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【解決事例】死亡慰謝料と死亡逸失利益の「一家の支柱」性について紛争処理センターで有利な判断を得られた事例
これまで、交通事故の被害者が亡くなった場合の、死亡逸失利益や死亡慰謝料について何度かご説明してきました。
今回は、81歳の高齢者の死亡事故で、死亡逸失利益と死亡慰謝料の増額に成功した事例をご紹介します。
この事例では、相手方保険会社が「一家の支柱」ではないと主張し、紛争処理センターのあっせん案でも一家の支柱と認められませんでしたが、審査会での裁定で逆転、約500万円の増額を勝ち取りました。
この事案に基づいて、実務のポイントを弁護士が解説します。
実際の解決事例として、ご遺族の方には参考にしていただけるのではないかと思います。
1 死亡逸失利益と死亡慰謝料
死亡事故が発生した場合の死亡逸失利益と死亡慰謝料については、以下の記事で説明しております。
ここでもざっと振り返っておきますと、まず死亡逸失利益とは、被害者が交通事故に遭わなければ将来得られたはずの収入や利益を補償するもので、基本的に以下の計算式で行われます。
死亡逸失利益 = 基礎収入額 × (1 – 生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
以上の計算式から分かるとおり、生活費控除率が小さいほど、死亡逸失利益の金額が増えることになります。
そして、「一家の支柱」と判断されれば、生活費控除率はより小さいものが適用され、死亡逸失利益は大きくなる傾向にあります。
一方、死亡慰謝料とは、交通事故によって亡くなった被害者本人およびその遺族が被る精神的苦痛に対する賠償金のことです。
こちらについても、「一家の支柱」と判断されれば、慰謝料の基準額が高額になる傾向にあります。
したがって、ご家族がいる方が被害者となった死亡事故の場合、被害者が「一家の支柱」に該当すると言えるか否かで、示談金の額に大きな差が出てくることになります。
以下では、この点について正面から争いとなり、紛争処理センターに申立てを行い、解決に至った事例をご紹介します。
2 事案の概要
本件の被害者Aさんは、事故時81歳で、奥さん、ご子息お二人の4人家族で暮らしていました。
Aさんには年金収入が年間200万円程度あったほか、清掃員として稼働もしており、その稼働収入が年間150万円程度ありました。
奥さんには年間70万円程度の年金収入がありました。
ご子息はお二人とも成人しておられましたが、仕事はしていない状況でした。
そのような中、自転車運転中だったAさんに加害者が横から突っ込む形で事故が発生し、数ヶ月の入院治療の甲斐なく、Aさんはお亡くなりになりました。
3 加害者側の提案内容
その後、ご遺族は相手損保とそれを引き継いだ相手弁護士と、示談金の交渉を行いました。
話し合いの結果、相手損保からは3400万円弱の示談案の提示がありましたが、色々と調べたところ、適切な額ではないのではないかと考えるに至り、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
事故後、入院・治療を経てお亡くなりになったという事案でしたので、示談金の費目は、治療費、通院交通費、入院雑費、休業損害、傷害慰謝料、葬儀費用、死亡逸失利益、死亡慰謝料と多岐にわたりました。
相手弁護士からの提示書をみると、ほとんどの項目で適切な額の提案がなされていましたが、死亡逸失利益の生活費控除率について、給与部分は50%、年金部分は70%と高い率を適用したうえで計算されており、そのために死亡逸失利益の金額が低く抑えられていました。
具体的には、以下の計算式で算出されていました。
・給与部分
基礎収入額約150万円× (1-生活費控除率50%) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 3.7171=約280万円
・年金部分
基礎収入額約200万円× (1-生活費控除率70%) ×平均余命8年に対応するライプニッツ係数 7.0197=約420万円
・死亡逸失利益合計 約700万円
(なお、ライプニッツ係数が給与部分と年金部分とで異なるのは、高齢者の場合、給与については平均余命の2分の1に対応するライプニッツ係数を、年金については平均余命に対応するライプニッツ係数を用いるとされているためです。)
また、死亡慰謝料については、2000万円が提示されていました。
これらは、Aさんを「一家の支柱」とせず、単に年金受給者の男性として算定された金額です。
Aさんが一家の支柱とされれば、生活費控除率はより低いものとなって死亡逸失利益の金額は上昇し、死亡慰謝料の基準も上がることになります。
ご遺族のお話を伺ったところ、Aさんが一家の支柱と認定される可能性があると考えられたため、当事務所で事件をお受けすることになりました。
4 紛争処理センターでの手続き
ご依頼後、担当弁護士は、相手方代理人弁護士と交渉を試みましたが、返答がご依頼前とほぼ変わらず、賠償金額が大きいことや、一家の支柱の該当性という法的評価の問題が争いになることから、交渉では埒が明かないと考え、早々に紛争処理センターへの申立てを行うことにしました。
(紛争処理センターでの手続きについては、以下の記事でご説明していますので、こちらもぜひご覧ください。)
紛争処理センターへの申立てに際しては、Aさんが一家の支柱に該当することを前提に、当方からは、従前のご遺族と加害者側の交渉経緯も踏まえ、以下の内容で損害賠償を請求しました。
死亡逸失利益に関する生活費控除率については、給与部分については30%、年金部分については60%を主張しました。
具体的には以下の金額になります。
・給与部分
基礎収入額約150万円× (1-生活費控除率30%) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 3.7171=約390万円
・年金部分
基礎収入額約200万円× (1-生活費控除率60%) ×平均余命8年に対応するライプニッツ係数 7.0197=約560万円
・死亡逸失利益合計 約950万円
死亡慰謝料については、赤い本の一家の支柱の基準に従い、2800万円を主張しました。
その上で、Aさんが一家の支柱であったことについて、Aさん及びご遺族の収入状況や、一家の収入と支出の状況などを、源泉徴収票や通帳、ご遺族の陳述書などを提出して立証していきました。
特に、Aさん一家はかなり倹約されており、収入のほとんどをAさんに頼っていた一方で給与収入については預金に回せている状況でもあったので、この点は家計の内容と併せて主張しました。
また、高齢者について一家の支柱と判断している裁判例を証拠として提出しました。
