骨折では、適切な治療・リハビリを行っても症状が残存するケースがあります。
これを後遺障害といい、自賠責保険の後遺障害等級が認定されると、慰謝料・逸失利益などの賠償額が大幅に増加します。
主な後遺障害は「短縮障害」「機能障害」「神経障害」の3つです。
短縮障害とその影響
骨幹部骨折などで骨がずれたまま癒合すると、患肢が健側より短くなる短縮障害が生じます。
| 短縮の程度 | 後遺障害等級 | 主な影響 |
| 5cm以上短縮 | 8級5号 | 跛行(はこう)が顕著。骨盤傾斜・脊椎側弯が生じる。長距離歩行が困難 |
| 3cm以上短縮 | 10級8号 | 跛行(はこう) |
| 1cm以上3cm未満短縮 | 13級8号 | 軽度の跛行。靴底のリフトアップで対応できるケースも多い |
機能障害の具体例
骨折後の関節拘縮・筋萎縮・骨癒合不全などにより、股関節や膝関節の可動域が制限される機能障害が残ることがあります。
| 障害の内容 | 後遺障害等級 |
| 股関節または膝関節の用廃(まったく動かない・健側の10%以下) | 8級7号 |
| 股関節または膝関節の可動域が健側の1/2以下に制限 | 10級11号 |
| 股関節または膝関節の可動域が健側の3/4以下に制限 | 12級7号 |
神経障害の症状と影響
骨折に伴う神経損傷や手術による神経への影響で、下肢のしびれ・感覚障害・疼痛(神経障害性疼痛)が残存することがあります。
- 坐骨神経障害:大腿後面から下腿にかけてのしびれ・感覚低下・筋力低下
- 大腿神経障害:大腿前面のしびれ・感覚低下、膝伸展力の低下
- 神経障害性疼痛(CRPS含む):持続する灼熱感・アロディニア
- 足の変形:下垂足(腓骨神経麻痺)による歩行困難
| 神経障害の程度 | 後遺障害等級 |
| 1関節の完全弛緩性麻痺等 | 8級7号 |
| 1下肢の軽度の麻痺・神経症状(しびれ等) | 12級13号または14級9号 |
4. 交通事故で大腿骨を骨折した場合の慰謝料・賠償金の相場
大腿骨骨折で請求できる賠償金の内訳
交通事故で大腿骨を骨折した場合、請求できる可能性がある賠償金は後遺障害慰謝料だけではありません。
検索で「慰謝料」と調べる方の多くは、最終的に受け取れる賠償金全体を知りたいと考えていると思いますので、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、休業損害、逸失利益、治療費、通院交通費、装具費などに分けて確認することが重要です。
| 項目 | 内容 |
| 入通院慰謝料 | 入院・通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償 |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害等級が認定された場合の精神的苦痛に対する補償 |
| 休業損害 | 治療のために仕事や家事ができず、収入等が減少した損害 |
| 後遺障害逸失利益 | 後遺障害により将来の収入が減ると見込まれる損害 |
| 治療関係費等 | 治療費、通院交通費、装具費、付添費など |
後遺障害等級の認定基準
後遺障害等級は1級〜14級まであり、1級が最も重篤です。
大腿骨骨折で認定される等級は、後遺症の種類・程度によって異なります。
複数の後遺障害が残る場合は、併合によって等級が上がることがあります。
| 等級 | 大腿骨骨折に関連する典型例 |
| 6級 | 1下肢の膝関節及び股関節が用廃(複数関節) |
| 8級 | 1関節の用廃・5cm以上の短縮障害・完全弛緩性麻痺 |
| 10級 | 1関節の可動域1/2以下制限・3cm以上の短縮障害 |
| 12級 | 1関節の可動域3/4以下制限・変形癒合・神経症状(他覚所見あり) |
| 13級 | 1cm以上3cm未満の短縮障害 |
| 14級 | 神経症状(他覚所見なし) |
慰謝料の相場と計算方法
交通事故の慰謝料には①自賠責基準・②任意保険基準・③弁護士基準(裁判基準)の3つがあります。
弁護士基準が最も高額になるため、弁護士に依頼することで慰謝料が大幅に増額するケースが多いといえます。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準(目安) |
| 6級 | 512万円 | 1,180万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 10級 | 187万円 | 550万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
具体例(機能障害に関する慰謝料・逸失利益)
機能障害(8級7号・10級11号・12級7号)に対応する後遺障害慰謝料は上記表のとおりですが、これに加えて逸失利益が算定されます。
📐 逸失利益の計算式
逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 67歳までのライプニッツ係数
例:年収500万円・8級認定(喪失率45%)・45歳の場合
500万円 × 0.45 × 15.9369 ≒ 約3,586万円
5. 後遺障害認定を受けるためのポイント
症状固定の重要性
後遺障害として申請できるのは、症状固定(これ以上治療を続けても症状が改善しない状態)と医師が判断した後です。
- 症状固定の判断は担当医師が行う。保険会社に促されても、症状の改善が見込まれる状況であれば治療継続を主治医に相談した方がよい
- 症状固定日は後遺障害等級の認定に影響する。あまり早期に設定しないよう注意が必要
- 症状固定後は、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼する
後遺障害診断書の確認ポイント
後遺障害診断書の記載内容が、等級認定の可否を大きく左右します。
以下の点を必ず確認してください。
- 可動域の計測値:健側・患側の両方を正確に記載。数値が欠けていると適切な等級が認定されないリスクがある
- 画像所見の記載:X線・MRIなどの画像所見が明記されているか。変形癒合・骨萎縮の有無を確認
- 神経症状の他覚所見:しびれ・感覚障害を訴えるだけでなく、腱反射低下・MMT結果など他覚的所見が必要
- 短縮の計測値:健側・患側の具体的な数値が記載されているか
⚠️ 後遺障害診断書は弁護士と一緒に確認を
後遺障害診断書の記載が不十分・不正確な場合、本来認定されるべき等級が認定されないことがあります。提出前に弁護士に確認を依頼することを強くお勧めします。
6. 弁護士に相談するメリット
適正な賠償金の獲得
保険会社は任意保険基準(自賠責基準に近い低い金額)で示談交渉を行います。
弁護士が代理人として交渉することで、弁護士基準(裁判基準)での請求が可能となり、慰謝料・逸失利益が大幅に増額するケースが多いといえます。
| 項目(具体例) | 弁護士なし(保険会社提示額の例) | 弁護士あり(弁護士基準) |
| 後遺障害慰謝料(12級) | 約100〜140万円 | 約290万円 |
| 後遺障害慰謝料(8級) | 約340〜400万円 | 約830万円 |
| 入通院慰謝料(6カ月入通院) | 約80〜100万円 | 約116万円〜 |
交渉のプロセスとサポート
弁護士に依頼することで、以下のサポートをすべて受けられます。
- 事故直後からの証拠保全アドバイス:警察・保険会社への連絡方法、診断書・画像の保管方法などを指導
- 後遺障害申請のサポート:後遺障害診断書の確認・被害者請求・異議申立て手続きの代行
- 保険会社との示談交渉:弁護士基準での慰謝料・逸失利益等の請求。不当な過失割合の修正も対応
- 訴訟・調停への対応:示談交渉が不調の場合、訴訟・ADRへの対応も一貫サポート
✅ 弁護士費用特約を活用しよう
多くの自動車保険には弁護士費用特約が付帯しています。
弁護士費用特約があれば、弁護士費用(着手金・報酬金)が保険でまかなわれるため、実質無料で弁護士に依頼できるケースが多くあります。
まずは加入中の保険を確認してください。
7. 大腿骨骨折に関するよくある質問
Q. 治療にかかる期間はどのくらいですか?
A. 大腿骨骨折の治療期間は骨折の部位・重症度・年齢・合併症の有無によって大きく異なります。
一般的には入院:1〜3カ月、リハビリ期間を含めた症状固定まで:6カ月〜1年以上かかることが多いです。
後遺症が残る場合、治療期間中から弁護士に相談しておくことが重要です。
Q. 大腿骨骨折で後遺障害が残る可能性はどのくらいですか?
A. 大腿骨骨折は人体最大の骨への重篤な損傷であるため、適切な治療・リハビリを行っても何らかの後遺症が残るケースは少なくありません。
症状を粘り強く医師に訴え、画像検査・神経学的検査を受けることが重要です。
Q. 後遺障害の認定に納得できない場合はどうすればよいですか?
A. 後遺障害の認定結果に納得できない場合は「異議申立て」を行うことができます。
新たな医学的証拠(追加の検査結果・医師意見書など)を添付して再審査を求めることが可能です。
弁護士に相談することで、適切な証拠収集・申立て書類の作成を任せることができます。
Q. 示談を急かされていますが、どうすればよいですか?
A. 症状固定前・後遺障害等級認定前に示談してはいけません。
示談が成立すると、原則として追加請求ができなくなります。
まずは弁護士に相談し、現在の状況を確認したうえで示談のタイミングを判断してください。
8. まとめと今後のステップ
交通事故後の行動指針
大腿骨骨折を負った場合、以下のステップで行動することで、適正な賠償金を受け取れる可能性が高まります。
- すぐに医療機関を受診・記録を残す:事故直後の診断書・画像(X線・CT・MRI)を保管。受診記録・治療記録をしっかり残す
- 早期に弁護士へ相談する:事故直後から弁護士に相談することで、証拠保全・治療方針へのアドバイスが受けられる。無料相談を活用しよう
- 症状固定まで治療を継続する:症状が残っている間は治療を継続。保険会社に促されても主治医の判断に従う
- 後遺障害診断書を確認・申請する:弁護士と一緒に後遺障害診断書を確認し、被害者請求で後遺障害等級の認定を申請する
- 弁護士基準で示談交渉・訴訟:後遺障害等級認定後、弁護士基準(裁判基準)での慰謝料・逸失利益を請求し示談交渉を進める
優誠法律事務所では、交通事故被害のご相談は無料で対応しております。
全国からご相談いただいておりますので、お気軽にご相談ください。
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投稿者プロフィール

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベストベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
初回相談は無料で、弁護士費用特約にも対応しています。
全国どこからでもご相談いただけますので、不安を抱え込まず、まずは一度お気軽にお問い合わせください。
交通事故で足を骨折した場合の慰謝料相場|後遺障害等級・請求方法を弁護士が解説
交通事故で足を骨折してしまった場合、身体的な痛みはもちろんのこと、治療の長期化や仕事への影響、今後の生活に対する不安など、さまざまな問題が重なります。
そのような状況で「自分はどれくらいの慰謝料をもらえるのか」、「どうやって請求すればいいのか」と疑問を抱く方は少なくありません。
一般的に、相手方保険会社から示談金として提示される金額が、本来認められるべき適正な水準を下回っているケースは多く見られますが、特に骨折が伴う交通事故では、その差額が大きい傾向があります。
適切な補償を受けるためには、慰謝料の仕組みや相場、請求の手順についての正しい知識が不可欠です。
本記事では、足の骨折に関わる慰謝料の種類・相場・算定基準・請求方法を、交通事故を得意とする弁護士の視点からわかりやすく解説します。
最後まで読むことで、あなたやご家族が適正な補償を得るために必要な行動が明確になると思います。
1.交通事故で足を骨折した場合の慰謝料相場
交通事故で足を骨折した場合の慰謝料は、治療期間や入院の有無、後遺障害等級が認定されるかどうかによって大きく変わります。
たとえば、弁護士基準(裁判基準)では、通院6ヶ月の場合の入通院慰謝料は116万円程度が目安です。
また、後遺障害が残った場合は、14級で110万円、12級で290万円、10級で550万円、8級で830万円の後遺障害慰謝料が認められるのが一般的です。
そのため、保険会社から提示された金額だけで判断せず、弁護士基準で計算した場合にどの程度の損害賠償を受け取ることができるのかを確認することが重要です。
2.交通事故による足の骨折と慰謝料の基本知識
(1)交通事故による骨折の種類と症状
交通事故によって足に生じる骨折は、部位や骨折の状態によってさまざまな種類に分類されます。
主な骨折部位と代表的な症状を以下に整理します。
足首(足関節)骨折:足首は体重を支える重要な部位であり、足関節は脛骨、腓骨、距骨の3つの骨で構成されています。交通事故の衝撃で強くひねられたり圧迫されたりすると骨折が生じやすい箇所です。主な症状として激しい腫れ・痛み・歩行困難が現れます。靭帯損傷を伴うケースも多く、足関節の可動域制限が残ることもあります。
大腿骨(太もも)骨折:人間の体で最も長い骨である大腿骨が骨折した場合、歩行が著しく困難になることがあります。特に高齢者では寝たきりになるリスクも高く、後遺症が残る可能性が高い重篤な骨折です。
脛骨(すね)・腓骨骨折:膝と足首をつなぐ脛骨・腓骨の骨折は、交通事故における下肢骨折の中でも発生頻度が高い部位です。骨が皮膚を突き破る「開放骨折」となる場合もあります。脛骨の膝関節内の骨折(高原骨折)の場合、膝関節の可動域に制限が出ることもあります。膝関節に近い部位の骨折では、靭帯損傷を伴うことも多いです。
骨盤骨折:交通事故による高エネルギー外傷で生じやすく、内臓への影響や大量出血を伴う危険な骨折です。長期入院・手術が必要となるケースが多く、後遺症のリスクも高い骨折です。
いずれの骨折も、事故直後は痛みや腫れが目立ちますが、時間が経つにつれて症状の全貌が明らかになることがあります。
「大丈夫だろう」と放置せず、整形外科などで画像検査(レントゲン・MRI)を受けることが重要です。
(2)骨折の治療法と回復期間
足の骨折に対する一般的な治療法は、骨折の部位・程度・ずれの有無などによって異なります。
保存療法(ギプス固定など):骨のずれが少ない場合は、ギプスや副木で患部を固定し、安静を保ちながら骨の自然癒合を待ちます。固定期間は骨折部位によって異なりますが、一般的に4〜8週間程度が目安です。その後、リハビリによって関節の可動域や筋力を回復させていきます。
手術療法(観血的整復固定術など):骨のずれが大きい場合や粉砕骨折の場合は、金属プレートやボルトで骨を固定する手術が行われます。手術後はリハビリが必要となり、金属を抜去する再手術が必要になる場合もあります。
回復にかかる期間の目安:骨折が癒合するまでに要する期間は、骨折の部位・重症度・年齢・体の状態によって異なります。軽度の骨折でも2〜3ヶ月程度、重症例では半年以上に及ぶことも珍しくありません。さらに、骨癒合後もリハビリが続くため、社会復帰までにはより長い期間を要するケースがあります。
3.交通事故で骨折した場合の慰謝料の種類
(1)入通院慰謝料とは
入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、交通事故の受傷による入院・通院期間中の精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