紛争処理センターでは、何度か期日を行い当事者双方が主張立証を行った後、あっせん委員から和解案(斡旋案)の提案がなされます。
担当弁護士は、上記の主張立証についてある程度の手ごたえを感じていたのですが、あっせん委員からの斡旋案では、Aさんを一家の支柱と認定しない内容でした。
その理由としては、高齢者は一般に一家の支柱とならないと考えられることや、たまたまご子息が稼働していなかったとしても加害者がそれを知ることは出来ないことなどが挙げられていました。
しかしながら、確かに高齢者の場合に一家の支柱と判断されることは被害者が若年の場合に比べると少ないかもしれませんが、それでも一家の支柱と判断した裁判例は存在します。
また、たまたまご子息が稼働していなかったことを加害者が知り得ないという点は、それを言うのであれば交通事故案件は、通常、加害者にとって被害者の属性は不明ですから、賠償金は一律にすべきという結論になるはずですが、それが不当なことは明らかです。
したがって、ご遺族と相談し、斡旋案を受諾するのではなく、審査会の審査へと進んで、裁定を得ることにしました。
審査会へと進むと、別途審査期日が設けられ、事前の書面提出のほか、期日にて審査員に口頭で説明することになります。
審査期日の前には、これまでのまとめの主張と、和解あっせん時にAさんが一家の支柱ではないとされた理由に対する反論の書面を提出しました。
また、審査期日では、ご遺族の事故前後の生活状況や、Aさんの生前にはAさんの給与収入で貯金もできていたことを再度強調しました。
5 審査会の結果
そうしたところ、審査会の裁定では、Aさんを一家の支柱と認められ、その前提で死亡逸失利益と死亡慰謝料が算定されました。
死亡逸失利益の生活費控除率については、給与部分について40%、年金部分について60%とされました。
具体的には以下のとおりです。
・給与部分
基礎収入額約150万円× (1-生活費控除率40%) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 3.7171=約335万円
・年金部分
基礎収入額約200万円× (1-生活費控除率60%) ×平均余命8年に対応するライプニッツ係数 7.0197=約560万円
・死亡逸失利益合計 約895万円
死亡慰謝料については、2800万円とされました。
既払い金の処理について、交渉段階では主張していなかった内容を加害者側が主張した部分もありましたが、それでも示談金総額としては3900万円弱となり、示談金としては約500万円の増額を果たすことができました。
当初の紛争処理センターからの斡旋案には落胆しましたが、審査会で逆転することができ、ご遺族にも喜んでいただけ、本当に良かったです。
6 まとめ
今回は、死亡逸失利益と死亡慰謝料について、紛争処理センターを利用してこちらに有利に解決できた事例をご紹介しました。
そもそもこれらの項目については、法的な評価が問題になるうえ、金額も大きいものになりますので、示談とする前に弁護士の意見を参考にされることをお勧めいたします。
また、今回のケースではあっせん案の内容から審査会へ進んで逆転できましたが、審査会に移行してもあっせん案の段階の心証から変わらないということも多くあります。
審査会に移行して金額が増額できるかという点についても、弁護士の意見を確認されることをお勧めいたします。
私たち優誠法律事務所では、死亡交通事故に関するご相談も初回無料でお受けしております。
全国からご相談いただいておりますので、是非お気軽にご相談ください。
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投稿者プロフィール

2011年12月に弁護士登録後、都内大手法律事務所に勤務し、横浜支店長等を経て優誠法律事務所参画。
交通事故は予期できるものではなく、全く突然のものです。
突然トラブルに巻き込まれた方のお力になれるように、少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。
■経歴
2008年3月 上智大学法学部卒業
2010年3月 上智大学法科大学院修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
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交通事故の慰謝料はいくら?2026年最新版の相場・計算方法を弁護士が解説
交通事故に遭い、突然ケガで通院、入院を余儀なくされた被害者の方にとって、交通事故の慰謝料や示談金は「いくらもらえるのか」、「保険会社の提示額は本当に妥当なのか」、「結局どのくらい受け取れるのか」という点は、非常に大きな関心事であり、最も気になるポイントだと思います。
結論として、慰謝料の金額は、症状や通院日数によって大きく異なりますが、
軽傷の場合は40万円~80万円程度
骨折などの中程度の怪我の場合は80万円~150万円程度
後遺障害が残った場合は300万円~2800万円程度
が目安となります。
ただし、実務上、保険会社から最初に提示される慰謝料や賠償金の提示額は、これらの相場よりも少ないことが多く、被害者にとって適正とは言えないケースは決して少なくありませんので、適正な金額を受け取るためには注意が必要です。
交通事故の慰謝料は、事故の態様、ケガの程度、通院日数、後遺障害の有無、過失割合など、さまざまな事情を踏まえて算定されます。
そのため、正しい基準や相場を知らないまま示談に応じてしまうと、本来受け取れるはずの金額よりも低い金額で解決してしまう可能性があります。
本記事では、交通事故被害者の方が損をしないために知っておくべき慰謝料の基礎知識から、ケース別の事例、示談交渉の注意点までを、弁護士の立場から分かりやすく解説します。
1.交通事故被害者の慰謝料とは?基本知識と種類を解説
⑴ 慰謝料の定義と精神的苦痛の意味
交通事故における慰謝料とは、事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる損害賠償の一部です。
交通事故の被害者は、加害者に対して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権や自動車損害賠償保障法第3条に基づく損害賠償請求権を有します。
いずれも「損害賠償」を求める権利ですから、被害者は交通事故によって生じた「損害」を金銭的に評価して、そのお金を請求することができるということです。
この「損害」には、治療費、通院交通費、休業損害などがあり、慰謝料はこれらの「損害」うち「精神的損害」を金銭的に評価した金額を指す言葉です。
⑵ 交通事故被害者が請求できる慰謝料の種類
「慰謝料」が「精神的損害」を金銭的に評価した金額であることは上でご説明したとおりですが、交通事故による「慰謝料」には、①入通院慰謝料(傷害慰謝料)、②後遺障害慰謝料、③死亡慰謝料の3つがあります。
治療や通院を余儀なくされたという精神的な苦痛に対して支払われるのが入通院慰謝料(傷害慰謝料)、治療を尽くしても症状が完治せず後遺障害が残った場合に、残存した後遺障害の程度に応じた精神的な苦痛に対して支払われるのが後遺障害慰謝料です。
また、死亡事故の場合には、被害者本人およびご遺族の精神的苦痛に対する慰謝料として死亡慰謝料が認められます。
2.交通事故の慰謝料はいくらもらえる?【ケース別一覧】
交通事故の慰謝料は、ケガの内容や通院日数、後遺障害の有無によって大きく異なります。
ここでは代表的なケースごとの目安を紹介します。
以下は、裁判所基準を基にした一般的な慰謝料の目安です。
「自分の場合はいくらもらえるのか」を知りたい方は、まず以下のケースを参考にしてください。
| ケース | 内容 | 慰謝料の目安 |
| むちうち(軽傷) | 通院3ヶ月程度 | 約53万円(入通院慰謝料) |
| 骨折(中程度) | 通院6ヶ月+入院半月 | 約130万円(入通院慰謝料) |
| 後遺障害14級 | むちうち後に症状残存 | 約110万円(後遺障害慰謝料) +約89万円(入通院慰謝料) |
| 後遺障害12級 | 骨折後の痛み等が残存 | 約290万円(後遺障害慰謝料) +約116万円(入通院慰謝料) |
| 死亡事故 | 扶養状況により変動 | 2000万~2800万円程度(死亡慰謝料) |
※上記はあくまで目安であり、実際の金額は事故状況、過失割合、通院頻度などによって大きく異なります。
また、保険会社の提示額はこれよりも低いケースが多いため注意が必要です。
より正確な金額を知りたい場合は、弁護士への無料相談等で個別ケースを確認することが重要です。
3.交通事故の慰謝料の計算方法(自賠責・任意保険・弁護士基準)
⑴ 慰謝料の計算方法・基準
交通事故の慰謝料は一律で決まるものではなく、どの基準で計算するかによって金額が大きく異なります。
実務では主に「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判所)基準」の3つがあり、それぞれで慰謝料の金額に大きな差が生じます。
① 自賠責基準(最低限の補償)
自賠責基準は、被害者救済を目的とした最低限の補償基準であり、最も低い金額となるのが特徴です。
例えば、入通院慰謝料は「1日あたり4,300円」を基準に計算され、支払上限も120万円と定められています。
そのため、重傷事故や長期通院の場合には十分な補償とは言えないケースもあります。
② 任意保険基準(保険会社独自の基準)
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定している算定基準です。
自賠責基準よりは高くなるものの、弁護士基準と比較すると低い金額になることが多く、実務上は保険会社から提示される金額の多くがこの基準で計算されています。
そのため、提示額をそのまま受け入れると、本来の適正な金額よりも少ない慰謝料で示談してしまう可能性があります。
③ 弁護士基準(裁判所基準)
弁護士基準(裁判所基準)は、過去の裁判例をもとに作られた基準であり、最も高額になるのが特徴です。
例えば、同じ通院3ヶ月のむちうちでも、自賠責基準や任意保険基準と比較して数十万円以上高くなることもあります。
ただ、ひとえに「裁判所基準」といっても、お怪我の程度、地域、実際の通院日数や治療内容等によって金額は大きく変わることがあります。
弁護士に依頼することで、この基準を適切に用いて交渉することが可能となり、慰謝料の増額が期待できます。
| 基準 | 特徴 | 金額水準 |
| 自賠責基準 | 最低限の補償 | 低い |
| 任意保険基準 | 保険会社独自 | やや低い |
| 弁護士基準 | 裁判所の基準 | 最も高い |
⑵ 交通事故慰謝料の実際の金額事例
例えば、東京都内で発生した事故であった(当事者も東京都在住)場合、交通事故によって頚椎捻挫(いわゆるむち打ち症)の怪我を負い、3ヶ月(実際の通院日数は30日)の通院をした被害者の方を想定してみましょう。
裁判所基準(東京地方裁判所基準)で入通院慰謝料を計算しますと、この方の慰謝料の額は53万円になります。
この事故が大阪府内で発生した事故であった(当事者も大阪府在住)場合には、裁判所基準(大阪地方裁判所基準)は、48万円となります。
このように、どの基準で計算されるかによって慰謝料の金額は大きく異なります。
特に保険会社から提示される金額は任意保険基準であることが多いため、適正な慰謝料を受け取るためには基準の違いを理解し、必要に応じて弁護士へ相談することが重要です。
4.交通事故慰謝料は誰が、どのように支払うのか
⑴ 加害者・保険会社・自賠責保険の役割
交通事故の賠償は、本来不法行為等による賠償責任者がその責任を負います。
運転者や車両所有者などがこれに当たります。
もっとも運転者や車両所有者などの個人が多額の賠償責任を負い、支払を完遂することは容易ではありません。
そこで、これら加害者らの賠償責任を代わりに負ってくれる仕組みが損害保険です。
自賠責保険は、強制加入保険です。
もし、加害者らによって支払いがなされないということになると、被害者の被害が補填されないということになりますが、被害者が救済されなければ自動車社会は成り立ちません。
そこで、被害者の救済を目的としつつ、強制加入であるという性質から保険料を低額にし、その分支払われる保険金に上限を設けているというのが自賠責保険です。
自賠責保険では一定程度まで加害者が本来負うべき賠償金を支払ってくれますが、上限を超えた部分は原則に立ち返り加害者らが支払わなければなりません。
その超過部分をカバーするのが任意保険です。
よって、加害者らが、任意保険に加入している場合には、基本的には加害者の加入する任意保険が賠償金の支払いを行い、任意保険に加入していない場合には、まずは自賠責保険が支払い、それでも補填されない損害については加害者本人らがこれを支払うということになるのです。
⑵ 任意保険・自賠責保険での補償範囲・違い
上記のとおり、自賠責保険には補償額の上限があり、傷害部分は120万円までと定められています。
他方で任意保険でのいわゆる対人賠償や対物賠償には上限(限度額)がないことがほとんどです。
⑶ 支払いまでの流れと必要書類・手続き
交通事故による損害には、大きく「人身損害」と「物的損害」がありますが、ここでは主に人身損害について加害者が任意保険に加入している場合を想定してご説明します。