骨折による長期の治療や療養、日常生活の制限、仕事への影響など、受傷後から治療終了(症状固定)までの精神的負担が補償の対象となります。
慰謝料の金額は、主に入院期間と通院期間の長さをもとに算定されます。
なお、「症状固定」とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めないと医師が判断した状態のことです。
症状固定の時点で治療を終了し、その後に残った症状は「後遺障害」として別途認定・請求する流れになります。
(2)後遺障害慰謝料とは
後遺障害慰謝料とは、症状固定後も痛みや機能障害などの症状が残り、後遺障害等級の認定を受けた場合に請求できる慰謝料です。
骨折の場合、治療が完了しても以下のような症状が残ることがあります。
- 関節が正常な範囲まで動かなくなる(機能障害)
- 慢性的な痛みやしびれが続く(神経障害)
- 骨が正常に癒合せず、不安定な状態になる(変形障害)
- 足の長さに左右差が生じる(短縮障害)
これらの症状が認定された等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額が決まります。
入通院慰謝料と比べて金額が大きくなるケースが多く、適切な後遺障害認定を受けることが適正な補償を得る上で非常に重要です。
4.骨折の慰謝料相場と算定基準
慰謝料の算定には、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判基準)」の3つの基準が用いられます。どの基準を使うかによって、受け取れる金額に大きな差が生じます。
(1)自賠責保険基準による慰謝料
自賠責保険基準は、国が定めた最低限の補償を目的とした基準です。入通院慰謝料の計算式は以下のとおりです。
1日あたり4,300円(2020年4月以降)×対象日数
「対象日数」は、①実際に治療を受けた日数(実治療日数)×2 と、②入院・通院の合計期間(暦日数)のいずれか少ない方が採用されます。
たとえば、通院期間6ヶ月・実治療日数60日の場合、60日×2=120日と180日(6ヶ月)を比べ、少ない120日が対象となり、4,300円×120日=51万6,000円が慰謝料の目安となります。
ただし、自賠責保険には傷害部分の上限額(120万円)が設けられており、治療費や交通費なども含めてこの範囲内でしか補償されません。
(2)任意保険基準による慰謝料
任意保険基準は、各任意保険会社が独自に設定している基準です。
こちらの基準は、あくまで保険会社内部で運用している基準で公開されていませんが、自賠責基準よりは多少高い基準に設定されています。
(3)弁護士基準による慰謝料相場
弁護士基準(裁判基準)は、過去の裁判例をもとに設定された基準で、3つの算定基準の中で最も高額な補償が得られます。
骨折のように客観的所見が明らかな場合は、「別表I」と呼ばれる高い方の基準が適用されます。
以下は弁護士基準(別表I)による入通院慰謝料の目安です。
| 通院期間 | 通院のみの場合 | 入院1ヶ月+通院の場合 |
| 1ヶ月 | 28万円 | 77万円 |
| 2ヶ月 | 52万円 | 98万円 |
| 3ヶ月 | 73万円 | 115万円 |
| 4ヶ月 | 90万円 | 130万円 |
| 5ヶ月 | 105万円 | 141万円 |
| 6ヶ月 | 116万円 | 150万円 |
自賠責基準と比較すると、弁護士基準の方が大幅に高額となることがわかります。
保険会社との示談交渉では、弁護士が介入することで弁護士基準の適用を主張できるため、弁護士への依頼を検討することが重要です。
5.後遺障害等級の認定とその影響
(1)後遺障害等級の概要
後遺障害等級とは、交通事故による後遺症の重さに応じて定められた1〜14級の分類制度です。
等級が高い(数字が小さい)ほど重篤な障害を意味し、受け取れる慰謝料や逸失利益の金額も大きくなります。
等級の認定は、相手方保険会社を通じて自賠責保険会社に申請する「事前認定」と、被害者自身が直接自賠責保険会社に申請する「被害者請求」の2通りの方法があります。
適正な等級認定を目指す上では、主治医が作成する後遺障害診断書の内容が極めて重要です。
症状や検査結果が漏れなく正確に記載されるよう、受診時に自覚症状を医師に詳しく伝えることが大切です。
(2)骨折による後遺障害等級の具体例
足の骨折によって認定される可能性がある主な後遺障害等級を、弁護士基準の慰謝料額とともに紹介します。
| 等級 | 主な症状の例 | 弁護士基準の慰謝料 |
| 14級 | 局部に神経症状を残すもの(痛み・しびれが継続) | 110万円 |
| 13級 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの | 180万円 |
| 12級 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 局部に頑固な神経症状を残すもの | 290万円 |
| 10級 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 550万円 |
| 8級 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 830万円 |
| 7級 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの | 1,000万円 |
足の骨折では、骨が癒合した後も、痛みやしびれ(神経障害)、関節の可動域制限(機能障害)などの症状を残すことがあります。
これらの症状が医学的に認められる場合、後遺障害等級が認定される可能性が高くなります。
特に、足関節・膝関節・股関節などの主要な関節に可動域制限が残った場合は、12級・10級・8級などの高い等級に該当する可能性があるため、後遺障害診断書に正確な検査結果を記載してもらう必要があります。
また、可動域制限が残らなかった場合でも、骨折部位に痛みが残っている場合は14級が認定されやすいため、症状固定前から医師に症状を詳しく伝え、診断書やカルテなどに適切に残してもらうことが重要です。
6.交通事故の骨折で慰謝料を請求するための手続き
(1)必要な書類と証拠
慰謝料を適正に請求するためには、事故の状況と損害を客観的に証明する書類・証拠の準備が不可欠です。
主に必要となる書類は以下のとおりです。
【事故を証明する書類】
- 交通事故証明書
- 事故車の損傷状況が分かる写真・修理見積書
【治療・傷病を証明する書類】
- 診断書(骨折の診断内容が明記されたもの)
- 診療報酬明細書(レセプト)
- 治療費の領収書
- 後遺障害診断書(後遺障害が残った場合)
【収入・生活への影響を証明する書類】
- 休業損害証明書(勤務先に作成してもらう)
- 源泉徴収票・確定申告書(収入を証明するため)
弁護士に依頼する場合は、書類収集のサポートも受けられます。
また、自動車保険に弁護士費用特約が付帯されている場合は、一般的に自己負担なく弁護士に依頼できるため、まず保険証券を確認することをおすすめします。
(2)請求の流れと注意点
交通事故による慰謝料の請求は、おおまかに以下の流れで進みます。
1. 事故直後の対応
警察への通報・相手方の情報確認・現場の記録を行います。
警察に届け出ないと「交通事故証明書」が取得できず、その後の請求が困難になります。
2. 医療機関での治療
整形外科などで骨折の診断を受け、医師の指示に従って治療を続けます。
通院の間隔が開きすぎると「完治した」と判断されるリスクがあるため、定期的な受診を維持することが重要です。
3. 症状固定・後遺障害の申請
治療を続けても改善が見込めなくなった段階で医師が「症状固定」を判断します。
後遺症が残っている場合は、後遺障害等級の認定申請を行います。
4. 保険会社との示談交渉
症状固定・後遺障害等級の確定後、保険会社と損害賠償額について交渉します。
提示額が適正かどうか、弁護士基準と照らし合わせて慎重に判断することが重要です。
5. 示談書の締結・慰謝料の受領
双方が合意した内容で示談書を締結し、通常1〜2週間後に慰謝料が口座に振り込まれます。
なお、示談成立後は原則として追加請求ができないため、後遺症の状況が固まるまで安易に示談に応じないことが重要です。
(3)交通事故で足を骨折した場合の慰謝料事例
交通事故で足を骨折した場合の慰謝料や損害賠償額は、骨折の部位、治療期間、後遺障害等級、休業損害の有無によって大きく異なります。
たとえば、足関節の可動域制限が残り、後遺障害12級が認定されたケースでは、裁判基準では後遺障害慰謝料として290万円が目安となります。
関節の機能障害がさらに重い場合には、10級で550万円、8級で830万円が目安となります。
一方で、保険会社側から提示される金額は、弁護士基準より低いことがあります。
そのため、提示額をそのまま受け入れるのではなく、弁護士に相談し、適正な損害賠償額を確認することが解決への近道です。
7.慰謝料以外に請求できる損害
交通事故による足の骨折では、慰謝料のほかにもさまざまな損害を請求することができます。
損害の全体像を把握した上で、漏れなく請求することが大切です。
(1)休業損害の請求
休業損害とは、交通事故のケガによって仕事を休んだことで生じた収入の減少分を補う損害賠償です。
会社員・自営業・主婦(主夫)のいずれの場合でも請求が可能です。
計算の基本は「事故前の日収×休業日数」です。
日収は、会社員であれば事故前3ヶ月の給与をもとに算定し、自営業者は確定申告書などを参考にします。
主婦(家事従事者)の場合は、賃金センサスの女性全年齢平均賃金をもとに算定します。
骨折により長期間仕事を休む必要が生じた場合は、休業損害だけで数十万〜数百万円に及ぶこともあります。
勤務先に「休業損害証明書」を作成してもらい、しっかりと請求しましょう。
(2)治療費やリハビリ費用の請求
骨折の治療に要した費用は、原則として相手方の保険会社が全額負担します。
請求できる費用の主な項目は以下のとおりです。
- 入院・手術費用(手術費・入院室料・食事代など)
- 通院治療費(診察料・検査料・薬代など)
- 装具費用(松葉杖・装具・車いすなど)
- 通院交通費(電車・バス代、タクシーが必要な場合はタクシー代)
- 入院雑費(日額1,500円程度が目安)
治療費に関する書類(領収書・明細書)は必ずすべて保管しておきましょう。
また、将来的に追加の手術(金属プレートの抜去手術など)が見込まれる場合、将来の治療費も請求できる場合があります。
8.交通事故の骨折で適正な慰謝料を得るためのポイント
(1)医師の指示に従う重要性
適正な慰謝料を得るためには、治療中の行動が非常に重要な意味を持ちます。
特に以下の点には注意が必要です。
定期的な通院を続ける:通院の間隔が開きすぎると、保険会社から「症状が改善した」「治療の必要はなくなった」と判断され、治療費の打ち切りや慰謝料の減額につながるリスクがあります。医師の指示に従い、定期的に通院することが重要です。
自覚症状を正確に医師に伝える:骨折後に残る痛みやしびれは、後遺障害認定の重要な判断材料となります。診察時に「良くなった」と軽く伝えてしまうと、後遺障害診断書に症状が適切に記載されない可能性があります。気になる症状はすべて、正確に医師に伝えることが大切です。
安易に示談に応じない:保険会社から早期に示談を提案されることがありますが、症状が固まる前に示談すると、その後の治療費などが追加請求できません。治療が終了し、症状が固定してから交渉に臨むようにしましょう。
(2)弁護士に相談するメリット
交通事故の骨折事案は、医学的・法律的な知識が複雑に絡み合うため、弁護士に依頼することで得られるメリットは非常に大きいです。
弁護士基準で慰謝料を算定・交渉できる:弁護士なしで保険会社と交渉する場合、多くの場合で自賠責基準や任意保険基準の低い金額で示談になってしまいます。弁護士が介入することで、弁護士基準(裁判基準)に基づいた適正な金額を主張でき、慰謝料が増額される可能性が高まります。
後遺障害認定のサポートを受けられる:適切な後遺障害等級の認定を受けるために、後遺障害診断書の記載内容や医師への伝え方についてアドバイスを受けることができます。等級が1段階変わるだけで、慰謝料や逸失利益が大幅に変わるため、専門家のサポートは非常に重要です。
精神的な負担を軽減できる:ケガの治療で身体的につらい状況の中、保険会社とのやり取りを自分で行うことは大きなストレスです。弁護士に交渉を一任することで、治療に専念できます。
弁護士費用特約で自己負担ゼロのケースも:自動車保険の弁護士費用特約が使える場合、弁護士費用は保険会社が負担するため、多くの場合、被害者の自己負担はゼロになります(※)。加入している保険を確認の上、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
※得られた示談金が高額の場合には、特約の300万円の枠を超えて自己負担が発生する場合もありますが、その場合には不足分は示談金から充当されますので、いずれにしてもご自身で費用を捻出する必要はなく、負担は少ないといえます。
当法律事務所では、交通事故の被害者側のご相談を受け付けています。
保険会社から提示された慰謝料の金額が妥当かどうか、後遺障害等級の申請をどう進めるべきか、弁護士費用特約を利用できるかなど、状況に応じて具体的にサポートいたします。
足の骨折による慰謝料請求でお困りの方は、早めにご相談ください。
9.交通事故による骨折の慰謝料に関するQ&A
(1)通院期間による慰謝料の相場
Q. 骨折で6ヶ月通院した場合、慰謝料はどれくらいになりますか?
A. 弁護士基準(別表I)では、通院6ヶ月の入通院慰謝料の目安は116万円程度です(入院なし・通院のみの場合)。これに対し、自賠責基準での算定では40〜50万円前後となるケースが多く、基準によって受け取れる額に大きな差が生じます。
Q. 治療中に保険会社から「治療費の支払いを打ち切る」と言われました。どうすればよいですか?
A. 保険会社の打ち切り通知は、医学的な「完治」や「症状固定」を意味するわけではありません。まだ痛みや症状が残っており、主治医も治療継続が必要と判断している場合は、安易に同意する必要はありません。強引に打ち切られる場合には、健康保険に切り替えて通院を継続し、治療費は後から別途請求する方法もあります。打ち切りを打診された場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
Q. 骨折の慰謝料請求だけでなく、過失割合や物損についても依頼できますか?
A. はい、対応可能です。交通事故に関する損害賠償の問題はケガに関するものだけでなく、過失割合の争いや車両・物的損害(物損)についても一括してご相談・ご依頼いただくことが可能です。
(2)後遺障害が残った場合の慰謝料
Q. 後遺障害が残った場合、慰謝料はどれくらい増えますか?
A. 後遺障害が認定されると、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料と逸失利益が発生します。後遺障害慰謝料は、弁護士基準では14級(局部に神経症状)で110万円、12級(関節機能に障害または頑固な神経症状)で290万円、10級(関節機能に著しい障害)で550万円の後遺障害慰謝料となります。これに逸失利益が加算されるため、最終的な損害賠償総額は慰謝料だけでなく、年収や症状固定時の年齢によっても大きく異なります。