① 治療段階
まずは、怪我をしていますので、治療に通わなければなりません。
治療に行けば当然治療費の支払いを強いられ、この「治療費」が損害となります。
本来的には、被害者の方が病院等で治療費を支払い、支払った治療費を加害者の加入する任意保険に請求するという枠組みなのですが、実務上は、任意保険会社が医療機関に連絡し、医療機関が直接任意保険会社に対して治療費を請求し、支払いが行われます(これを「一括対応」といいます)。
このような仕組みに立っているため、多くの場合は交通事故被害者の方は治療にあたって窓口で治療費を支払う必要がありません。
また治療を余儀なくされている状態では、仕事に従事することができず仕事を休んだことによって給料が減ってしまうなどの損害が生じることがあります。
この場合には、職場に必要な書類を作成してもらうなどして、治療期間中に任意保険会社から休業損害を支払ってもらうことも考えられます。
② 治療終了・症状固定・後遺障害の認定
では、慰謝料はいつ払われるでしょうか。
慰謝料の金額は、既にご説明したとおり、治療期間等によって計算されます。
そのため、治療が終了して初めてその計算が可能になります。
また、後遺障害慰謝料についても、十分に治療をしてもなお症状が一進一退の状態となり残存した場合(これを症状固定と言います)に当該症状が後遺障害として認定されて初めて請求することができるため、治療終了後(後遺障害の認定後)に初めてこれを計算することができます。
③ 最終示談交渉
治療が終了した後(あるいは後遺障害の認定がなされた後)、慰謝料を計算して、任意保険会社に対して、その支払いを求めていきます。
これを(最終)示談交渉などと言います。
慰謝料以外にも、まだ任意保険会社から支払がなされていない交通費や雑費、休業損害等がある場合には、まとめて請求しましょう。
最終的に示談がまとまったら、当該示談に基づき、慰謝料を含めた賠償金(示談金)が支払われます。
5.慰謝料の計算方法と増額・減額のポイント
⑴ 通院日数・入院日数と金額の関係
慰謝料は通院期間や入院日数に強く影響されることがあります。
必要以上に治療を行うことは許されません(交通事故と因果関係のある損害として認められない)が、逆に、ルールを知らないがゆえに治療(通院)を後回しにしてしまい、本来必要な治療を行うことができずに慰謝料についても適正金額に不足してしまうというケースは存外少なくありません。
特に、初診遅れ、通院頻度が極端に少ない、通院期間に長期の空白期間がある場合などには適切な慰謝料を請求することができなくなる場合があるので、注意が必要です。
⑵ 後遺障害・等級認定による慰謝料の違い
後遺障害が何級に該当するかによって、後遺障害慰謝料の金額は大きく変わります。
後遺障害の等級は、自動車損害賠償保障法(いわゆる自賠法)施行令に定められており、当該等級表に該当する症状のみが基本的には後遺障害慰謝料の対象となります。
この後遺障害等級には、1級から14級までがあり、1級が最も重篤な症状であり、等級の数字が大きくなればなるほど症状が軽くなっていきます。
裁判所基準では、1級の後遺障害が認定された場合には2800万円の後遺障害慰謝料が、14級の場合には110万円の後遺障害慰謝料が認められます。
⑶ 慰謝料の増額を目指す交渉方法と注意点
示談金額を「増額」するというのは、基本的には適切な裁判所基準での慰謝料を獲得するということです。
そのためには、まず任意保険会社の提案する慰謝料は、いわゆる任意保険会社基準又は自賠責基準によって計算された金額であり、裁判所基準での計算額に比べて低額となっている可能性があることを認識しておくことが必要です。
また、裁判所基準での入通院慰謝料においても、上記で説明をしたとおり、治療の経過等によって本来請求することができたはずの金額よりも低額になってしまうことがありますので、適切な通院を行うことが重要です。
治療が終わってしまった後でそのことに気が付いても間に合いません。
重要なのは、交通事故の被害に遭った直後にどのような通院方法が適切であるのかを知っておくことであり、できれば弁護士などの専門家の無料法律相談を早い段階で活用して欲しいところです。
さらに、裁判所基準での慰謝料はあくまで目安であり、個別の特別な事情がある場合にはその増額を主張すべき場合があることを知っておくことも重要です。
たとえば、「加害者の飲酒の上での一方的過失による事故であること」、「加害者が事故後被害者を救護せずに現場から逃走したこと」などを特別な事情として指摘し、通常の裁判所基準での慰謝料金額を増額した例(東京地方裁判所八王子支部平成15年4月24日判決)などがあります。
6.慰謝料を増額する3つのポイント
交通事故の慰謝料は、適切な対応を取ることで増額できる可能性があります。
ここでは、実務上特に重要となる3つのポイントを解説します。
① 通院頻度を適切に保つ
慰謝料は通院期間や通院日数に大きく影響されます。
通院頻度が少ない場合、「症状が軽い」と判断され、慰謝料が低い金額に算定されてしまう可能性があります。
そのため、医師の指示に従い、適切な頻度で通院を継続することが重要です。
② 後遺障害認定を適切に受ける
治療を続けても症状が残る場合には、後遺障害等級認定を受けることで慰謝料が大きく増額する可能性があります。
例えば、後遺障害14級が認定されるだけでも、慰謝料は100万円以上となるケースが一般的です。
適切な診断書の作成や申請手続きが重要となるため、専門家のサポートを受けることも検討すべきです。
③ 弁護士に依頼する
保険会社の提示額は任意保険基準であることが多く、弁護士基準と比較すると低い傾向があります。
弁護士に依頼することで、裁判所基準をもとに交渉することが可能となり、多くのケースで慰謝料が大幅に増額します。
また、交渉のストレスや手続きの負担を軽減できる点も大きなメリットです。
これらのポイントを踏まえることで、慰謝料を適正な金額で受け取れる可能性が高まります。
「保険会社の提示額が適正か分からない」、「自分の場合いくら増額できるのか知りたい」という方は、無料相談を利用して早めに確認することをおすすめします。
7.いわゆる軽微物損を理由に早期に治療が打ち切られたケース
交通事故被害に遭われた方が治療を継続しているときに、加害者側の任意保険会社から治療を打ち切る旨を通告されることがあります。
まだ完治をしていないのに、治療を終了しなければならないのかと不安に思われる方は少なくありません。
この点、治療の必要性については極めて専門的な判断を要する事項であり、評価に関する争いとなるため、保険会社の打ち切り自体が違法であるとか、常に間違った対応であるということではありません。
他方で当然被害者としては、治療の必要性があるにもかかわらず、保険会社からの主張に必ず従わなければならないということでもありません。
このような治療期間に関する争いに関し、「軽微物損」を理由とする争いがあります。
これは、車両の物損状況に着目し、軽微な物的損害(例えば修理金額として10万円以下)であることを理由に、衝撃の程度が軽微であり、人体への侵襲の程度も軽微であるから治療を要する期間も短期間である(場合によっては受傷自体を認めない)という主張です。
弊事務所でもこのような保険会社からの主張を受けることもあります。
しかしながら、物的損害の程度(すなわち衝撃の程度)と傷害の程度は必ずしも比例しないという旨の論考があり、「少なくとも現在の工学的問題状況としては、低速度追突事案ではむち打ち症が発症しないという一般的法則性は否定されていると言ってよい」と指摘する文献もあります。
弊事務所では、このような文献の存在を明らかにし、交渉や民事裁判を通じて、任意保険会社が認めなかった通院期間を認めさせたケースが複数あります。
これによって、ご依頼者様の適切な慰謝料を獲得することができました。
8.弁護士に依頼するメリット・費用と増額実績
交通事故に詳しい弁護士が介入することで、裁判所基準を前提とした交渉が可能となり、慰謝料が増額するケースは数多くあり、弊事務所でも多くの増額実績がございます。
一方で、弁護士を依頼する場合には、一般的に弁護士費用がかかります。
そのため、通常は、この増額が見込める金額と弁護士費用とを天秤にかけて経済的なメリットがあるかどうかで弁護士を依頼するかどうかを検討していただくことになります。
この検討のためには、正確な見通しと明確な弁護士費用の説明が不可欠です。
近年はインターネットにより多くの情報がありますが、無料相談を実施している弁護士事務所が多く存在しますので、是非一度直接弁護士事務所の無料相談をお受けになることを強くお勧めします。
また、弁護士費用については、弁護士費用特約を利用できる場合には、多くのケースで自己負担なく依頼できます。
その場合には、慰謝料増額のメリットが特に強く残りますので、より積極的に無料相談や弁護士への依頼を検討するのが良いでしょう。
ここまでお読みいただき、「保険会社の提示額は適正なのか」、「自分はいくらもらえるのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
交通事故の慰謝料は、通院状況や後遺障害の有無、過失割合などによって大きく異なり、適切な対応を取るかどうかで数十万円以上の差が生じることもあります。
特に、保険会社の提示額は任意保険基準であることが多く、本来受け取れる金額よりも低いケースが少なくありません。
そのため、適正な慰謝料を受け取るためには、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することが重要です。
無料相談を利用することで、ご自身のケースにおける慰謝料の目安や増額の可能性を具体的に確認することができます。
9.まとめ
交通事故の慰謝料は、正しい知識と適切な対応によって大きく変わります。
優誠法律事務所では、交通事故被害者の方の立場に寄り添い、慰謝料・賠償金の適正な解決を目指しています。初回相談は無料で、電話やメールによるご相談にも対応しています。
保険会社の提示額に少しでも疑問を感じた方、今後の通院や示談に不安がある方は、優誠法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
納得できる解決への第一歩を、私たちがサポートします。
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投稿者プロフィール

これまで、交通事故・離婚・相続・労働などの民事事件を数多く手がけてきました。今までの経験をご紹介しつつ、皆様がお困りになることが多い法律問題について、少しでも分かりやすくお伝えしていきます。
■経歴
2009年03月 法政大学法学部法律学科 卒業
2011年03月 中央大学法科大学院 修了
2011年09月 司法試験合格
2012年12月 最高裁判所司法研修所(千葉地方裁判所所属) 修了
2012年12月 ベリーベスト法律事務所 入所
2020年06月 独立して都内に事務所を開設
2021年3月 優誠法律事務所設立
2025年04月 他事務所への出向を経て優誠法律事務所に復帰
■著書
こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
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進路変更事故の過失割合とは?車線変更事故の基本割合と裁判でのケース別判断ポイントを弁護士が解説
「直進していただけなのに、急に割り込まれて衝突した」
「ウインカーも出さずに車線変更されたのに、自分にも過失があると言われた」
交通事故の中でも、進路変更(車線変更)に伴う事故は非常に多く、かつ当事者間での認識のズレが生じやすい類型です。
被害者であっても、「前方不注視」などを理由に思わぬ過失割合を提示されるケースが後を絶ちません。
本記事では、進路変更の過失割合についての判断基準と、有利な解決(0:100や慰謝料増額)を勝ち取るためのポイントを詳しく解説します。
進路変更による交通事故は、多くが車線変更時の安全確認不足やウインカーの遅れなどが原因となって発生しています。
特に、直進車と進路変更車両が接触する事故では、双方に過失が認められるケースが多く、保険会社から提示される過失割合に納得できないという相談も少なくありません。
本記事では、二輪車や自動車の交通事故における進路変更の過失割合について、弁護士が実務上の判断基準や修正要素をわかりやすく解説します。
進路変更事故の過失割合について、基本割合やケース別の判断基準を理解しておくことは、交通事故の示談交渉や損害賠償請求を進めるうえでも非常に重要です。
1 判例で分かる「進路変更 過失割合」の基本と本記事の読みどころ
⑴ 進路変更と車線変更の違い:用語と事故類型の整理
「進路変更」には、同一方向に進行しながら隣の車線に移る「車線変更」が含まれますが、同一車線内において左右に進行方向を変えることも「進路変更」に含まれます。
道路交通法第26条の2では、みだりにその進路を変更してはならないとされ、後続車両の速度や方向を急変させる恐れがあるときの進路変更は禁止されています。
⑵ 過失割合の基本ルールと裁判で重視されるポイント
実務上、後続直進車(A)と進路変更車(B)の事故における基本過失割合は「A 30:B 70」です(別冊判例タイムズ153図)。

「ぶつけられた側」である直進車にも30%もの過失がつく理由は、運転者には「前方や周囲の状況を注視し、危険を回避する義務」があるからです。