Q. 慰謝料はいつ支払われますか?
A. 原則として、治療が終了(症状固定)し、後遺障害等級が確定した後に保険会社との示談交渉を行い、双方が合意して示談書を取り交わしてから約1〜2週間後に口座へ振り込まれます。示談書への署名前に、弁護士にチェックを依頼することをおすすめします。
まとめ:交通事故で骨折した場合の対応
・適切なアクションを取るために
交通事故で足を骨折した場合、適正な慰謝料を得るために大切なことをまとめます。
事故後すぐに行うべき行動:まず警察に通報し、相手方の情報と現場の状況を記録します。その後、できるだけ早く整形外科を受診し、骨折の診断書を取得しましょう。事故に関係する領収書はすべて保管し、通院を定期的に継続することが重要です。
治療中に意識すること:自覚症状(痛み・しびれ・可動域の制限など)を毎回正確に医師に伝え、診療記録に残してもらいましょう。治療が一段落したら、後遺障害の有無を医師と相談した上で、後遺障害等級の申請を検討します。
保険会社との交渉で注意すること:提示された慰謝料が弁護士基準と比べて低い場合は、安易に示談に応じず、弁護士に相談した上で交渉を進めましょう。
・専門家への相談の重要性
交通事故による骨折は、適切に対応しなければ受け取れる補償が本来の水準を大幅に下回ってしまうおそれがあります。
特に後遺障害が残るような重傷事案では、弁護士への相談が適正な賠償を得るための最善策となります。
当法律事務所では、交通事故案件に対応している所属弁護士が、被害者側の慰謝料請求や後遺障害等級認定、保険会社との交渉をサポートしています。
「提示された金額が適正かわからない」「後遺障害の申請方法を知りたい」「痛みやしびれが残っているが認定される可能性があるのか不安」といった方は、無料相談をご利用ください。
一人で悩まず、まずは専門家にご相談いただくことをおすすめします。
全国からご相談いただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
【関連記事】
投稿者プロフィール

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベストベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
初回相談は無料で、弁護士費用特約にも対応しています。
全国どこからでもご相談いただけますので、不安を抱え込まず、まずは一度お気軽にお問い合わせください。
交通事故の評価損(格落ち損害)とは?認められる条件・判例・計算方法を弁護士が解説
今回は、交通事故における評価損(格落ち損害)について解説いたします。
交通事故被害によって車両が損傷した場合、加害者側の保険会社から「修理費用はこちらで負担します」と言われれば、ひとまずはホッと胸をなでおろすかもしれません。
しかし、完全な修理がなされたとしても、例えば車両の骨格部分等に損傷が生じた場合、その車両は中古車市場において「修復歴あり」と扱われ、交換価値(市場価格)が下落することは避けられません。
このような車両価値の下落分、すなわち「評価損(格落ち損害)」は、不法行為(交通事故)に基づく損害賠償における費目の1つです。
本稿では、評価損が認められるための要件、特に高級車が認められやすい傾向にある理由、そして令和における最新の裁判例や当事務所における解決事例について解説いたします。
1.評価損を巡る実務の現状
評価損については、実務上、「評価損も発生していますから、上乗せしてお支払いしますね」などと言って、保険会社の担当者が自ら支払いを提示することは極めて稀です。
つまり、被害者側から主張しなければ、検討されることすらないということになります。
これは評価損という損害が、算出する際の考慮要素が多岐にわたり、評価も難しいためであるものと思われます。
また、かつては、評価損についてこれを否定する見解もありました。
修理によって事故前の状態に戻っている以上、損害は発生していないという考え方です。
ただ、現在では、一定の場合には評価損を肯定する見解が一般的です。
修理により事故前の状態に戻ったとしても、中古車市場では事故歴のある車は価値が低下する傾向にある以上、その交換価値(市場価格)は現実的に減少しているためです。
このような資産価値の減少が生じている以上、被害者としては、評価損を請求することができないか検討した方が良いでしょう。
2.評価損が認定されるための判断基準
評価損を認定するにあたっては、主に以下の考慮要素が総合的に評価されます。
まず挙げられるのが、「初度登録からの期間」です。
初度登録からの期間が短ければ短いほど、評価損は認定されやすくなります。
これは、新車に近いような自動車が事故に遭うと交換価値が大きく低下するためです。
一方、初度登録からの期間が長い車両は、何らかの不具合がある可能性も想定した上で取引されることが通常であり、事故の有無が大きな意味を持たなくなることもあってか、評価損が認定されるハードルは高くなります。
次に挙げられるのが、「走行距離」です。
走行距離が長くなるにつれて、評価損が認定されるハードルは高くなります。
これは、初度登録から期間が経過している場合と同様に、走行距離が長い場合も、何らかの不具合がある可能性も想定した上で取引されることが通常であるため、事故の有無が大きな意味を持たなくなってくるためであるものと思われます。
さらに挙げられるのが、「損傷の程度」です。
骨格部分への損傷がある場合、評価損は認定されやすくなります。
これは、骨格部分への損傷は、修復歴表示義務に繋がり得るものであるためです。
なお、中古車販売業者に表示義務のある修復歴は、①フレーム(サイドメンバー)、②クロスメンバー、③フロントインサイドパネル、④ピラー(フロント、センター及びリア)、⑤ダッシュパネル、⑥ルーフパネル、⑦フロアパネル、⑧ トランクフロアパネルの修復(修正・補修)とされています(自動車公正競争規約11条(10)・同施行規則14条)。
3.高級車は評価損が認定されやすい
例えばレクサスやベンツ等、価格が相応に高額で、一般に高級な印象を与える、いわゆる高級車は、評価損が認められやすい傾向にあります。
いわゆる大衆車の場合、初度登録から3年以上を経過すると評価損が認められにくい傾向にありますが、高級車の場合は5年以上である場合に評価損が認められにくくなる傾向にあるという印象です。
また、走行距離についても、いわゆる大衆車の場合、4万キロ程度以上になると評価損が認められにくい傾向にありますが、高級車の場合は6万キロ程度である場合に評価損が認められにくくなる傾向にあると指摘されているところです。
これらの要因として、高級車を中古で購入する層は、車両の状態に対して非常に高い水準を求める傾向にあるため、「修復歴」の有無がリセールバリューに与えるインパクトが、大衆車に比べて極めて大きくなるというのが挙げられるのではないでしょうか。
4.評価損の裁判例
⑴ レクサスで評価損として修理費用の約30%を認定
ここでは、大阪地裁令和2年11月24日判決を紹介いたします。
車種:レクサスRX200tバージョンL
初度登録からの期間:約6ヶ月
走行距離:4040キロ
損傷部位:バッテリ部分(バッテリトレイ、バッテリランプ等)を含むフロント部分が大破し、前部内板骨格部(左右のフロントサイドメンバー、左右のフロントフェンダーエプロン等)まで損傷
裁判所は、次のとおり判断しました。
「・・原告車が本件事故当時初度登録から約6か月の国産国産高級車であり、損傷が内部骨格を含む相当部分に及んでいることに照らせば、原告車には基本骨格に係る評価損が発生したものと認められる。そして、その損害は、上記修理費の約30%である130万円と認めるのが相当である。」
⑵ ミニクーパーで評価損として修理費用の約20%を認定
ここでは、東京地裁令和6年6月12日判決を紹介いたします。
車種:ミニクーパー
初度登録からの期間:約1年5ヶ月
走行距離:9353キロ
損傷部位:リヤバンパー等の交換修理、車両の骨格部分であるフロアパネルの板金修理
裁判所は、次のとおり判断しました。
「・・原告車は、外国車の人気車種であるミニクーパーであり、本件事故(令和4年5月24日)時点で、初度登録から1年6月に満たず、走行距離も9353kmで、1万kmに満たない状態であったところ、合計135万5860円もの修理費がかかる損傷を負ったことが認められる。そして、これらのことからすると、同修理内容のうち、中古車販売業者に修理歴の表示義務がある部分の修理はフロアパネルの板金修理のみでありその金額が4万9000円に過ぎないこと(認定事実(2))や、原告車の修理後、原告車の機能上、外観上の欠陥が生じていないこと(上記(1)参照)を踏まえても、原告車について、現実的に、中古車市場流通性上の心理的嫌悪感を原因とした評価額の低下が生じる可能性は極めて高いといえる。そうすると、原告車について、取引上の評価損が生じるといえるが、その額は、原告車の車種や修理内容(骨格部分の修理費が僅か4万9000円にとどまること)等を考慮し、修理費用135万5860円の約2割に当たる27万円とするのが相当である。なお、原告は、原告車の評価損は、甲6号証(阿部モータースが作成した原告車の査定書)等も根拠とし、50万円とすべきであると主張するが、同査定書は、本件事故による原告車の減価額の算出方法が不明であり、これを評価損額の根拠とすることはできないし、他に、上記認定を覆すに足る証拠はない。」
⑶ ベンツで評価損として修理費用の約10%を認定
ここでは、東京地裁令和5年9月27日判決を紹介いたします。
車種:メルセデスベンツ
初度登録からの期間:約4年9ヶ月
走行距離:1万6135キロ
損傷部位:後部の左側(リアバンパーの左側、左テールランプ、左クオーターパネル等)が損傷しており、中でも左側下部(リアバンパー)の損傷が激しい。
また、内部骨格の一部であるリアバンパクロスメンバーに取替が必要なほどの損傷が生じており、リアフロアパンも損傷。
裁判所は、次のとおり判断しました。
「原告の車両はメルセデス・ベンツであるところ、初度登録は平成28年8月で本件事故当時までに4年9か月が経過しているものの、走行距離は令和3年5月24日時点で1万6135kmに留まる(甲2、5、乙5)。そして、本件事故により原告車には内部骨格の一部であるリアバンパクロスメンバーに取替が必要なほどの損傷が生じていること(甲5)も踏まえると、原告車には、評価損が生じているというべきである。他方、本件事故時の原告車の時価額が140万円であるとうかがわれること(乙5・2頁)も踏まえれば、原告の評価損は、修理費用136万6530円(前記第2の1(2))の1割である13万6653円を認めるのが相当である。」
5.当事務所における解決事例~修理費用の約23%で示談解決
車種:ジープラングラー Unlimited Sport
初度登録からの期間:約1年3ヶ月
走行距離:1万5422キロ
損傷部位:足回り交換、右リアドア交換、右リア廻りパネル交換・フェンダー交換、フロア部分板金
この事案では、当初、加害者側保険会社が評価損を否定しており、その点に疑問を感じた被害者(宮崎県在住)の方から当事務所にご相談いただきました。
ご依頼いただいた後、当事務所の担当弁護士が、加害者側の保険会社や代理人弁護士と交渉した結果、評価損として、修理費用の約23%である70万円にて示談することができました。
6.まとめ
評価損は、算出する際の考慮要素が多岐にわたり、評価も難しい損害費目です。
そのため、評価損について被害者自身が保険会社と交渉するのは、かなりハードルが高いものと思われます。
しかし、弁護士が介入し、法的な根拠に基づいた主張・立証を行うことで、保険会社の態度が変わることもあります。
特に、資産価値の高いお車や、大切に維持されてきたお車であれば、その価値を正当に評価させることは、被害者の正当な権利です。
私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料です。
また、当事務所は一般的な弁護士費用特約の料金体系で対応しておりますので、弁護士費用特約を付帯されている場合には、同特約により弁護士費用を賄うことが可能となっております。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
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交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
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交通事故で弁護士に依頼すべき?リハビリ後の慰謝料請求の交渉術
突然の事故により、怪我の痛みや日々の治療・リハビリに伴う精神的な苦痛だけでなく、「最終的な慰謝料はどれくらいもらえるのか?」、「どうすれば保険会社から適正な補償を受けることができるのか?」といった金銭的な不安に直面されている方は非常に多くいらっしゃいます。
保険会社の担当者とのやり取りは、専門用語も多く、被害者の方にとって大きなストレスとなり、結果として適正な慰謝料などを請求できずに損をしてしまうケースも少なくありません。
本記事では、全国の交通事故被害をサポートしている私たち弁護士法人優誠法律事務所の弁護士が、交通事故被害者の方が損をすることなく、正当な慰謝料を獲得するための知識と交渉術について徹底解説いたします。
交通事故における慰謝料は、通院日数やリハビリの頻度、治療期間、症状の程度によって金額が大きく変動します。
また、休業損害や通院交通費などの他の損害費目も含めて総合的に請求する必要があります。
リハビリのための通院に関する注意点や、保険会社との交渉のポイントを押さえておくことで、あなたが受け取る慰謝料の額は大きく変わる可能性がありますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.交通事故で多いむち打ち症・打撲症とは?
交通事故で多いむち打ち症、打撲症とは、特に追突事故などで最も多く見られる怪我で、「頚椎捻挫・外傷性頚部症候群・腰椎捻挫」などと診断されます。
むち打ちは、事故の強い衝撃で首や腰がムチのようにしなることで起こる外傷であり、首や肩の痛み、頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれ、脱力感など、身体に多様な症状を引き起こします。
むちうちは軽傷と判断されがちですが、後遺症として症状が残るケースもあり、後遺障害等級認定の対象となる可能性があります。
ここで最も注意すべき点は、むち打ちの症状は事故直後には現れず、数日経ってから痛みや違和感が悪化するケースも多いという点です。
事故直後は興奮状態にあるため、痛みを感じにくいことも影響しています。
そのため、自覚症状が軽くても決して放置せず、事故後は速やかに整形外科などの医療機関を受診し、適切な治療やリハビリを開始することが重要です。
また、事故から約2週間以上経過してから初めて受診した場合、怪我と事故との因果関係を保険会社から疑われ、原則として自賠責保険が適用されず、治療費や慰謝料の請求が認められなくなるという重大な注意点があります。
2.交通事故のリハビリ慰謝料の相場はいくら?
交通事故によるリハビリの慰謝料は、「通院期間」「症状の程度」「後遺障害の有無」などによって大きく変動します。
ここでは、代表的なケースごとの相場を具体的に解説します。
⑴ むちうちの場合(通院3ヶ月・6ヶ月)
むちうち(頚椎捻挫など)の場合、通院期間によって慰謝料の相場は大きく異なります。
・通院3ヶ月の場合:約50万円程度
・通院6ヶ月の場合:約90万円程度
これは弁護士基準(裁判所基準)による算定であり、保険会社が提示する任意保険基準ではこれよりも低い金額となるケースが一般的です。
また、通院日数やリハビリの頻度が極端に少ない場合には、「治療の必要性が低い」と判断され、慰謝料が減額される可能性がある点にも注意が必要です。
⑵ 入院あり・なしでの違い
交通事故による怪我で入院が必要となった場合、入通院慰謝料の金額は大きく増加します。
例えば、同じ通院期間であっても、
・通院のみの場合
・入院+通院の場合
では、後者の方が精神的・肉体的苦痛が大きいと評価されるため、慰謝料の相場は高額になる傾向があります。
特に骨折などの重傷事故では、入院期間が長くなるケースも多く、結果として賠償金全体が高額になることもあります。
⑶ 後遺障害がある場合
治療やリハビリを継続しても症状が改善せず、「症状固定」と診断された場合には、後遺障害等級認定の申請を行うことになります。
後遺障害が認定されると、
・後遺障害慰謝料
・逸失利益
を別途請求することが可能となり、損害賠償額は大幅に増加します。
例えば、むちうちで後遺障害14級が認定された場合、後遺障害慰謝料だけでも約110万円程度となり、さらに将来の収入減少に対する逸失利益が加算されます。
このように、後遺症が残るかどうかによって最終的な金額は大きく変わるため、適切なタイミングでの申請と証拠の収集が重要となります。
3.リハビリ通院で慰謝料はどう計算される?
交通事故におけるリハビリ期間の慰謝料は、単純に通院した回数だけで決まるものではなく、「通院期間」「実通院日数」「算定基準」によって計算されます。
ここでは、具体的な計算方法と注意点をわかりやすく解説します。
⑴ 慰謝料計算の基本(通院期間と通院日数)
リハビリ通院における慰謝料の計算では、主に以下の2つが重要な指標となります。
・通院期間(治療開始から終了までの期間)
・実通院日数(実際に通院した日数)
自賠責基準では、「通院期間」と「実通院日数×2」を比較し、少ない方を採用して慰謝料を算出します。
一方で、弁護士基準(裁判所基準)では、原則として通院期間をベースに算定されるため、単純に通院回数を増やせば金額が増えるというわけではありません。
⑵ 自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の違い
慰謝料の計算においては、どの基準を用いるかによって金額が大きく異なります(下記の「5.慰謝料の算定方法」でも詳しく説明します。)。
・自賠責基準:最低限の補償を目的とした基準
・任意保険基準:保険会社独自の基準
・弁護士基準:裁判所の考え方に基づく最も高額な基準
保険会社から提示される金額は、多くの場合任意保険基準によるものであり、被害者が本来受け取るべき適正な慰謝料より低いケースがほとんどです。
⑶ 通院頻度と慰謝料の関係
リハビリの通院頻度も慰謝料の算定に影響を与える重要な要素です。
通院頻度が極端に少ない場合、保険会社から「治療の必要性が低い」と判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
一般的には、週2〜3回程度の通院頻度が一つの目安とされており、医師の指示に従って適切にリハビリを継続することが重要です。
⑷ 慰謝料計算で注意すべきポイント
慰謝料の計算においては、以下のような点に注意が必要です。
・自己判断で通院をやめてしまう
・必要以上に通院回数を増やす
・医師の指示に従わない治療を行う
これらは保険会社との示談交渉において不利に働き、適正な損害賠償を受けられなくなる可能性があります。
4.慰謝料が増額・減額される3つのポイント
交通事故における慰謝料は、単に通院すれば自動的に決まるものではなく、対応や状況によって大きく増額・減額される可能性があります。
ここでは、特に重要となる3つのポイントについて解説します。
⑴ 通院期間・通院頻度が適切かどうか
リハビリ通院の期間や頻度は、慰謝料の算定に直接影響する重要な要素です。
通院頻度が極端に少ない場合には、「症状が軽い」「治療の必要性が低い」と保険会社に判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
一方で、医師の指示に基づき適切な頻度で通院を継続している場合には、通院の必要性が認められ、適正な慰謝料を受け取ることが可能となります。
⑵ 症状の一貫性と後遺障害の有無
事故後の症状が一貫しているかどうかも、慰謝料の金額に影響します。
例えば、途中で症状の訴えが変わったり、診断内容と整合しないケースでは、事故との因果関係が疑われ、その後の期間の損害賠償が認められない可能性があります。
また、症状固定後に後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益が加算されるため、最終的な金額が大幅に増額されるケースもあります。
⑶ 保険会社との示談交渉の進め方
慰謝料の金額は、基本的に保険会社との示談交渉によって決定します。
保険会社は任意保険基準を基に金額を提示してくることが多く、そのまま受け入れてしまうと、本来受け取るべき相場よりも低い金額で合意してしまう可能性があります。
弁護士が介入することで、弁護士基準(裁判所基準)による交渉が可能となり、提示額から大幅に増額されるケースも少なくありません。
5.慰謝料の算定方法
慰謝料の算定は、交通事故における損害賠償の中でも重要な要素であり、適切な基準で計算・算出することが求められます。
交通事故における慰謝料とは、被害者が事故によって被った精神的・肉体的な苦痛に対して支払われる賠償金の一部です。
ただ、その金額は一律ではなく、誰がどの基準を用いて計算するかによって、最終的な受取額に大きな差が生じます。
⑴ 自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判所)基準とは
交通事故の入通院慰謝料には、主に以下の3つの算定基準が存在します。
・自賠責保険基準:自動車損害賠償保障法に基づき、すべての交通事故被害者への「最低限の補償」を目的とした基準です。 救済のベースラインであるため、金額は3つの基準の中で最も低く設定されています。
・任意保険基準:各任意保険会社が独自に定めている基準です。 計算方法や内部の算定基準は非公開とされていますが、一般的には自賠責基準より少し高い程度であり、被害者が本来受け取るべき適正な金額には遠く及びません。示談交渉において、加害者側の保険会社が提示してくる慰謝料額は、多くの場合この低めに設定された基準に基づくものです。
・弁護士基準(裁判所基準):過去の交通事故の裁判例に基づいて作成された、最も高額になる基準です。交通事故案件に強い弁護士が代理人として介入した場合や、裁判になった場合に適用される基準であり、これが被害者の受け取るべき「適正な相場の金額」と言えます。
⑵ それぞれの計算方法及び具体的な算定例
では、具体的に「通院期間3ヶ月(90日)、実際の治療やリハビリに通った実通院日数30日」のむち打ち症のケースで入通院慰謝料を計算して比較してみましょう。
・自賠責基準の場合
計算式は「治療期間の日数(90日)」と「実治療日数(30日)×2=60日」を比較し、いずれか少ない日数を採用して、1日あたり4,300円(2020年4月1日以降の事故の場合)を掛けます。
この場合、少ない方の60日が採用され、60日×4,300円=【258,000円】が慰謝料となります。
・弁護士(裁判所)基準の場合
裁判所基準では、「赤い本」と呼ばれる書籍に掲載されている算定表を用い、主に通院期間(月数)をベースに計算します。むち打ち等(他覚所見のない神経症状)で3ヶ月間通院した場合の慰謝料の相場は【530,000円】となります。
このように、全く同じ怪我、同じ治療内容であっても、弁護士基準で計算して請求するだけで慰謝料が2倍以上に跳ね上がる点に大きな注意が必要です。
また、事故の状況によっては過失割合が問題となり、被害者側にも一定の過失が認められる場合には、慰謝料や損害賠償額が減額される点にも注意が必要です。
6.慰謝料計算のポイント
⑴ むち打ち症における通院期間
上記のとおり、入通院慰謝料の計算には、その通院期間が大きなファクターとなっています。
この点、むち打ち症の場合、適切な慰謝料を得るための通院期間の目安は、一般的に3か月から6か月の間となるケースが多いです(必ずそうなるということではなく、個別に判断されるものであることはご留意ください)。
痛みが続いている限り、安易に自己判断で通院を中断せず、完治するか、あるいは「症状固定(これ以上治療しても大幅な改善が見込めない状態)」と医師が判断するまで、しっかりと治療を継続することが重要です。
通院日数や通院回数が極端に少ない場合、保険会社から治療の必要性が低いと判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
⑵ 通院期間交渉(一括対応の終了打診)とは
他方で、交通事故の治療・リハビリを数ヶ月続けていると、保険会社から「そろそろ症状固定として、治療を終了しませんか?」と打診されることがあります。
これを保険業界の用語で、治療費の「一括対応の終了打診(治療打ち切り)」と呼びます。
保険会社は営利企業ですから、早期に治療費の支払いを打ち切ることで支出を抑え、さらに慰謝料の算定基礎となる通院期間を短くして賠償金全体を少なく抑えたいという明確な狙いがあります。
まだ痛みが残りリハビリが必要な状態であるにもかかわらず、安易に打ち切りに同意してしまうと、その後の治療費が自己負担になるだけでなく、慰謝料の算定期間も短くなり大幅な減額を招くという点に注意が必要です。
⑶ 通院期間を確保するための交渉術
保険会社からの不当な治療打ち切り打診に対抗し、必要な通院期間を確保するためには、以下の要素を満たしていることを客観的に示し、交渉していく必要があります。
ア 治療の効果があらわれていること
まだ治療を継続することで症状の改善が見込める状態であることを、医師の診断書や整骨院・接骨院の施術証明書等に残してもらうことが大切です。
診察の際は漫然と通院するのではなく、「リハビリを続けたことでこれだけ良くなっているが、まだ特定の部位が痛むので治療が必要」などと具体的に訴えましょう。
イ 治療内容の相当性があること
現在の症状に対して、行われている治療やリハビリの内容が医学的に適切かつ相当である必要があります。
自己判断での特殊な治療や、医師が認めない施術ではなく、医師の指示・同意に基づく標準的な治療を受けていることが求められます。
ウ 自覚症状が一貫していること
事故直後から現在まで、痛む部位や症状の訴えが一貫していることが非常に重要です。
日によって痛む場所があちこち変わったり、治療の途中で急に新たな部位の症状を訴え始めたりすると、事故との因果関係や治療の必要性が疑われる大きな原因となります。
毎日の症状の変化や生活上の支障を細かく記録しておくことも、交渉時の有効な対策の一つです。
⑷ 通院頻度と慰謝料の計算
慰謝料を最大化するためにはどのくらいの頻度で通院すべきか?という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
自賠責基準の計算式だけを見ると、実通院日数が直接関係するため「2日に1回」通うのが効率的に見えます。
しかし、最も高額な弁護士基準では原則として「通院期間全体の長さ」で算定するため、週に2〜3回でも、週に4〜5回通っても、基本的な慰謝料額は変わりません。
とはいえ、あまりにも通院頻度が低い(例えば月に数回しか行かない)と、保険会社から「治療の必要性がない」「すでに痛みが引いている」と判断され、慰謝料が減額されるリスクがあります。
また、日弁連交通事故相談センター東京支部が編集・発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本)」では、むち打ち症で他覚所見がない場合等でかつ通院が長期にわたる場合には、「症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある」と指摘されていることには注意が必要です。
したがって、過剰な通院を避けるとともに、医師の指示に従い、少な過ぎない程度の適切な頻度で継続してリハビリに通うことが、適正な慰謝料を受け取るための鍵となります。
7.弁護士に依頼するメリット
交通事故の示談交渉において、被害者ご自身で保険会社のプロの担当者とやり取りをすることは非常に困難でストレスが伴います。
法律事務所に依頼することには、以下のような大きなメリットがあります。
弁護士に依頼することで、保険会社や相手方との示談交渉を有利に進めることができ、適正な金額での合意が可能となります。
⑴ 通院期間を確保することができる
保険会社から早期の治療費打ち切りの打診があった場合でも、弁護士があなたの代理人として間に入り、医師の医学的見解などを根拠に治療継続の必要性を論理的に主張します。
保険会社は弁護士が介入すると、将来的な訴訟リスクを考慮するため、一般的には被害者本人が直接交渉するよりも治療・リハビリ期間の延長が認められやすくなる傾向にあります。
⑵ 通院頻度や通院先、治療内容についてアドバイスを受けることができる
交通事故案件に精通した弁護士であれば、現在の症状に対して適切な通院頻度が保たれているか、整形外科と整骨院でのリハビリの併用が適切に行われているかなど、治療段階から損をしないための的確なアドバイスを受けることができます。
さらに、後遺症(後遺障害)が残ってしまった場合の「後遺障害等級認定」の手続き(被害者自身で有利な証拠を集める被害者請求など)についても、代理申請やサポートを受けることができます。
⑶ 弁護士基準(裁判所基準)で交渉をしてくれる
弁護士に依頼する最もわかりやすいメリットは、慰謝料が最も高額になる「弁護士基準(裁判所基準)」で示談交渉を行えるという点です。
骨折などの重い怪我や入院を伴うケースでは、慰謝料の相場や金額はさらに高額になる傾向があります。
例えば、当事務所で扱ったむち打ちの事案(Mさんの事例)では、治療終了後に保険会社から提示された約47万円の示談金に対し、弁護士が裁判所基準で再計算し交渉した結果、約85万円へと2倍に増額させることができました。
また、後遺障害が残ったHさんの事例では、弁護士の介入により後遺障害14級を獲得し、当初提示額約135万円から最終的に約350万円まで大幅な増額に成功しています。
専門家が代理することで、保険会社の低い提示額を覆し、適正な賠償の請求が可能になります。
8.よくあるご質問
Q1:病院でのリハビリだけの通院(医師の診察なし)や整骨院のリハビリ通院も「実通院日数」にはカウントされますか?
A:はい、カウントされます。整形外科などの病院におけるリハビリ通院はもちろん、整骨院や接骨院での施術も、慰謝料算定における実通院日数として扱われます。
ただし、整形外科の担当医師が明確に整骨院・接骨院での治療を認めていないケースでは治療費や慰謝料の対象として認められない可能性があることに注意が必要です。
Q2:同日に複数の医療機関を受診したときの慰謝料の計算は?
A:午前中に整形外科で診察を受け、午後から整骨院でリハビリを受けた場合など、同日に複数の医療機関を受診したケースについてです。
慰謝料計算の基礎となる「実治療日数」の考え方としては、いくら同日に複数の病院を回っても「1日」としてカウントされるのが原則です。
そのため、慰謝料の通院日数を稼ぐ目的で無理に同日受診をしても、金額が増額されるわけではありません。
そもそも同日に複数の通院を行うと、その必要性等が争われてしまうことがあることにも注意が必要です。
Q3:裁判所基準満額を交渉で獲得することは困難?
A:示談交渉の段階で、保険会社がすんなりと裁判所基準の「満額」を支払うことは稀です。
保険会社は少しでも自社の支払いを抑えようとするため、弁護士との交渉であっても、裁判所基準の8割〜9割程度の金額で妥協点を探ってくることが多いのが実情です。
しかし、弁護士は客観的証拠等をもとに粘り強く、可能な限り増額交渉をしていきます。
Q4:裁判所基準満額を獲得するためにどのような法的手続きをとることが有効?
A:示談交渉で保険会社が裁判所基準満額の支払いに応じず、被害者としてもその金額に納得できない場合は、「裁判(訴訟)」を提起することが有効な手段となります。
裁判所は、当然ながら「裁判所基準」を用いて客観的に損害額を認定するため、被害者側の主張と証拠が認められれば満額の慰謝料を獲得することが可能です。
訴訟手続きにおける主張や立証は全て弁護士が代理で行うため、被害者の方が裁判所に出向く負担は最小限に抑えられます。
もっとも、民事訴訟は時間がかかり、また一切の事柄が争点になる可能性があることから、交渉時点での提案額よりも金額が減ってしまうリスクも考慮しなければなりません。また、より早期かつ簡易な手続きにより慰謝料額を増額することができる可能性がある手続として、「交通事故紛争処理センター」でのあっせん手続きが多く利用されています。
9.まとめ
交通事故によるむち打ち等の怪我から回復するためには、適切なリハビリと通院を継続することが第一です。
そして、保険会社の提示をそのまま鵜呑みにせず、適正な慰謝料を受け取るためには、専門知識を持った弁護士のサポートが必要不可欠となります。
ご自身の加入する自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯されていれば、多くの場合で弁護士費用の自己負担なく弁護士に依頼することができます。
慰謝料の金額に疑問を感じたり、治療費打ち切りの打診を受けて今後の対応に不安を抱えている方は、決して一人で悩まず、全国対応の弁護士法人である私たち優誠法律事務所へぜひご相談ください。
交通事故のご相談は無料でお受けしております。
あなたの正当な権利を守り、納得のいく解決を果たすため、全力でサポートいたします。
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投稿者プロフィール

これまで、交通事故・離婚・相続・労働などの民事事件を数多く手がけてきました。今までの経験をご紹介しつつ、皆様がお困りになることが多い法律問題について、少しでも分かりやすくお伝えしていきます。
■経歴
2009年03月 法政大学法学部法律学科 卒業
2011年03月 中央大学法科大学院 修了
2011年09月 司法試験合格
2012年12月 最高裁判所司法研修所(千葉地方裁判所所属) 修了
2012年12月 ベリーベスト法律事務所 入所
2020年06月 独立して都内に事務所を開設
2021年3月 優誠法律事務所設立
2025年04月 他事務所への出向を経て優誠法律事務所に復帰
■著書
こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
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交通事故で足を骨折した場合の慰謝料はいくら?相場と後遺障害を弁護士が解説
交通事故によって骨折という大きな傷害が生じた場合、ケガを負った本人はもちろんのこと、サポートする家族や周囲の方々にとっても、今後の生活や手続きに関して大きな不安を抱えることとなります。
また、適正な賠償の仕組みをあらかじめ正しく理解しておきたいという方もいらっしゃるでしょう。
骨折を伴うケースでは、治療が長期化しやすく、痛みが引かない、関節が動かしにくいといった後遺症が残るリスクもあります。
しかし、示談の際に保険会社から提示される慰謝料は、本来の適正な基準(弁護士基準・裁判基準)よりも低く見積もられていることがほとんどです。
本記事では、適正な賠償金が算出される基礎知識や、解決までの適切な流れを弁護士が詳しく解説します。
以下の目次に沿って、具体的な請求の手順や、後遺障害認定を受けるための詳細な条件、知っておくべきポイントなどを分かりやすく紹介します。
当事者にとって公平で適切な解決を図るための正しい知識として、ぜひ最後までご一読ください。
1.交通事故で足を骨折した場合に請求できる慰謝料と流れ
交通事故で足を骨折した場合、請求できる慰謝料は、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」です。
治療期間や入院の有無、後遺障害等級の認定結果によって金額は大きく変わります。
たとえば、足関節の可動域制限や痛み・しびれが残った場合には、10級・12級・14級などの後遺障害等級が認定される可能性があり、裁判基準では14級で110万円、12級で290万円、10級で550万円、8級で830万円が後遺障害慰謝料の目安となります。
⑴ 慰謝料請求の基本ステップ
交通事故の骨折で慰謝料を請求するにあたっては、基本的なステップを把握しておくことが重要です。
まず、交通事故の内容を記録しておきましょう。
事故直後は気が動転しているかと思いますが、事故状況、相手方の連絡先、事故現場(たとえば、どのビルの前だったかなど)を記録し、目撃者がいれば連絡先を控えておきましょう。
次に、医療機関で骨折の診断を受けた後、適切な治療を受けます。
慰謝料は通院回数や通院期間によって金額が定まる上、治療が長引くようなケースでは、後遺障害の申請を見据えて適切な治療を受けることが、適切な賠償をもらえるかどうかの分かれ道となります。
最後に、必要な治療を受けた後は、相手方の保険会社と慰謝料を含む示談金の交渉を行い、事故で生じた損害についての話し合いを進めます。
治療費については、治療中に保険会社が支払対応をすることが通常ですが、慰謝料については、基本的に治療が終了した後の交渉になります。
⑵ 必要な書類と証拠
慰謝料請求を円滑・適正に進めるためには、客観的な書類と証拠の準備が欠かせません。
まず、必ず医療機関を受診し、医師から骨折等について診断を受けることが必要です。
診断書の記載と実際の症状との間に齟齬がないようにするため、例えば著しい痛みがあるならば、その旨を必ず医師に申告しましょう。
次に、通院にかかる治療費の領収書は大切に保管しておきましょう(保険会社が直接医療機関に治療費を支払っているケースでは不要です。)。
これにより、実際にかかった費用を正確に証明することができます。
また、事故の発生を公的に証明する重要な書類として、警察署が発行する交通事故証明書を入手しておきましょう。
なお、弁護士に依頼することにより、書類や証拠の準備を、弁護士と協力しながら進めることも可能です。
加入している自動車保険に弁護士費用特約が付帯されていて、この特約が利用できる交通事故に該当する場合、多くの場合で弁護士費用を負担することなく弁護士に依頼することができます。
2.足の骨折で後遺障害が残った場合の慰謝料と等級認定
⑴ 後遺障害等級の認定方法
骨折の治療後も症状が残存している場合、自賠責保険会社に対する後遺障害等級認定の申請を検討することが重要です。
骨折の場合、骨が癒合しても痛みが残る「神経障害」や、関節の動く範囲が狭くなる「機能障害(可動域制限)」などが後遺障害等級認定の対象として考えられます。
後遺障害等級認定の申請をするにあたっては、担当医が作成する後遺障害診断書が極めて重要な役割を果たします。
例えば、骨折後の痛みが長引いて残る場合、後遺障害診断(症状固定)までの治療経過や、検査の結果について、後遺障害診断書を含む各診断書に適切な記載がなされていることが重要です。