しかし、これはあくまで基本過失割合です。
以下の要素によっては、修正要素が認められることにより、過失割合が変動することになります。
例えば、後方から接近していた後続車両との距離が近い状態で車線変更を行った場合や、後方確認を十分に行わずに進路変更した場合には、進路変更車両の過失が重く評価される可能性があります。
逆に、直進車が速度超過で走行していた場合や、安全運転義務を怠っていた場合には、直進車側の過失割合が修正されるケースもあります。
・合図(ウインカー)の有無とタイミング
・車線変更禁止場所(イエローカット等)かどうか
・初心者マークや高齢者マークの有無
・双方車両の速度超過の程度
⑶ この記事で解決する疑問(判例から学ぶ具体的判断基準)
「どうすればこちらの過失をゼロ(0:100)にできるのか?」
「保険会社の提示額は適正なのか?」
本記事では、抽象的な法律論だけでなく、ドライブレコーダーの活用法や弁護士介入による増額事例など、実務に即した解決策を提示します。
2 車線変更事故で過失0にするには?~判例と実務の要件
⑴ 車線変更事故で過失0:100にするには?(判例で認められる条件)
基本過失割合が「後続直進車30:進路変更車70」である以上、直進車の過失を0にするには、強力な立証が必要です。
判例で後続直進車の過失0が認められる可能性が出てくるのは、以下のようなケースです。
①至近距離への割り込み:直進車の目と鼻の先に急に割り込まれ、ブレーキを踏む間もなく衝突した場合(回避可能性がない)。
②合図なしの急ハンドル:ウインカーを出さず、あるいは出した瞬間に車線変更を開始した場合。
③進路変更禁止場所での強行:黄色い実線の区間等、進路変更禁止場所での車線変更。
④後方から車線変更:隣の車線の前方を走行していた他の車両を追い抜いた直後に車線変更した場合。
⑵ 車線変更事故で過失0にするには(真横・側面衝突の特殊ケース)
通常、車線変更事故は「変更車の後部」と「直進車の前部」が接触することが多いですが、「真横同士」が接触するケースでは,直進車の過失0の主張が認められる可能性が出てきます。
論理構成:直進車から見て、相手が側面から突っ込んできた場合、「前方を注視していても防ぎようがない(被追突に近い状況)」といえます。
証拠の重要性:ドライブレコーダー映像が一番良いですが、双方車両の損傷部位や刑事記録等からも、内容によっては相手が並走状態から幅寄せしてきたことの証明になり得ます。
⑶ 後ろから/追突と進路変更の区別
「追突(0:100)」なのか「進路変更(30:70)」なのかも、賠償額を左右する大きな分岐点です。
追突と進路変更の区別については、次のとおり整理できるものと思われます。
進路変更事故:車線変更動作の「最中」または変更直後に衝突。
追突事故:車線変更が完全に「終了」し、前走車として安定走行に入った後に衝突。
3 弊所における解決事例~進路変更の過失割合
⑴ 並走状態からの車線変更により発生した事故について0:100で示談解決
本件事故は、依頼者運転の当方車両が片側2車線直線道路の第1車線を直進走行していたところ、第2車線を直進走行していた相手車両が、当方車両とほぼ並走状態になった際に第1車線への車線変更を開始し、既にほぼ真横にいた当方車両に衝突したもの。
裁判例やドライブレコーダー映像を示しながら主張を行い、依頼者の過失が0%であることを前提とした示談を実現しました。
⑵ ドライブレコーダー映像がないにもかかわらず10: 90で訴訟解決
本件事故は、依頼者運転の当方車両が第2車線を直進走行していたところ、第3車線で渋滞のため停止していた相手車両が、当方車両とほぼ横並びで相当接近した状態で、突如第2車線に向けて車線変更を開始し、ほぼ真横にいた当方車両に衝突したもの。
もっとも、本件についてはドライブレコーダー映像がなかったことから、事実関係(事故状況)自体も主張が食い違い、争点となっていました。
実際、相手方からは、「余裕をもって車線変更したものの、直進車が猛スピードで進行していたから衝突した」旨の主張が展開されていました。
この後にも触れますが、ドライブレコーダー映像がない場合、そもそもの事故状況について水掛け論になってしまうケースは多いです。
そのような状況ではありましたが、双方車両の損傷状況、物件事故報告書及び裁判例等を示しながら懸命に主張・立証を行い、裁判所から当方寄りの心証を得ることができました。
その結果、ドライブレコーダー映像がないケースであったにもかかわらず、依頼者の過失が10%であることを前提とした訴訟による解決を実現しました。
⑶ 事前に合図を出していたにもかかわらず10:90で示談解決
本件事故は、依頼者運転の当方車両が第2車線を直進走行していたところ、当方車両の左前方で第1車線を直進走行していた相手車両が、合図を出した上で2車線への車線変更を開始し、当方車両に衝突したもの。
相手車両は合図を出していましたが、タイミングが遅く不十分なものでした。進路変更する場合は3秒前から合図をしなければなりません(道路交通法施行令第21条1項)。
そのため、たとえ合図を出していたとしても、これは修正要素である「合図なし」に該当するため、依頼者に20%の減算修正がなされるべきであるとの主張を展開しました。
その結果、当方主張が全面的に認められ、相手車両は合図を出していたにもかかわらず、依頼者の過失が10%であることを前提とした示談による解決を実現しました。
4 裁判で争点になりやすい要素と証拠の集め方
⑴ ウインカー・合図の有無と安全確認の記録(ドライブレコーダー映像の活用)
「ウインカーを出した・出していない」は水掛け論となる典型です。
これを決定的に解決するのがドライブレコーダー映像です。
映像の解析:相手の車両が線を超える何秒前にウインカーが点滅したか。
音声記録:事故直後の車内の会話や、相手との立ち話(「すいません、見てませんでした」等の発言)も重要な証拠になります。
⑵ 速度・並走・ゼブラゾーンなど道路状況が与える影響
裁判では、現場の道路状況も細かく分析されます。
ゼブラゾーン(導流帯):車両の運転者等の意識としても、ゼブラゾーンにみだりに進入すべきではないと考えているのが一般的であるため、事故当時、直進車がゼブラゾーンを進行していた場合は、修正要素として、直進車側に10〜20%の過失が加算される可能性があります。
速度超過:直進車が制限速度を15km以上超過していた場合、修正要素として、直進車側に10〜20%の過失が加算される可能性があります。
また、交差点付近や駐車場の出入口付近では、車線変更や進路変更による事故が発生しやすくなります。
こうした場所では車両や自転車などさまざまな交通主体が混在するため、通常よりも高い注意義務が求められます。