これらの点を踏まえ、後遺障害別等級表のうち、いずれの等級に該当するのかについて審査が行われることになります。
後遺障害等級が認定されれば、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料を受け取ることができますが、どの等級が認定されるかによって、最終的な賠償額は大きく変わります。
⑵ 後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料がいくらになるのかについては、しっかりと理解しておくことが必要です。
損害賠償のうち、後遺障害に関する費目(後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益)は、認定された等級によって金額が大きく変動します。
最も高額となる弁護士基準(裁判基準)の後遺障害慰謝料は、以下のとおりです(足の骨折に関する後遺障害のみ抜粋しています。)。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料 |
| 14級 | 局部に神経症状を残すもの等 | 110万円 |
| 13級 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの等 | 180万円 |
| 12級 | 局部に頑固な神経症状を残すもの等 | 290万円 |
| 10級 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの等 | 550万円 |
| 9級 | 1足の足指の全部の用を廃したもの等 | 690万円 |
| 8級 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの等 | 830万円 |
| 7級 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの等 | 1000万円 |
| 6級 | 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの等 | 1180万円 |
| 5級 | 1下肢を足関節以上で失ったもの等 | 1400万円 |
| 4級 | 1下肢をひざ関節以上で失ったもの等 | 1670万円 |
| 3級 | 終身労務に服することができないもの等 | 1990万円 |
| 2級 | 随時介護を要するもの等 | 2370万円 |
| 1級 | 常に介護を要するもの等 | 2800万円 |
3.交通事故で多い足の骨折の種類と後遺症
⑴ 足首骨折の症状と後遺障害
足首(足関節)の骨折は、激しい腫れや痛み、歩行困難などが主な症状として現れます。
足首は体重を支え、歩行の要となる関節であるため、通勤や家事など日常生活にダイレクトに支障をきたします。
また、足首(足関節)の骨折は後遺障害が残りやすいケガの一つです。
ギプス固定などの治療や長期間のリハビリを経ても、関節の動く範囲、いわゆる可動域が制限される「機能障害」や、慢性的なしびれ・痛みを伴う「神経障害」が残るリスクがあります。
症状の重さに応じて、10級や12級などの等級が認定される可能性があります。
⑵ 大腿骨骨折の後遺障害等級
大腿骨(太ももの骨)は、人間の体重を支え、歩行の要となる重要な部分(部位)であるため、大腿骨骨折は重篤な後遺障害を引き起こす可能性がある部位です。
歩行が著しく困難になり、車椅子や杖の生活を余儀なくされるなど、日常生活に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
後遺障害等級としては、骨が正しく癒合せず「偽関節」が残ってしまった場合や、足の長さが短縮してしまった場合、関節が曲がりにくくなった場合に関する等級があり、8級・10級・12級などの等級に該当する可能性があります。
また、歩行が完全に困難になるような上肢・下肢の複合的なケガや、脳へのダメージによる高次脳機能障害を伴うような重大なケースでは、1級、3級、5級、6級といった極めて高い等級が認定される可能性があります。
4.足の骨折で適正な慰謝料を受け取るためのポイント
⑴ 慰謝料相場の理解
適正な慰謝料を取得するためには、まず被害者ご自身(あるいはご家族)が、現在の正しい相場を調査し理解することが重要です。
そもそも交通事故の慰謝料には、入通院に対する「傷害慰謝料(入通院慰謝料)」や、後遺症が残った場合の「後遺障害慰謝料」があります。
さらに、傷害慰謝料を算出する「弁護士基準(裁判基準)」には、2つの基準が存在します。
むちうち等の他覚所見がない場合は低い方の基準(別表Ⅱ)が用いられますが、骨折のようにレントゲン画像等でケガの程度が明らかなケースでは、高い方の基準(別表Ⅰ)が使われる可能性が高くなります。
インターネットの専門記事や過去の判例を参考にし、骨折でどの程度の金額が認められているのか、具体的な相場感をつかむことが大切です。
⑵ 弁護士に依頼するメリット
交通事故による慰謝料請求は、医学的知識と法的知識が交差する複雑なプロセスです。
そのため、弁護士に依頼することには非常に多くのメリットがあります。
まず、弁護士は法律の専門知識を持っているため、保険会社が低い金額を提示していた場合、最も高額な「裁判基準(弁護士基準)」を用いて適切な慰謝料を再計算・主張することができます。
また、相手方やその保険会社とのやり取りなどの精神的負担の大きい作業を任せることができます。
相手方やその保険会社が頑固で、裁判所外では適切な慰謝料が獲得できない場合、裁判所を利用した手続についても弁護士に依頼することができます。
このように、弁護士に依頼すると、自分で交渉する手間と不安を省き、時間と労力を大幅に節約しながら、治療や日常生活の再建に専念できるのです。
弁護士への依頼を検討する場合、まずは法律事務所に相談することをお勧めします。
5.交通事故の慰謝料計算に使う3つの基準
慰謝料の算定では、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料をそれぞれ分けて考える必要があります。
さらに、これらは自賠責保険基準・任意保険基準・裁判基準(弁護士基準)によって算出方法が異なり、治療期間、通院日数、入院の有無、後遺障害等級の認定結果によって、請求できる金額は大きく変動します。
⑴ 自賠責保険基準と弁護士基準の比較
交通事故の慰謝料には、主に「自賠責保険基準」と「裁判基準(弁護士基準)」の2種類が存在します(※保険会社が独自に用いる「任意保険基準」もあります)。
自賠責保険基準は、国が定めた最低限の補償を提供するものであり、上限が設けられています。
これに対して裁判基準(弁護士基準)は、損害や苦痛を正当に評価した基準であり、自賠責基準と比較して高額になります。
相手方の保険会社は、自社の支出を抑えるためもあってか、弁護士が就いていない場合は自賠責基準やこれに近い任意保険基準での示談を提案してくることが通常です。
被害者が適正な補償を受けるためには、原則として裁判基準(弁護士基準)での解決を目指すべきです。
⑵ 逸失利益の計算方法
「逸失利益」とは、交通事故の後遺症によって労働能力が低下し、将来得るはずであった収入を失ったことによる損害を指します。
この計算は非常に複雑で、主に以下の3つのデータを用いて算出します。
適正な計算には、専門的な判断が不可欠です。
・基礎収入:事故前の年収など
・労働能力喪失率:認定された後遺障害等級に応じた割合(例:14級なら5%、12級なら14%など)
・労働能力喪失期間:症状固定から原則67歳までの期間(将来の利息を引くための「ライプニッツ係数」を使用します)
例えば、「症状固定時の年齢が50歳で年収500万円のサラリーマンが、傷害を負い後遺障害等級12級(喪失率14%)が認定され、喪失期間を17年(ライプニッツ係数13.1661)とした場合」は、
約920万円(500万円×0.14×13.1661)の逸失利益が、慰謝料とは別に請求できる計算となります。
なお、労働能力喪失期間は原則67歳までとされていますが、実務上、12級13号は10年程度、14級9号は5年程度に制限されることが多いです。
6.交通事故後の対応と必要な行動
⑴ 事故後の初期対応
交通事故が発生した場合、まずは自分自身と周囲の安全を確保することが最優先です。
車を安全な場所に移動させるなどの措置を取りましょう。
次に、ケガの程度にかかわらず、速やかに110番して警察に報告し、臨場した警察官に事故の状況を正確に伝えます。警察に報告しないと「交通事故証明書」が発行されず、後々の請求が非常に厳しくなってしまうリスクがあります。
また、相手方の氏名、連絡先、車のナンバー、加入している保険会社などの情報を記録し、目撃者がいれば連絡先をメモしておきましょう。
可能であれば、スマートフォン等で現場の状況や車両の破損箇所の写真を撮っておくことも、重要な証拠保全となります。
⑵ 医療機関との連携
交通事故に遭った後は、少しでも違和感があれば、その日のうちに(遅くとも数日以内に)必ず整形外科などの医療機関で診察を受けることが必要です。
整骨院等については、受診前にまずは医師の診断を受けることが鉄則です。
骨折が疑われる場合はもちろん、目に見えない神経の損傷等がないか、専門医によるレントゲンやMRIによる正確な診断が重要です。
また、通院の間隔が空きすぎると「もう治った」と判断されるリスクがあるため、医師の指示に従って定期的に通院し、治療の過程や自覚症状の変化(改善傾向にあり治療効果が現れていること等)を医師に伝えることが重要です。
基本的には、治癒ないし症状が固定するまで通院することになります。
7.交通事故の骨折に関するQ&A
⑴ よくある質問とその回答
ここでは、交通事故による骨折に関してご相談者様から寄せられるよくある質問とその回答を簡潔にご紹介します。
Q. 骨折の治療中、保険会社から突然「治療費の支払いを打ち切る」と言われました。どうすればいいですか?
A. 保険会社の打ち切り打診は、必ずしも医学的な「完治」を意味しません。まだ痛み等があり主治医も治療継続が必要と判断している場合は、安易に同意せず、健康保険に切り替えて通院を継続し、後から請求する方法があります。
Q. 骨折の怪我に関する慰謝料の請求だけでなく、過失割合や物損の交渉についても依頼することは可能ですか?
A. 法律事務所によって対応方針は異なるかと思いますが、当事務所においては、これらについても一緒にご依頼いただくことが可能です。
Q. 慰謝料はいつのタイミングで支払われますか?
A. 原則として、ケガの治療が終了(症状固定となり後遺障害等級が確定する等)した後、保険会社と示談交渉を行い、双方が合意して示談書を取り交わしてから約2~3週間後に口座に振り込まれます。
⑵ 専門家に相談する重要性
交通事故による骨折のような重傷事案において、早期に専門家に相談することの重要性は計り知れません。
弁護士に相談することで、今後の治療の受け方に関するアドバイスや、後遺障害診断書を作成する際の医師への適切な伝え方など、「適正な賠償を獲得するための道筋」が明確になります。
保険会社とのやり取りにストレスを感じたタイミングや、治療費の打ち切りを打診されたタイミング、あるいは後遺障害認定の手続きに入る前など、少しでも不安を感じたら一人で悩まないことが大切です。
交通事故による足の骨折では、治療中の対応や後遺障害申請の進め方によって、受け取ることができる慰謝料・損害賠償額が変わる可能性があります。
保険会社から提示された金額に不安がある場合や、後遺症が残るかもしれないと感じている場合は、早めの相談が重要です。
当法律事務所では、交通事故の無料相談を実施しています。
電話でのご相談受付にも対応しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
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【解決事例】死亡慰謝料と死亡逸失利益の「一家の支柱」性について紛争処理センターで有利な判断を得られた事例
これまで、交通事故の被害者が亡くなった場合の、死亡逸失利益や死亡慰謝料について何度かご説明してきました。
今回は、81歳の高齢者の死亡事故で、死亡逸失利益と死亡慰謝料の増額に成功した事例をご紹介します。
この事例では、相手方保険会社が「一家の支柱」ではないと主張し、紛争処理センターのあっせん案でも一家の支柱と認められませんでしたが、審査会での裁定で逆転、約500万円の増額を勝ち取りました。
この事案に基づいて、実務のポイントを弁護士が解説します。
実際の解決事例として、ご遺族の方には参考にしていただけるのではないかと思います。
1 死亡逸失利益と死亡慰謝料
死亡事故が発生した場合の死亡逸失利益と死亡慰謝料については、以下の記事で説明しております。
ここでもざっと振り返っておきますと、まず死亡逸失利益とは、被害者が交通事故に遭わなければ将来得られたはずの収入や利益を補償するもので、基本的に以下の計算式で行われます。
死亡逸失利益 = 基礎収入額 × (1 – 生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
以上の計算式から分かるとおり、生活費控除率が小さいほど、死亡逸失利益の金額が増えることになります。
そして、「一家の支柱」と判断されれば、生活費控除率はより小さいものが適用され、死亡逸失利益は大きくなる傾向にあります。
一方、死亡慰謝料とは、交通事故によって亡くなった被害者本人およびその遺族が被る精神的苦痛に対する賠償金のことです。
こちらについても、「一家の支柱」と判断されれば、慰謝料の基準額が高額になる傾向にあります。
したがって、ご家族がいる方が被害者となった死亡事故の場合、被害者が「一家の支柱」に該当すると言えるか否かで、示談金の額に大きな差が出てくることになります。
以下では、この点について正面から争いとなり、紛争処理センターに申立てを行い、解決に至った事例をご紹介します。
2 事案の概要
本件の被害者Aさんは、事故時81歳で、奥さん、ご子息お二人の4人家族で暮らしていました。
Aさんには年金収入が年間200万円程度あったほか、清掃員として稼働もしており、その稼働収入が年間150万円程度ありました。
奥さんには年間70万円程度の年金収入がありました。
ご子息はお二人とも成人しておられましたが、仕事はしていない状況でした。
そのような中、自転車運転中だったAさんに加害者が横から突っ込む形で事故が発生し、数ヶ月の入院治療の甲斐なく、Aさんはお亡くなりになりました。
3 加害者側の提案内容
その後、ご遺族は相手損保とそれを引き継いだ相手弁護士と、示談金の交渉を行いました。
話し合いの結果、相手損保からは3400万円弱の示談案の提示がありましたが、色々と調べたところ、適切な額ではないのではないかと考えるに至り、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
事故後、入院・治療を経てお亡くなりになったという事案でしたので、示談金の費目は、治療費、通院交通費、入院雑費、休業損害、傷害慰謝料、葬儀費用、死亡逸失利益、死亡慰謝料と多岐にわたりました。
相手弁護士からの提示書をみると、ほとんどの項目で適切な額の提案がなされていましたが、死亡逸失利益の生活費控除率について、給与部分は50%、年金部分は70%と高い率を適用したうえで計算されており、そのために死亡逸失利益の金額が低く抑えられていました。
具体的には、以下の計算式で算出されていました。
・給与部分
基礎収入額約150万円× (1-生活費控除率50%) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 3.7171=約280万円
・年金部分
基礎収入額約200万円× (1-生活費控除率70%) ×平均余命8年に対応するライプニッツ係数 7.0197=約420万円
・死亡逸失利益合計 約700万円
(なお、ライプニッツ係数が給与部分と年金部分とで異なるのは、高齢者の場合、給与については平均余命の2分の1に対応するライプニッツ係数を、年金については平均余命に対応するライプニッツ係数を用いるとされているためです。)
また、死亡慰謝料については、2000万円が提示されていました。
これらは、Aさんを「一家の支柱」とせず、単に年金受給者の男性として算定された金額です。
Aさんが一家の支柱とされれば、生活費控除率はより低いものとなって死亡逸失利益の金額は上昇し、死亡慰謝料の基準も上がることになります。
ご遺族のお話を伺ったところ、Aさんが一家の支柱と認定される可能性があると考えられたため、当事務所で事件をお受けすることになりました。
4 紛争処理センターでの手続き
ご依頼後、担当弁護士は、相手方代理人弁護士と交渉を試みましたが、返答がご依頼前とほぼ変わらず、賠償金額が大きいことや、一家の支柱の該当性という法的評価の問題が争いになることから、交渉では埒が明かないと考え、早々に紛争処理センターへの申立てを行うことにしました。
(紛争処理センターでの手続きについては、以下の記事でご説明していますので、こちらもぜひご覧ください。)
紛争処理センターへの申立てに際しては、Aさんが一家の支柱に該当することを前提に、当方からは、従前のご遺族と加害者側の交渉経緯も踏まえ、以下の内容で損害賠償を請求しました。
死亡逸失利益に関する生活費控除率については、給与部分については30%、年金部分については60%を主張しました。
具体的には以下の金額になります。
・給与部分
基礎収入額約150万円× (1-生活費控除率30%) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 3.7171=約390万円
・年金部分
基礎収入額約200万円× (1-生活費控除率60%) ×平均余命8年に対応するライプニッツ係数 7.0197=約560万円
・死亡逸失利益合計 約950万円
死亡慰謝料については、赤い本の一家の支柱の基準に従い、2800万円を主張しました。
その上で、Aさんが一家の支柱であったことについて、Aさん及びご遺族の収入状況や、一家の収入と支出の状況などを、源泉徴収票や通帳、ご遺族の陳述書などを提出して立証していきました。
特に、Aさん一家はかなり倹約されており、収入のほとんどをAさんに頼っていた一方で給与収入については預金に回せている状況でもあったので、この点は家計の内容と併せて主張しました。
また、高齢者について一家の支柱と判断している裁判例を証拠として提出しました。
紛争処理センターでは、何度か期日を行い当事者双方が主張立証を行った後、あっせん委員から和解案(斡旋案)の提案がなされます。
担当弁護士は、上記の主張立証についてある程度の手ごたえを感じていたのですが、あっせん委員からの斡旋案では、Aさんを一家の支柱と認定しない内容でした。
その理由としては、高齢者は一般に一家の支柱とならないと考えられることや、たまたまご子息が稼働していなかったとしても加害者がそれを知ることは出来ないことなどが挙げられていました。
しかしながら、確かに高齢者の場合に一家の支柱と判断されることは被害者が若年の場合に比べると少ないかもしれませんが、それでも一家の支柱と判断した裁判例は存在します。
また、たまたまご子息が稼働していなかったことを加害者が知り得ないという点は、それを言うのであれば交通事故案件は、通常、加害者にとって被害者の属性は不明ですから、賠償金は一律にすべきという結論になるはずですが、それが不当なことは明らかです。
したがって、ご遺族と相談し、斡旋案を受諾するのではなく、審査会の審査へと進んで、裁定を得ることにしました。
審査会へと進むと、別途審査期日が設けられ、事前の書面提出のほか、期日にて審査員に口頭で説明することになります。
審査期日の前には、これまでのまとめの主張と、和解あっせん時にAさんが一家の支柱ではないとされた理由に対する反論の書面を提出しました。
また、審査期日では、ご遺族の事故前後の生活状況や、Aさんの生前にはAさんの給与収入で貯金もできていたことを再度強調しました。
5 審査会の結果
そうしたところ、審査会の裁定では、Aさんを一家の支柱と認められ、その前提で死亡逸失利益と死亡慰謝料が算定されました。
死亡逸失利益の生活費控除率については、給与部分について40%、年金部分について60%とされました。
具体的には以下のとおりです。
・給与部分
基礎収入額約150万円× (1-生活費控除率40%) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 3.7171=約335万円
・年金部分
基礎収入額約200万円× (1-生活費控除率60%) ×平均余命8年に対応するライプニッツ係数 7.0197=約560万円
・死亡逸失利益合計 約895万円
死亡慰謝料については、2800万円とされました。
既払い金の処理について、交渉段階では主張していなかった内容を加害者側が主張した部分もありましたが、それでも示談金総額としては3900万円弱となり、示談金としては約500万円の増額を果たすことができました。
当初の紛争処理センターからの斡旋案には落胆しましたが、審査会で逆転することができ、ご遺族にも喜んでいただけ、本当に良かったです。
6 まとめ
今回は、死亡逸失利益と死亡慰謝料について、紛争処理センターを利用してこちらに有利に解決できた事例をご紹介しました。
そもそもこれらの項目については、法的な評価が問題になるうえ、金額も大きいものになりますので、示談とする前に弁護士の意見を参考にされることをお勧めいたします。
また、今回のケースではあっせん案の内容から審査会へ進んで逆転できましたが、審査会に移行してもあっせん案の段階の心証から変わらないということも多くあります。
審査会に移行して金額が増額できるかという点についても、弁護士の意見を確認されることをお勧めいたします。
私たち優誠法律事務所では、死亡交通事故に関するご相談も初回無料でお受けしております。
全国からご相談いただいておりますので、是非お気軽にご相談ください。
【関連記事】
死亡交通事故における若年労働者の死亡逸失利益は平均賃金(賃金センサス)で計算
投稿者プロフィール

2011年12月に弁護士登録後、都内大手法律事務所に勤務し、横浜支店長等を経て優誠法律事務所参画。
交通事故は予期できるものではなく、全く突然のものです。
突然トラブルに巻き込まれた方のお力になれるように、少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。
■経歴
2008年3月 上智大学法学部卒業
2010年3月 上智大学法科大学院修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
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交通事故の慰謝料はいくら?2026年最新版の相場・計算方法を弁護士が解説
交通事故に遭い、突然ケガで通院、入院を余儀なくされた被害者の方にとって、交通事故の慰謝料や示談金は「いくらもらえるのか」、「保険会社の提示額は本当に妥当なのか」、「結局どのくらい受け取れるのか」という点は、非常に大きな関心事であり、最も気になるポイントだと思います。
結論として、慰謝料の金額は、症状や通院日数によって大きく異なりますが、
軽傷の場合は40万円~80万円程度
骨折などの中程度の怪我の場合は80万円~150万円程度
後遺障害が残った場合は300万円~2800万円程度
が目安となります。
ただし、実務上、保険会社から最初に提示される慰謝料や賠償金の提示額は、これらの相場よりも少ないことが多く、被害者にとって適正とは言えないケースは決して少なくありませんので、適正な金額を受け取るためには注意が必要です。
交通事故の慰謝料は、事故の態様、ケガの程度、通院日数、後遺障害の有無、過失割合など、さまざまな事情を踏まえて算定されます。
そのため、正しい基準や相場を知らないまま示談に応じてしまうと、本来受け取れるはずの金額よりも低い金額で解決してしまう可能性があります。
本記事では、交通事故被害者の方が損をしないために知っておくべき慰謝料の基礎知識から、ケース別の事例、示談交渉の注意点までを、弁護士の立場から分かりやすく解説します。
1.交通事故被害者の慰謝料とは?基本知識と種類を解説
⑴ 慰謝料の定義と精神的苦痛の意味
交通事故における慰謝料とは、事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる損害賠償の一部です。
交通事故の被害者は、加害者に対して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権や自動車損害賠償保障法第3条に基づく損害賠償請求権を有します。
いずれも「損害賠償」を求める権利ですから、被害者は交通事故によって生じた「損害」を金銭的に評価して、そのお金を請求することができるということです。
この「損害」には、治療費、通院交通費、休業損害などがあり、慰謝料はこれらの「損害」うち「精神的損害」を金銭的に評価した金額を指す言葉です。
⑵ 交通事故被害者が請求できる慰謝料の種類
「慰謝料」が「精神的損害」を金銭的に評価した金額であることは上でご説明したとおりですが、交通事故による「慰謝料」には、①入通院慰謝料(傷害慰謝料)、②後遺障害慰謝料、③死亡慰謝料の3つがあります。
治療や通院を余儀なくされたという精神的な苦痛に対して支払われるのが入通院慰謝料(傷害慰謝料)、治療を尽くしても症状が完治せず後遺障害が残った場合に、残存した後遺障害の程度に応じた精神的な苦痛に対して支払われるのが後遺障害慰謝料です。
また、死亡事故の場合には、被害者本人およびご遺族の精神的苦痛に対する慰謝料として死亡慰謝料が認められます。
2.交通事故の慰謝料はいくらもらえる?【ケース別一覧】
交通事故の慰謝料は、ケガの内容や通院日数、後遺障害の有無によって大きく異なります。
ここでは代表的なケースごとの目安を紹介します。
以下は、裁判所基準を基にした一般的な慰謝料の目安です。
「自分の場合はいくらもらえるのか」を知りたい方は、まず以下のケースを参考にしてください。
| ケース | 内容 | 慰謝料の目安 |
| むちうち(軽傷) | 通院3ヶ月程度 | 約53万円(入通院慰謝料) |
| 骨折(中程度) | 通院6ヶ月+入院半月 | 約130万円(入通院慰謝料) |
| 後遺障害14級 | むちうち後に症状残存 | 約110万円(後遺障害慰謝料) +約89万円(入通院慰謝料) |
| 後遺障害12級 | 骨折後の痛み等が残存 | 約290万円(後遺障害慰謝料) +約116万円(入通院慰謝料) |
| 死亡事故 | 扶養状況により変動 | 2000万~2800万円程度(死亡慰謝料) |
※上記はあくまで目安であり、実際の金額は事故状況、過失割合、通院頻度などによって大きく異なります。
また、保険会社の提示額はこれよりも低いケースが多いため注意が必要です。
より正確な金額を知りたい場合は、弁護士への無料相談等で個別ケースを確認することが重要です。
3.交通事故の慰謝料の計算方法(自賠責・任意保険・弁護士基準)
⑴ 慰謝料の計算方法・基準
交通事故の慰謝料は一律で決まるものではなく、どの基準で計算するかによって金額が大きく異なります。
実務では主に「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判所)基準」の3つがあり、それぞれで慰謝料の金額に大きな差が生じます。
① 自賠責基準(最低限の補償)
自賠責基準は、被害者救済を目的とした最低限の補償基準であり、最も低い金額となるのが特徴です。
例えば、入通院慰謝料は「1日あたり4,300円」を基準に計算され、支払上限も120万円と定められています。
そのため、重傷事故や長期通院の場合には十分な補償とは言えないケースもあります。
② 任意保険基準(保険会社独自の基準)
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定している算定基準です。
自賠責基準よりは高くなるものの、弁護士基準と比較すると低い金額になることが多く、実務上は保険会社から提示される金額の多くがこの基準で計算されています。
そのため、提示額をそのまま受け入れると、本来の適正な金額よりも少ない慰謝料で示談してしまう可能性があります。
③ 弁護士基準(裁判所基準)
弁護士基準(裁判所基準)は、過去の裁判例をもとに作られた基準であり、最も高額になるのが特徴です。
例えば、同じ通院3ヶ月のむちうちでも、自賠責基準や任意保険基準と比較して数十万円以上高くなることもあります。
ただ、ひとえに「裁判所基準」といっても、お怪我の程度、地域、実際の通院日数や治療内容等によって金額は大きく変わることがあります。
弁護士に依頼することで、この基準を適切に用いて交渉することが可能となり、慰謝料の増額が期待できます。
| 基準 | 特徴 | 金額水準 |
| 自賠責基準 | 最低限の補償 | 低い |
| 任意保険基準 | 保険会社独自 | やや低い |
| 弁護士基準 | 裁判所の基準 | 最も高い |
⑵ 交通事故慰謝料の実際の金額事例
例えば、東京都内で発生した事故であった(当事者も東京都在住)場合、交通事故によって頚椎捻挫(いわゆるむち打ち症)の怪我を負い、3ヶ月(実際の通院日数は30日)の通院をした被害者の方を想定してみましょう。
裁判所基準(東京地方裁判所基準)で入通院慰謝料を計算しますと、この方の慰謝料の額は53万円になります。
この事故が大阪府内で発生した事故であった(当事者も大阪府在住)場合には、裁判所基準(大阪地方裁判所基準)は、48万円となります。
このように、どの基準で計算されるかによって慰謝料の金額は大きく異なります。
特に保険会社から提示される金額は任意保険基準であることが多いため、適正な慰謝料を受け取るためには基準の違いを理解し、必要に応じて弁護士へ相談することが重要です。
4.交通事故慰謝料は誰が、どのように支払うのか
⑴ 加害者・保険会社・自賠責保険の役割
交通事故の賠償は、本来不法行為等による賠償責任者がその責任を負います。
運転者や車両所有者などがこれに当たります。
もっとも運転者や車両所有者などの個人が多額の賠償責任を負い、支払を完遂することは容易ではありません。
そこで、これら加害者らの賠償責任を代わりに負ってくれる仕組みが損害保険です。
自賠責保険は、強制加入保険です。
もし、加害者らによって支払いがなされないということになると、被害者の被害が補填されないということになりますが、被害者が救済されなければ自動車社会は成り立ちません。
そこで、被害者の救済を目的としつつ、強制加入であるという性質から保険料を低額にし、その分支払われる保険金に上限を設けているというのが自賠責保険です。
自賠責保険では一定程度まで加害者が本来負うべき賠償金を支払ってくれますが、上限を超えた部分は原則に立ち返り加害者らが支払わなければなりません。
その超過部分をカバーするのが任意保険です。
よって、加害者らが、任意保険に加入している場合には、基本的には加害者の加入する任意保険が賠償金の支払いを行い、任意保険に加入していない場合には、まずは自賠責保険が支払い、それでも補填されない損害については加害者本人らがこれを支払うということになるのです。
⑵ 任意保険・自賠責保険での補償範囲・違い
上記のとおり、自賠責保険には補償額の上限があり、傷害部分は120万円までと定められています。
他方で任意保険でのいわゆる対人賠償や対物賠償には上限(限度額)がないことがほとんどです。
⑶ 支払いまでの流れと必要書類・手続き
交通事故による損害には、大きく「人身損害」と「物的損害」がありますが、ここでは主に人身損害について加害者が任意保険に加入している場合を想定してご説明します。
① 治療段階
まずは、怪我をしていますので、治療に通わなければなりません。
治療に行けば当然治療費の支払いを強いられ、この「治療費」が損害となります。
本来的には、被害者の方が病院等で治療費を支払い、支払った治療費を加害者の加入する任意保険に請求するという枠組みなのですが、実務上は、任意保険会社が医療機関に連絡し、医療機関が直接任意保険会社に対して治療費を請求し、支払いが行われます(これを「一括対応」といいます)。
このような仕組みに立っているため、多くの場合は交通事故被害者の方は治療にあたって窓口で治療費を支払う必要がありません。
また治療を余儀なくされている状態では、仕事に従事することができず仕事を休んだことによって給料が減ってしまうなどの損害が生じることがあります。
この場合には、職場に必要な書類を作成してもらうなどして、治療期間中に任意保険会社から休業損害を支払ってもらうことも考えられます。
② 治療終了・症状固定・後遺障害の認定
では、慰謝料はいつ払われるでしょうか。
慰謝料の金額は、既にご説明したとおり、治療期間等によって計算されます。
そのため、治療が終了して初めてその計算が可能になります。
また、後遺障害慰謝料についても、十分に治療をしてもなお症状が一進一退の状態となり残存した場合(これを症状固定と言います)に当該症状が後遺障害として認定されて初めて請求することができるため、治療終了後(後遺障害の認定後)に初めてこれを計算することができます。
③ 最終示談交渉
治療が終了した後(あるいは後遺障害の認定がなされた後)、慰謝料を計算して、任意保険会社に対して、その支払いを求めていきます。
これを(最終)示談交渉などと言います。
慰謝料以外にも、まだ任意保険会社から支払がなされていない交通費や雑費、休業損害等がある場合には、まとめて請求しましょう。
最終的に示談がまとまったら、当該示談に基づき、慰謝料を含めた賠償金(示談金)が支払われます。
5.慰謝料の計算方法と増額・減額のポイント
⑴ 通院日数・入院日数と金額の関係
慰謝料は通院期間や入院日数に強く影響されることがあります。
必要以上に治療を行うことは許されません(交通事故と因果関係のある損害として認められない)が、逆に、ルールを知らないがゆえに治療(通院)を後回しにしてしまい、本来必要な治療を行うことができずに慰謝料についても適正金額に不足してしまうというケースは存外少なくありません。
特に、初診遅れ、通院頻度が極端に少ない、通院期間に長期の空白期間がある場合などには適切な慰謝料を請求することができなくなる場合があるので、注意が必要です。
⑵ 後遺障害・等級認定による慰謝料の違い
後遺障害が何級に該当するかによって、後遺障害慰謝料の金額は大きく変わります。
後遺障害の等級は、自動車損害賠償保障法(いわゆる自賠法)施行令に定められており、当該等級表に該当する症状のみが基本的には後遺障害慰謝料の対象となります。
この後遺障害等級には、1級から14級までがあり、1級が最も重篤な症状であり、等級の数字が大きくなればなるほど症状が軽くなっていきます。
裁判所基準では、1級の後遺障害が認定された場合には2800万円の後遺障害慰謝料が、14級の場合には110万円の後遺障害慰謝料が認められます。
⑶ 慰謝料の増額を目指す交渉方法と注意点
示談金額を「増額」するというのは、基本的には適切な裁判所基準での慰謝料を獲得するということです。
そのためには、まず任意保険会社の提案する慰謝料は、いわゆる任意保険会社基準又は自賠責基準によって計算された金額であり、裁判所基準での計算額に比べて低額となっている可能性があることを認識しておくことが必要です。
また、裁判所基準での入通院慰謝料においても、上記で説明をしたとおり、治療の経過等によって本来請求することができたはずの金額よりも低額になってしまうことがありますので、適切な通院を行うことが重要です。
治療が終わってしまった後でそのことに気が付いても間に合いません。
重要なのは、交通事故の被害に遭った直後にどのような通院方法が適切であるのかを知っておくことであり、できれば弁護士などの専門家の無料法律相談を早い段階で活用して欲しいところです。
さらに、裁判所基準での慰謝料はあくまで目安であり、個別の特別な事情がある場合にはその増額を主張すべき場合があることを知っておくことも重要です。
たとえば、「加害者の飲酒の上での一方的過失による事故であること」、「加害者が事故後被害者を救護せずに現場から逃走したこと」などを特別な事情として指摘し、通常の裁判所基準での慰謝料金額を増額した例(東京地方裁判所八王子支部平成15年4月24日判決)などがあります。
6.慰謝料を増額する3つのポイント
交通事故の慰謝料は、適切な対応を取ることで増額できる可能性があります。
ここでは、実務上特に重要となる3つのポイントを解説します。
① 通院頻度を適切に保つ
慰謝料は通院期間や通院日数に大きく影響されます。
通院頻度が少ない場合、「症状が軽い」と判断され、慰謝料が低い金額に算定されてしまう可能性があります。
そのため、医師の指示に従い、適切な頻度で通院を継続することが重要です。
② 後遺障害認定を適切に受ける
治療を続けても症状が残る場合には、後遺障害等級認定を受けることで慰謝料が大きく増額する可能性があります。
例えば、後遺障害14級が認定されるだけでも、慰謝料は100万円以上となるケースが一般的です。
適切な診断書の作成や申請手続きが重要となるため、専門家のサポートを受けることも検討すべきです。
③ 弁護士に依頼する
保険会社の提示額は任意保険基準であることが多く、弁護士基準と比較すると低い傾向があります。
弁護士に依頼することで、裁判所基準をもとに交渉することが可能となり、多くのケースで慰謝料が大幅に増額します。
また、交渉のストレスや手続きの負担を軽減できる点も大きなメリットです。
これらのポイントを踏まえることで、慰謝料を適正な金額で受け取れる可能性が高まります。
「保険会社の提示額が適正か分からない」、「自分の場合いくら増額できるのか知りたい」という方は、無料相談を利用して早めに確認することをおすすめします。
7.いわゆる軽微物損を理由に早期に治療が打ち切られたケース
交通事故被害に遭われた方が治療を継続しているときに、加害者側の任意保険会社から治療を打ち切る旨を通告されることがあります。
まだ完治をしていないのに、治療を終了しなければならないのかと不安に思われる方は少なくありません。
この点、治療の必要性については極めて専門的な判断を要する事項であり、評価に関する争いとなるため、保険会社の打ち切り自体が違法であるとか、常に間違った対応であるということではありません。
他方で当然被害者としては、治療の必要性があるにもかかわらず、保険会社からの主張に必ず従わなければならないということでもありません。
このような治療期間に関する争いに関し、「軽微物損」を理由とする争いがあります。
これは、車両の物損状況に着目し、軽微な物的損害(例えば修理金額として10万円以下)であることを理由に、衝撃の程度が軽微であり、人体への侵襲の程度も軽微であるから治療を要する期間も短期間である(場合によっては受傷自体を認めない)という主張です。
弊事務所でもこのような保険会社からの主張を受けることもあります。