⑶ 目撃証言・車両の接触痕跡・修理見積など裁判で有効な証拠
ドライブレコーダー映像がない場合、以下の「物的証拠」が頼りになります。
車両の損傷部位:双方車両のどの部分が損傷しているかによって、衝突時の進入角度を割り出し得ます。
実況見分調書:警察が作成する書類。事故現場の図面とともに、事故状況に関する当事者の認識が記録されています。
修理見積書・写真:衝撃の強さを証明し、速度超過の推認に役立ちます。
5 保険交渉・示談での過失割合の変動と賠償金の取り扱い
⑴ 保険会社の主張パターンと示談で注意すべき点
保険会社は、『判例タイムズ』の「基本割合(30:70)」を機械的に適用してくる傾向にあります。
「今回のケースは基本通りですから」と言われても、すぐに示談書にサインしない方がいいかもしれません。修正要素が見落とされている可能性があるためです。
⑵ 弁護士に依頼すると過失割合や賠償金はどう変わるか(無料相談・弁護士費用特約)
弁護士が介入すると、以下の2点で金額が変わる可能性があります。
①過失割合の適正化:見落とされた修正要素等があった場合、これらの要素を過失割合に反映するよう主張します。
②賠償基準の変更:事故で怪我をされていた場合、保険会社基準ではなく、裁判所基準(弁護士基準)で慰謝料等を計算します。
これにより、賠償額が2倍〜3倍になることも珍しくありません。
※ご自身の保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、実質負担0円での依頼が可能です。
⑶ 示談で納得できないときの対応
交渉が決裂した場合、以下の手続を検討することになります。
交通事故紛争処理センター(ADR):第三者機関による斡旋。
訴訟(裁判):裁判所における終局的な解決手続。
6 過失割合を争うための実務対応チェックリスト
⑴ ドライブレコーダー保存・証拠収集の具体的手順
ドラレコのSDカードを抜く: 事故後そのまま走行すると、データが上書きされる恐れがあります。すぐにバックアップを取りましょう。
現場写真の撮影:道路の状況、停止位置、破片の散らばり方等を撮影。
⑵ 過失割合の修正主張に有利なポイントと裁判での立証方法
「相手が後方や真横から車線変更してきた」
「相手がウインカーを出さなかった(出していたとしてもタイミングが遅すぎた)」
といった相手方の動きや、事故現場が進路変更禁止場所であったことを、ドライブレコーダー映像や現場写真等で立証することが重要です。
⑶ 弁護士法人・法律事務所の選び方と費用(受付/相談の流れ)
交通事故に特化しているか:交通事故の解決には、法的知識はもちろんですが、医学的知識(後遺障害)や保険の知識も必要な場合が多いです。
HPなどで、どの程度交通事故案件の実績があるかはチェックして相談する弁護士を決めた方が良いでしょう。
弁護士特約での対応が可能か:弁護士特約が利用できる場合には、弁護士費用のご負担は実質ゼロになります。
無料相談の活用:まずは「この状況で過失割合はどうなるか」を問い合わせてみましょう。
7 Q&A:よくあるパターン別の目安と予防策
⑴ 車線変更でよく出る過失割合パターン一覧
| 事故状況 | 基本過失割合(直進車:変更車) | 備考 |
| 通常の車線変更 | 30:70 | 基本形。直進車にも前方注視義務あり。 |
| 直進車がゼブラゾーンを走行 | 40〜50:60〜50 | 直進車の過失が加算される。 |
| 進路変更禁止場所での車線変更 | 10:90 | 進路変更禁止場所での車線変更は変更車の過失大。 |
⑵ 高速道路・駐停車それぞれの注意点
高速道路での進路変更は速度域が高いため、一瞬の判断ミスが重大な事故に繋がります。
特に首都高は、左側だけでなく右側にも出口や合流が多数ある上、JCT(ジャンクション)も多いことから、特に慎重な運転が必要です。
駐停車車両の回避するための車線変更についても、安易に直進車が譲ってくれると思わずに、余裕をもって車線変更しましょう。
⑶ 日常でできる予防策と万一の対応手順
ウインカーは3秒前:周囲に意思を伝える時間を確保する。
死角チェック(目視):ミラーに映らない斜め後方を必ず目視確認する。
「かもしれない運転」:隣の車が急に入ってくるかもしれないと予測して構える。
交通事故の過失割合は、事故状況や道路環境、双方の運転行動など複数の要素を総合的に判断して決定されます。
そのため、保険会社から提示された過失割合が必ずしも適正とは限りません。
示談交渉や損害賠償請求を進める際には、交通事故に詳しい弁護士へ相談することで、過失割合の修正や賠償額の増額が認められる可能性があります。
8 過失割合・示談金に納得がいかない場合は弁護士にご相談を
進路変更事故は、少しの事実認定の違いで、過失割合が「30:70」にも「0:100」にもなり得るデリケートな案件です。
保険会社の提示する割合や示談金は、あくまで彼らの基準であり、法的に絶対正しい「最終回答」ではありません。
弊所では、交通事故の被害者救済に力を入れており、初回相談は無料で承っております。
弊所は、多くの保険会社の弁護士特約に対応していますので、弁護士特約が利用できる場合には、弁護士費用のご負担はありません。
まずはお手元の事故資料やドライブレコーダーの映像をご準備の上、お気軽にお問い合わせください。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
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交通事故被害者の慰謝料はいくらもらえる?相場・減額理由・増額のポイントを弁護士が解説
交通事故の被害者が受け取れる慰謝料の金額は、ケガの程度や後遺障害の有無、事故状況によって大きく異なります。
目安としては、軽傷(むちうち・打撲など)の場合で数十万円程度、後遺障害が残ったケースでは100万円〜数百万円、死亡事故では3000万円以上になるケースも実際にあります。
ただし、注意すべきなのは、保険会社から最初に提示される慰謝料の金額は、本来被害者がもらえるはずの適正な金額よりも少ない水準であることが非常に多い点です。
「提示された金額は妥当なのか」、「本当はいくらもらえるのか」と疑問に感じた場合は、慰謝料の基準や算定方法を正しく知ることが重要です。
この記事では、被害者やそのご家族が知っておくべき「慰謝料の基準」や「増額のポイント」を、具体的な金額や計算例を交えて解説します。
1.交通事故被害者が知っておくべき慰謝料の全基礎知識
まずは、交通事故の損害賠償における基本的な用語と仕組みを整理しましょう。
これらを知り、正しい知識を持つことが解決への第一歩です。
⑴ 交通事故で発生する損害と慰謝料とは?