しかしながら、物的損害の程度(すなわち衝撃の程度)と傷害の程度は必ずしも比例しないという旨の論考があり、「少なくとも現在の工学的問題状況としては、低速度追突事案ではむち打ち症が発症しないという一般的法則性は否定されていると言ってよい」と指摘する文献もあります。
弊事務所では、このような文献の存在を明らかにし、交渉や民事裁判を通じて、任意保険会社が認めなかった通院期間を認めさせたケースが複数あります。
これによって、ご依頼者様の適切な慰謝料を獲得することができました。
8.弁護士に依頼するメリット・費用と増額実績
交通事故に詳しい弁護士が介入することで、裁判所基準を前提とした交渉が可能となり、慰謝料が増額するケースは数多くあり、弊事務所でも多くの増額実績がございます。
一方で、弁護士を依頼する場合には、一般的に弁護士費用がかかります。
そのため、通常は、この増額が見込める金額と弁護士費用とを天秤にかけて経済的なメリットがあるかどうかで弁護士を依頼するかどうかを検討していただくことになります。
この検討のためには、正確な見通しと明確な弁護士費用の説明が不可欠です。
近年はインターネットにより多くの情報がありますが、無料相談を実施している弁護士事務所が多く存在しますので、是非一度直接弁護士事務所の無料相談をお受けになることを強くお勧めします。
また、弁護士費用については、弁護士費用特約を利用できる場合には、多くのケースで自己負担なく依頼できます。
その場合には、慰謝料増額のメリットが特に強く残りますので、より積極的に無料相談や弁護士への依頼を検討するのが良いでしょう。
ここまでお読みいただき、「保険会社の提示額は適正なのか」、「自分はいくらもらえるのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
交通事故の慰謝料は、通院状況や後遺障害の有無、過失割合などによって大きく異なり、適切な対応を取るかどうかで数十万円以上の差が生じることもあります。
特に、保険会社の提示額は任意保険基準であることが多く、本来受け取れる金額よりも低いケースが少なくありません。
そのため、適正な慰謝料を受け取るためには、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することが重要です。
無料相談を利用することで、ご自身のケースにおける慰謝料の目安や増額の可能性を具体的に確認することができます。
9.まとめ
交通事故の慰謝料は、正しい知識と適切な対応によって大きく変わります。
優誠法律事務所では、交通事故被害者の方の立場に寄り添い、慰謝料・賠償金の適正な解決を目指しています。初回相談は無料で、電話やメールによるご相談にも対応しています。
保険会社の提示額に少しでも疑問を感じた方、今後の通院や示談に不安がある方は、優誠法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
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投稿者プロフィール

これまで、交通事故・離婚・相続・労働などの民事事件を数多く手がけてきました。今までの経験をご紹介しつつ、皆様がお困りになることが多い法律問題について、少しでも分かりやすくお伝えしていきます。
■経歴
2009年03月 法政大学法学部法律学科 卒業
2011年03月 中央大学法科大学院 修了
2011年09月 司法試験合格
2012年12月 最高裁判所司法研修所(千葉地方裁判所所属) 修了
2012年12月 ベリーベスト法律事務所 入所
2020年06月 独立して都内に事務所を開設
2021年3月 優誠法律事務所設立
2025年04月 他事務所への出向を経て優誠法律事務所に復帰
■著書
こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)

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進路変更事故の過失割合とは?車線変更事故の基本割合と裁判でのケース別判断ポイントを弁護士が解説
「直進していただけなのに、急に割り込まれて衝突した」
「ウインカーも出さずに車線変更されたのに、自分にも過失があると言われた」
交通事故の中でも、進路変更(車線変更)に伴う事故は非常に多く、かつ当事者間での認識のズレが生じやすい類型です。
被害者であっても、「前方不注視」などを理由に思わぬ過失割合を提示されるケースが後を絶ちません。
本記事では、進路変更の過失割合についての判断基準と、有利な解決(0:100や慰謝料増額)を勝ち取るためのポイントを詳しく解説します。
進路変更による交通事故は、多くが車線変更時の安全確認不足やウインカーの遅れなどが原因となって発生しています。
特に、直進車と進路変更車両が接触する事故では、双方に過失が認められるケースが多く、保険会社から提示される過失割合に納得できないという相談も少なくありません。
本記事では、二輪車や自動車の交通事故における進路変更の過失割合について、弁護士が実務上の判断基準や修正要素をわかりやすく解説します。
進路変更事故の過失割合について、基本割合やケース別の判断基準を理解しておくことは、交通事故の示談交渉や損害賠償請求を進めるうえでも非常に重要です。
1 判例で分かる「進路変更 過失割合」の基本と本記事の読みどころ
⑴ 進路変更と車線変更の違い:用語と事故類型の整理
「進路変更」には、同一方向に進行しながら隣の車線に移る「車線変更」が含まれますが、同一車線内において左右に進行方向を変えることも「進路変更」に含まれます。
道路交通法第26条の2では、みだりにその進路を変更してはならないとされ、後続車両の速度や方向を急変させる恐れがあるときの進路変更は禁止されています。
⑵ 過失割合の基本ルールと裁判で重視されるポイント
実務上、後続直進車(A)と進路変更車(B)の事故における基本過失割合は「A 30:B 70」です(別冊判例タイムズ153図)。

「ぶつけられた側」である直進車にも30%もの過失がつく理由は、運転者には「前方や周囲の状況を注視し、危険を回避する義務」があるからです。
しかし、これはあくまで基本過失割合です。
以下の要素によっては、修正要素が認められることにより、過失割合が変動することになります。
例えば、後方から接近していた後続車両との距離が近い状態で車線変更を行った場合や、後方確認を十分に行わずに進路変更した場合には、進路変更車両の過失が重く評価される可能性があります。
逆に、直進車が速度超過で走行していた場合や、安全運転義務を怠っていた場合には、直進車側の過失割合が修正されるケースもあります。
・合図(ウインカー)の有無とタイミング
・車線変更禁止場所(イエローカット等)かどうか
・初心者マークや高齢者マークの有無
・双方車両の速度超過の程度
⑶ この記事で解決する疑問(判例から学ぶ具体的判断基準)
「どうすればこちらの過失をゼロ(0:100)にできるのか?」
「保険会社の提示額は適正なのか?」
本記事では、抽象的な法律論だけでなく、ドライブレコーダーの活用法や弁護士介入による増額事例など、実務に即した解決策を提示します。
2 車線変更事故で過失0にするには?~判例と実務の要件
⑴ 車線変更事故で過失0:100にするには?(判例で認められる条件)
基本過失割合が「後続直進車30:進路変更車70」である以上、直進車の過失を0にするには、強力な立証が必要です。
判例で後続直進車の過失0が認められる可能性が出てくるのは、以下のようなケースです。
①至近距離への割り込み:直進車の目と鼻の先に急に割り込まれ、ブレーキを踏む間もなく衝突した場合(回避可能性がない)。
②合図なしの急ハンドル:ウインカーを出さず、あるいは出した瞬間に車線変更を開始した場合。
③進路変更禁止場所での強行:黄色い実線の区間等、進路変更禁止場所での車線変更。
④後方から車線変更:隣の車線の前方を走行していた他の車両を追い抜いた直後に車線変更した場合。
⑵ 車線変更事故で過失0にするには(真横・側面衝突の特殊ケース)
通常、車線変更事故は「変更車の後部」と「直進車の前部」が接触することが多いですが、「真横同士」が接触するケースでは,直進車の過失0の主張が認められる可能性が出てきます。
論理構成:直進車から見て、相手が側面から突っ込んできた場合、「前方を注視していても防ぎようがない(被追突に近い状況)」といえます。
証拠の重要性:ドライブレコーダー映像が一番良いですが、双方車両の損傷部位や刑事記録等からも、内容によっては相手が並走状態から幅寄せしてきたことの証明になり得ます。
⑶ 後ろから/追突と進路変更の区別
「追突(0:100)」なのか「進路変更(30:70)」なのかも、賠償額を左右する大きな分岐点です。
追突と進路変更の区別については、次のとおり整理できるものと思われます。
進路変更事故:車線変更動作の「最中」または変更直後に衝突。
追突事故:車線変更が完全に「終了」し、前走車として安定走行に入った後に衝突。
3 弊所における解決事例~進路変更の過失割合
⑴ 並走状態からの車線変更により発生した事故について0:100で示談解決
本件事故は、依頼者運転の当方車両が片側2車線直線道路の第1車線を直進走行していたところ、第2車線を直進走行していた相手車両が、当方車両とほぼ並走状態になった際に第1車線への車線変更を開始し、既にほぼ真横にいた当方車両に衝突したもの。
裁判例やドライブレコーダー映像を示しながら主張を行い、依頼者の過失が0%であることを前提とした示談を実現しました。
⑵ ドライブレコーダー映像がないにもかかわらず10: 90で訴訟解決
本件事故は、依頼者運転の当方車両が第2車線を直進走行していたところ、第3車線で渋滞のため停止していた相手車両が、当方車両とほぼ横並びで相当接近した状態で、突如第2車線に向けて車線変更を開始し、ほぼ真横にいた当方車両に衝突したもの。
もっとも、本件についてはドライブレコーダー映像がなかったことから、事実関係(事故状況)自体も主張が食い違い、争点となっていました。
実際、相手方からは、「余裕をもって車線変更したものの、直進車が猛スピードで進行していたから衝突した」旨の主張が展開されていました。
この後にも触れますが、ドライブレコーダー映像がない場合、そもそもの事故状況について水掛け論になってしまうケースは多いです。
そのような状況ではありましたが、双方車両の損傷状況、物件事故報告書及び裁判例等を示しながら懸命に主張・立証を行い、裁判所から当方寄りの心証を得ることができました。
その結果、ドライブレコーダー映像がないケースであったにもかかわらず、依頼者の過失が10%であることを前提とした訴訟による解決を実現しました。
⑶ 事前に合図を出していたにもかかわらず10:90で示談解決
本件事故は、依頼者運転の当方車両が第2車線を直進走行していたところ、当方車両の左前方で第1車線を直進走行していた相手車両が、合図を出した上で2車線への車線変更を開始し、当方車両に衝突したもの。
相手車両は合図を出していましたが、タイミングが遅く不十分なものでした。進路変更する場合は3秒前から合図をしなければなりません(道路交通法施行令第21条1項)。
そのため、たとえ合図を出していたとしても、これは修正要素である「合図なし」に該当するため、依頼者に20%の減算修正がなされるべきであるとの主張を展開しました。
その結果、当方主張が全面的に認められ、相手車両は合図を出していたにもかかわらず、依頼者の過失が10%であることを前提とした示談による解決を実現しました。
4 裁判で争点になりやすい要素と証拠の集め方
⑴ ウインカー・合図の有無と安全確認の記録(ドライブレコーダー映像の活用)
「ウインカーを出した・出していない」は水掛け論となる典型です。
これを決定的に解決するのがドライブレコーダー映像です。
映像の解析:相手の車両が線を超える何秒前にウインカーが点滅したか。
音声記録:事故直後の車内の会話や、相手との立ち話(「すいません、見てませんでした」等の発言)も重要な証拠になります。
⑵ 速度・並走・ゼブラゾーンなど道路状況が与える影響
裁判では、現場の道路状況も細かく分析されます。
ゼブラゾーン(導流帯):車両の運転者等の意識としても、ゼブラゾーンにみだりに進入すべきではないと考えているのが一般的であるため、事故当時、直進車がゼブラゾーンを進行していた場合は、修正要素として、直進車側に10〜20%の過失が加算される可能性があります。
速度超過:直進車が制限速度を15km以上超過していた場合、修正要素として、直進車側に10〜20%の過失が加算される可能性があります。
また、交差点付近や駐車場の出入口付近では、車線変更や進路変更による事故が発生しやすくなります。
こうした場所では車両や自転車などさまざまな交通主体が混在するため、通常よりも高い注意義務が求められます。
⑶ 目撃証言・車両の接触痕跡・修理見積など裁判で有効な証拠
ドライブレコーダー映像がない場合、以下の「物的証拠」が頼りになります。
車両の損傷部位:双方車両のどの部分が損傷しているかによって、衝突時の進入角度を割り出し得ます。
実況見分調書:警察が作成する書類。事故現場の図面とともに、事故状況に関する当事者の認識が記録されています。
修理見積書・写真:衝撃の強さを証明し、速度超過の推認に役立ちます。
5 保険交渉・示談での過失割合の変動と賠償金の取り扱い
⑴ 保険会社の主張パターンと示談で注意すべき点
保険会社は、『判例タイムズ』の「基本割合(30:70)」を機械的に適用してくる傾向にあります。
「今回のケースは基本通りですから」と言われても、すぐに示談書にサインしない方がいいかもしれません。修正要素が見落とされている可能性があるためです。
⑵ 弁護士に依頼すると過失割合や賠償金はどう変わるか(無料相談・弁護士費用特約)
弁護士が介入すると、以下の2点で金額が変わる可能性があります。
①過失割合の適正化:見落とされた修正要素等があった場合、これらの要素を過失割合に反映するよう主張します。
②賠償基準の変更:事故で怪我をされていた場合、保険会社基準ではなく、裁判所基準(弁護士基準)で慰謝料等を計算します。
これにより、賠償額が2倍〜3倍になることも珍しくありません。
※ご自身の保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、実質負担0円での依頼が可能です。
⑶ 示談で納得できないときの対応
交渉が決裂した場合、以下の手続を検討することになります。
交通事故紛争処理センター(ADR):第三者機関による斡旋。
訴訟(裁判):裁判所における終局的な解決手続。
6 過失割合を争うための実務対応チェックリスト
⑴ ドライブレコーダー保存・証拠収集の具体的手順
ドラレコのSDカードを抜く: 事故後そのまま走行すると、データが上書きされる恐れがあります。すぐにバックアップを取りましょう。
現場写真の撮影:道路の状況、停止位置、破片の散らばり方等を撮影。
⑵ 過失割合の修正主張に有利なポイントと裁判での立証方法
「相手が後方や真横から車線変更してきた」
「相手がウインカーを出さなかった(出していたとしてもタイミングが遅すぎた)」
といった相手方の動きや、事故現場が進路変更禁止場所であったことを、ドライブレコーダー映像や現場写真等で立証することが重要です。
⑶ 弁護士法人・法律事務所の選び方と費用(受付/相談の流れ)
交通事故に特化しているか:交通事故の解決には、法的知識はもちろんですが、医学的知識(後遺障害)や保険の知識も必要な場合が多いです。
HPなどで、どの程度交通事故案件の実績があるかはチェックして相談する弁護士を決めた方が良いでしょう。
弁護士特約での対応が可能か:弁護士特約が利用できる場合には、弁護士費用のご負担は実質ゼロになります。
無料相談の活用:まずは「この状況で過失割合はどうなるか」を問い合わせてみましょう。
7 Q&A:よくあるパターン別の目安と予防策
⑴ 車線変更でよく出る過失割合パターン一覧
| 事故状況 | 基本過失割合(直進車:変更車) | 備考 |
| 通常の車線変更 | 30:70 | 基本形。直進車にも前方注視義務あり。 |
| 直進車がゼブラゾーンを走行 | 40〜50:60〜50 | 直進車の過失が加算される。 |
| 進路変更禁止場所での車線変更 | 10:90 | 進路変更禁止場所での車線変更は変更車の過失大。 |
⑵ 高速道路・駐停車それぞれの注意点
高速道路での進路変更は速度域が高いため、一瞬の判断ミスが重大な事故に繋がります。
特に首都高は、左側だけでなく右側にも出口や合流が多数ある上、JCT(ジャンクション)も多いことから、特に慎重な運転が必要です。
駐停車車両の回避するための車線変更についても、安易に直進車が譲ってくれると思わずに、余裕をもって車線変更しましょう。
⑶ 日常でできる予防策と万一の対応手順
ウインカーは3秒前:周囲に意思を伝える時間を確保する。
死角チェック(目視):ミラーに映らない斜め後方を必ず目視確認する。
「かもしれない運転」:隣の車が急に入ってくるかもしれないと予測して構える。
交通事故の過失割合は、事故状況や道路環境、双方の運転行動など複数の要素を総合的に判断して決定されます。
そのため、保険会社から提示された過失割合が必ずしも適正とは限りません。
示談交渉や損害賠償請求を進める際には、交通事故に詳しい弁護士へ相談することで、過失割合の修正や賠償額の増額が認められる可能性があります。
8 過失割合・示談金に納得がいかない場合は弁護士にご相談を
進路変更事故は、少しの事実認定の違いで、過失割合が「30:70」にも「0:100」にもなり得るデリケートな案件です。
保険会社の提示する割合や示談金は、あくまで彼らの基準であり、法的に絶対正しい「最終回答」ではありません。
弊所では、交通事故の被害者救済に力を入れており、初回相談は無料で承っております。
弊所は、多くの保険会社の弁護士特約に対応していますので、弁護士特約が利用できる場合には、弁護士費用のご負担はありません。
まずはお手元の事故資料やドライブレコーダーの映像をご準備の上、お気軽にお問い合わせください。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
初回相談は無料で、弁護士費用特約にも対応しています。
全国どこからでもご相談いただけますので、不安を抱え込まず、まずは一度お気軽にお問い合わせください。
交通事故被害者の慰謝料はいくらもらえる?相場・減額理由・増額のポイントを弁護士が解説
交通事故の被害者が受け取れる慰謝料の金額は、ケガの程度や後遺障害の有無、事故状況によって大きく異なります。
目安としては、軽傷(むちうち・打撲など)の場合で数十万円程度、後遺障害が残ったケースでは100万円〜数百万円、死亡事故では3000万円以上になるケースも実際にあります。
ただし、注意すべきなのは、保険会社から最初に提示される慰謝料の金額は、本来被害者がもらえるはずの適正な金額よりも少ない水準であることが非常に多い点です。
「提示された金額は妥当なのか」、「本当はいくらもらえるのか」と疑問に感じた場合は、慰謝料の基準や算定方法を正しく知ることが重要です。
この記事では、被害者やそのご家族が知っておくべき「慰謝料の基準」や「増額のポイント」を、具体的な金額や計算例を交えて解説します。
1.交通事故被害者が知っておくべき慰謝料の全基礎知識
まずは、交通事故の損害賠償における基本的な用語と仕組みを整理しましょう。
これらを知り、正しい知識を持つことが解決への第一歩です。
⑴ 交通事故で発生する損害と慰謝料とは?
交通事故で相手(加害者)に請求できるお金(損害賠償金)は、大きく分けて「3つ」の項目で構成されます。
①積極損害: 治療費・入院費・通院交通費など、交通事故によって被害者が実際に支払わなければいけなくなった費用。
②消極損害:怪我で仕事を休んだために減った収入(休業損害)や、後遺障害が残ったため将来得られたはずだったのに得られなくなった収入(後遺障害逸失利益)など、交通事故がなければ得られたはずの利益。
③慰謝料: 傷害慰謝料・後遺傷害慰謝料・死亡慰謝料など、精神的苦痛に対する賠償金。
このように、「慰謝料」はあくまで損害賠償の一部です。
しかし、この慰謝料の計算方法こそが、最終的に受け取る金額を大きく左右します。
⑵ 精神的苦痛に対する慰謝料の意味と重要性
交通事故で傷害を負った場合、恐怖や治療の痛みといった「目に見えない心の傷」については、金銭評価した上で償われることになります。
被害者本人はもちろん、死亡事故や重傷事案(要介護など)では、配偶者や子供など「家族(遺族)」固有の慰謝料が認められる場合もあります。
⑶ 慰謝料がもらえる主なケースと種類
慰謝料は主に以下の3種類に分類されます。
それぞれの状況によって請求できるものが異なります。
①入通院慰謝料(傷害慰謝料):交通事故の治療のために必要となった入院・通院による精神的苦痛に対する慰謝料。
②後遺障害慰謝料:交通事故の症状が完治せず、後遺障害が残ってしまったことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料。
③死亡慰謝料:被害者が亡くなったことによる被害者本人および遺族の精神的苦痛に対する慰謝料。
2.慰謝料の計算方法と相場を徹底解説
慰謝料の金額は、「誰が」「どの基準で」計算するかによって数倍以上の違いが出ることがあります。
⑴ 交通事故慰謝料の基準と算定方法の違い(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)
算定には3つの基準があります。低い順に並べると以下の通りです。
①自賠責基準(最低限):自賠責保険の支払基準。最低限の補償を目的としており、金額は最も低いです。
②任意保険基準(内部基準): 各保険会社が独自に定める基準。自賠責より少し高い程度です。
➂弁護士基準(裁判基準): 過去の裁判例に基づく基準。本来被害者が受け取るべき適正額であり、最も高額になります。
保険会社は営利企業であることもあってか、「自賠責基準」や「任意保険基準」の低い金額を提示してくることが大半です。
⑵ 通院日数・症状別にみる入通院慰謝料の計算例
入通院慰謝料は、原則として「入院期間」と「通院期間」の長さで決まります。
例えば、自賠責基準では「日額4300円×対象日数」といった計算が用いられますが、弁護士基準では「赤い本」などの表を用い、重傷(骨折など)か軽傷(むちうち・打撲など)かで金額が異なります。
以下は、赤い本基準で計算した一例です。
・むちうち(他覚所見なし): 通院3ヶ月で約53万円(弁護士基準)
・骨折(重傷): 入院1ヶ月・通院6ヶ月で約149万円(弁護士基準)
⑶ 後遺障害等級ごとの慰謝料はいくら?【基準別金額一覧】
後遺障害が認定されると、等級に応じて「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を受け取ることができます。
ただし、同じ等級であっても、どの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)で計算されるかによって、実際にもらえる金額には大きな差が生じます。
特に1級・2級・3級といった重い後遺障害では、数百万円〜数千万円単位で差が出ることも珍しくありません。
以下、等級ごとの相場(目安)を紹介します。
| 等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
| 1級 | 1150万円 | 2800万円 |
| 2級 | 998万円 | 2370万円 |
| 3級 | 861万円 | 1990万円 |
| 4級 | 737万円 | 1670万円 |
| 5級 | 618万円 | 1400万円 |
| 6級 | 512万円 | 1180万円 |
| 7級 | 419万円 | 1000万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 9級 | 249万円 | 690万円 |
| 10級 | 190万円 | 550万円 |
| 11級 | 136万円 | 420万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
このように、後遺障害等級が同じであっても、保険会社の提示額(自賠責基準・任意保険基準)だけで示談を進めてしまうと、本来もらえるはずの慰謝料よりも少ない金額で解決してしまう可能性があります。
特に、後遺障害14級や12級といったケースでは、「この程度なら大した金額にならない」と説明されることもありますが、弁護士基準で計算すれば金額が大きく変わるのが実情です。
このように、後遺障害等級が認定されるかどうか、またどの基準で計算されるかによって、被害者が受け取れる慰謝料の金額は大きく異なります。
しかし、実務上は、「等級が認定されているのに思ったより金額が少ない」「明らかに被害者なのに減額されている」と感じるケースも少なくありません。
⑷ 交通事故の被害者でも慰謝料が減額される3つの理由
「自分は明らかに被害者なのに、なぜ慰謝料が減額されるのか」「保険会社の説明にどうしても納得できない」
交通事故の被害者から、このような悩みや疑問が寄せられることは少なくありません。
実は、被害者であっても、一定の事情があると慰謝料や損害賠償金が減額されるケースがあります。
ここでは、交通事故の実務で特に多い「被害者でも慰謝料が減額される3つの理由」と、それぞれの対処方法について解説します。
① 過失割合が認められた場合(過失相殺)
交通事故では、被害者であっても事故の発生に一定の過失があると判断されると、その割合に応じて慰謝料や賠償金が減額されます。
例えば、被害者の過失割合が20%とされた場合、本来100万円もらえるはずだった慰謝料は、80万円に減額されてしまいます。
保険会社は、「被害者にも前方不注意があった」「回避行動が不十分だった」などと主張して、過失割合を大きく見積もることがあります。
【対処ポイント】
過失割合は、保険会社の言い分がそのまま通るわけではありません。
事故状況、ドライブレコーダー映像、実況見分調書などをもとに、被害者側から適切に反論・主張することが重要です。
② 通院頻度が少ない場合など
通院期間が短い、通院頻度が極端に少ないといった場合、保険会社から「精神的苦痛は軽い」として慰謝料を減額されることがあります。
整骨院への通院が中心で、整形外科の受診が少ないケースでは、慰謝料が低く算定されていることもあります。
【対処ポイント】
医師の指示に従った通院の記録を残すことが重要です。
骨折などでは、経過観察となって通院回数が少なくなることもありますが、自己判断で通院を中断せず、医師の指示に従って通院し、症状についてもしっかり記録してもらうことで、治療の必要性を医学的に説明できる状態を作りましょう。
③ 既往症がある場合(素因減額)
例えば、既往症として変形性頸椎症・変形性腰椎症やヘルニアなどがある場合、これらの症状が「身体的素因」と判断されて、慰謝料やその他の賠償金を減額されることがあります。
これは、交通事故によって、首や腰の痛み(むち打ちなど)が生じていても、既往症によるところが大きいのであれば、その分を減額するべきとの考え方で、「素因減額」と言われます。
【対処ポイント】
保険会社が主張してきたからといって、必ずしも減額が認められる訳ではありません。
裁判例では、以下のような基準が重視されていますので、これらの点を基に反論する必要があります。
・「疾患」といえるレベルか: 単なる「首が長い」「平均より太っている」「加齢相応の変化」などは、個体差(身体的特徴)の範囲内とされ、減額されないことが多いです。
・事故前の自覚症状:事故前にその部位で通院していなかった、症状が出ていなかったという事実は、反論材料になります。
このように、慰謝料が減額されるかどうかは、単に「被害者かどうか」だけで決まるものではありません。
保険会社の提示内容をそのまま受け入れてしまうと、本来受け取れるはずの慰謝料よりも低い金額で示談が成立してしまう可能性があります。
減額理由や主張の妥当性を一つずつ確認し、必要に応じて適切に対処することが重要です。
⑸ 交通事故慰謝料はいくらもらった?【軽傷・重傷の実際の解決事例】
以下、当事務所弁護士が解決した事例を紹介いたします。
※これらは、「慰謝料」のみの実績であり、示談金総額(治療費・休業損害・逸失利益等を含む)はさらに高額になります。
事例1(むちうち・14級): 保険会社提示額 約100万円(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料) → 弁護士介入後 約190万円で解決(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)。
事例2(骨折・12級): 保険会社提示額 約240万円(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料) → 弁護士介入後 約390万円で解決(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)。
事例3(頸髄損傷・7級):保険会社提示前に弁護士介入 約1050万円(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)
事例4(死亡・一家の支柱以外):保険会社提示前に弁護士介入 約2800万円(傷害慰謝料+死亡慰謝料)
3.交通事故慰謝料はいつもらえる?支払いまでの期間と流れ
交通事故の慰謝料について、「結局、いつになったらお金を受け取れるのか」「支払いまでにどのくらいの期間がかかるのか」と不安に感じる被害者の方は多いのではないでしょうか。
慰謝料が支払われる時期は、怪我の内容や後遺障害の有無、示談の進め方によって異なります。
ここでは、交通事故慰謝料を受け取れるまでの一般的な期間と流れを解説します。
慰謝料が支払われるまでの一般的な流れ
交通事故慰謝料の支払いは、原則として次の流れで進みます。
① 治療の終了(症状固定)
怪我の治療が終了し、これ以上の回復が見込めない状態になると「症状固定」と判断されます。
② 後遺障害等級の申請(必要な場合)
後遺症が残った場合は、自賠責保険に対して後遺障害等級の申請を行います。
申請から結果が出るまでには、通常1〜3ヶ月程度かかります。
③ 示談交渉
損害額を算定したうえで、加害者側保険会社と示談交渉を行います。
④ 示談成立・支払い
示談が成立すると、通常は遅くとも30日以内に慰謝料が支払われるケースが多いです。
ケース別|慰謝料を受け取れるまでの期間の目安
慰謝料を受け取れるまでの期間は、事故の内容によって異なります。
・軽傷で後遺障害が残らない場合
治療終了後すぐに示談交渉が始まり、事故から3〜6ヶ月程度で慰謝料を受け取れることが一般的です。
・後遺障害が残った場合
等級認定に時間がかかるため、事故から6ヶ月〜1年程度かかることがあります。
・死亡事故の場合
相続関係の整理や損害額の確定が必要となるため、1年以上かかるケースもあります。
なお、示談交渉が長引いたり、過失割合や後遺障害等級について争いが生じた場合には、慰謝料の支払いまでに想定以上の期間がかかることもあります。
4.交通事故慰謝料を受け取るための具体的な手続きと注意点
⑴ 請求できるのは誰?被害者・家族の場合のポイント
原則は被害者本人です。
ただし、死亡事故の場合は遺族(相続人)が請求します。
死亡慰謝料の基準(自賠責)では、死亡した被害者本人の慰謝料は400万円ですが、弁護士基準であれば一家の支柱で2800万円、その他の方でも2000万円~2500万円程度が相場となります。
⑵ 交通事故慰謝料を受け取るための具体的な手続きと注意点
前章で解説した「支払いまでの期間」を踏まえ、ここでは、実際に交通事故慰謝料を受け取るために被害者が行うべき具体的な手続きと注意点を解説します。
①治療終了(症状固定):医師が「これ以上良くならない」と診断する時期。
②後遺障害等級の申請:自賠責保険会社に対して申請。
➂後遺障害等級の結果:自賠責保険会社から認定結果が通知されます。申請してから2ヶ月程度かかることが多いです。
④示談交渉開始:損害額について計算の上、加害者側保険会社と交渉。
⑤示談成立・入金:合意してから2~3週間程度で支払われる。
なお、手続きの進め方を誤ると、本来受け取れるはずの慰謝料が減額されたり、支払いまでに余計な時間がかかることもあります。
⑶ 示談・裁判など手続き別の特徴と注意点
示談交渉で話がまとまらない場合、「交通事故紛争処理センター」の利用や「裁判」への移行を検討します。
裁判は時間がかかりますが(半年〜1年以上)、認められれば遅延損害金や弁護士費用の一部も加算され、結果として受ける金額が最も高くなる可能性があります。
⑷ 必要な書類・認定・等級の取得方法
適正な等級(1級〜14級)を獲得するには、「後遺障害診断書」の内容が極めて重要です。
医師任せにせず、弁護士のアドバイスを受けて作成することをおすすめします。
MRI画像の所見や、自覚症状の一貫性が認定のカギとなります。
5.慰謝料を最大化するための具体的な方法と増額交渉のコツ
⑴ 保険会社と交渉する際のポイント・注意点
被害者本人が交渉を試みた際,保険会社の担当者から「これが上限です」「相場です」と言われたとしても、それはあくまで「自賠責や任意保険の基準」での話である可能性が高いです。
「弁護士基準で計算してください」と個人で伝えても、なかなか認めてもらえません。
専門家である弁護士が代理人として交渉することで、初めて対等な話し合いが可能になります。
⑵ 弁護士に依頼するメリットと費用
弁護士に依頼する最大のメリットは、「慰謝料の増額」と「精神的負担の軽減」です。
費用については、ご自身の自動車保険などに「弁護士費用特約」が付帯していれば、相談料や着手金など最大300万円まで保険会社が負担してくれるため、実質無料で依頼できるケースが多いです。
特約がない場合でも、「着手金無料」「完全成功報酬制」を採用している法律事務所であれば、初期費用なしで依頼できます。
精神的負担の軽減については、相手方保険会社と直接やり取りをする必要がなくなるという点が挙げられます。
⑶ 示談金が提示され減額されるパターンと対処法
過失相殺:例えば「被害者にも20%の過失がある」として、賠償金全体から20%減額するとの主張をされることがあります。この主張に納得できない場合、信号の色や一時停止の有無など、事故状況の証拠(ドライブレコーダー等)をもとに反論していきます。
素因減額:もともとの持病(ヘルニア等)が原因で痛みが長引いたとして,減額を主張されることがあります。この主張に納得できない場合,診断書やカルテ等をもとに,持病は加齢に伴う通常の変性の範囲内であること等を反論していきます。
⑷ 後遺障害等級認定を活用した増額の方法
後遺障害が残った場合、等級認定を受けることで「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」が新たに請求できます。
例えば「14級」が認定されるだけで、請求金額に後遺障害慰謝料110万円+逸失利益を上乗せできるため、後遺障害等級認定の申請も視野に入れた方が良いでしょう。
6.交通事故慰謝料に関するよくある悩み&Q&A
- 被害者なのに、慰謝料が思ったより少ないのはなぜですか?
「通院日数が少ない」「整骨院ばかりで整形外科に行っていない」などの理由で減額されることがあります。
医師の指示に従い、適切な頻度で病院へ通うことが、治療費や慰謝料をしっかり受け取るための条件です。
- 治療中に保険会社から「そろそろ治療を終えてください」と言われたらどうすればいいですか?
「治療費の打ち切り」を通告された場合でも、医師が必要性を認めれば、保険会社が治療費の支払いを延長してくれることもあります。
また、健康保険を利用して通院を継続し、後から請求することもあります。
- 相手の保険以外にも、交通事故でもらえるお金はありますか?
加害者の保険だけでなく、被害者自身が加入している「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」も確認しましょう。
これらは過失割合に関係なく保険金が支払われることが多く、慰謝料とは別に受け取れる可能性があります。
- 保険会社から示談金を提示されましたが、すぐにサインしても大丈夫ですか?
原則として、保険会社から示談金を提示された場合でも、すぐにサインすることはおすすめできません。
一度示談が成立すると、その後に「金額が低かった」「計算方法に誤りがあった」と気づいても、原則として内容を変更することはできなくなります。
保険会社の提示額は、自賠責基準や任意保険基準といった被害者にとって低い基準で算定されていることが多く、本来受け取れるはずの「弁護士基準」の金額より少ないケースが少なくありません。
示談金の金額や内訳に少しでも疑問がある場合は、サインをする前に、交通事故に詳しい弁護士へ相談することで、増額の可能性や適正額を確認することができます。
7.まとめ|交通事故被害者が納得できる慰謝料を受け取るために
交通事故の慰謝料で損をしないためには、以下の3つが鉄則です。
①保険会社の提示額(自賠責・任意基準)を鵜呑みにしない。
②本来受け取れる「弁護士基準」の金額を知る。
③適正な等級認定と示談交渉のために、専門家である弁護士に相談する。
弁護士法人優誠法律事務所では、交通事故被害者の方からのご相談をお問い合わせフォームや電話で受付中です。
弁護士費用特約を使えばご負担もありません。
まずは無料相談をご利用いただき、納得のいく解決を目指しましょう。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
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