交通事故で相手(加害者)に請求できるお金(損害賠償金)は、大きく分けて「3つ」の項目で構成されます。
①積極損害: 治療費・入院費・通院交通費など、交通事故によって被害者が実際に支払わなければいけなくなった費用。
②消極損害:怪我で仕事を休んだために減った収入(休業損害)や、後遺障害が残ったため将来得られたはずだったのに得られなくなった収入(後遺障害逸失利益)など、交通事故がなければ得られたはずの利益。
③慰謝料: 傷害慰謝料・後遺傷害慰謝料・死亡慰謝料など、精神的苦痛に対する賠償金。
このように、「慰謝料」はあくまで損害賠償の一部です。
しかし、この慰謝料の計算方法こそが、最終的に受け取る金額を大きく左右します。
⑵ 精神的苦痛に対する慰謝料の意味と重要性
交通事故で傷害を負った場合、恐怖や治療の痛みといった「目に見えない心の傷」については、金銭評価した上で償われることになります。
被害者本人はもちろん、死亡事故や重傷事案(要介護など)では、配偶者や子供など「家族(遺族)」固有の慰謝料が認められる場合もあります。
⑶ 慰謝料がもらえる主なケースと種類
慰謝料は主に以下の3種類に分類されます。
それぞれの状況によって請求できるものが異なります。
①入通院慰謝料(傷害慰謝料):交通事故の治療のために必要となった入院・通院による精神的苦痛に対する慰謝料。
②後遺障害慰謝料:交通事故の症状が完治せず、後遺障害が残ってしまったことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料。
③死亡慰謝料:被害者が亡くなったことによる被害者本人および遺族の精神的苦痛に対する慰謝料。
2.慰謝料の計算方法と相場を徹底解説
慰謝料の金額は、「誰が」「どの基準で」計算するかによって数倍以上の違いが出ることがあります。
⑴ 交通事故慰謝料の基準と算定方法の違い(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)
算定には3つの基準があります。低い順に並べると以下の通りです。
①自賠責基準(最低限):自賠責保険の支払基準。最低限の補償を目的としており、金額は最も低いです。
②任意保険基準(内部基準): 各保険会社が独自に定める基準。自賠責より少し高い程度です。
➂弁護士基準(裁判基準): 過去の裁判例に基づく基準。本来被害者が受け取るべき適正額であり、最も高額になります。
保険会社は営利企業であることもあってか、「自賠責基準」や「任意保険基準」の低い金額を提示してくることが大半です。
⑵ 通院日数・症状別にみる入通院慰謝料の計算例
入通院慰謝料は、原則として「入院期間」と「通院期間」の長さで決まります。
例えば、自賠責基準では「日額4300円×対象日数」といった計算が用いられますが、弁護士基準では「赤い本」などの表を用い、重傷(骨折など)か軽傷(むちうち・打撲など)かで金額が異なります。
以下は、赤い本基準で計算した一例です。
・むちうち(他覚所見なし): 通院3ヶ月で約53万円(弁護士基準)
・骨折(重傷): 入院1ヶ月・通院6ヶ月で約149万円(弁護士基準)
⑶ 後遺障害等級ごとの慰謝料はいくら?【基準別金額一覧】
後遺障害が認定されると、等級に応じて「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を受け取ることができます。
ただし、同じ等級であっても、どの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)で計算されるかによって、実際にもらえる金額には大きな差が生じます。
特に1級・2級・3級といった重い後遺障害では、数百万円〜数千万円単位で差が出ることも珍しくありません。
以下、等級ごとの相場(目安)を紹介します。
| 等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
| 1級 | 1150万円 | 2800万円 |
| 2級 | 998万円 | 2370万円 |
| 3級 | 861万円 | 1990万円 |
| 4級 | 737万円 | 1670万円 |
| 5級 | 618万円 | 1400万円 |
| 6級 | 512万円 | 1180万円 |
| 7級 | 419万円 | 1000万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 9級 | 249万円 | 690万円 |
| 10級 | 190万円 | 550万円 |
| 11級 | 136万円 | 420万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
このように、後遺障害等級が同じであっても、保険会社の提示額(自賠責基準・任意保険基準)だけで示談を進めてしまうと、本来もらえるはずの慰謝料よりも少ない金額で解決してしまう可能性があります。
特に、後遺障害14級や12級といったケースでは、「この程度なら大した金額にならない」と説明されることもありますが、弁護士基準で計算すれば金額が大きく変わるのが実情です。
このように、後遺障害等級が認定されるかどうか、またどの基準で計算されるかによって、被害者が受け取れる慰謝料の金額は大きく異なります。
しかし、実務上は、「等級が認定されているのに思ったより金額が少ない」「明らかに被害者なのに減額されている」と感じるケースも少なくありません。
⑷ 交通事故の被害者でも慰謝料が減額される3つの理由
「自分は明らかに被害者なのに、なぜ慰謝料が減額されるのか」「保険会社の説明にどうしても納得できない」
交通事故の被害者から、このような悩みや疑問が寄せられることは少なくありません。
実は、被害者であっても、一定の事情があると慰謝料や損害賠償金が減額されるケースがあります。
ここでは、交通事故の実務で特に多い「被害者でも慰謝料が減額される3つの理由」と、それぞれの対処方法について解説します。
① 過失割合が認められた場合(過失相殺)
交通事故では、被害者であっても事故の発生に一定の過失があると判断されると、その割合に応じて慰謝料や賠償金が減額されます。
例えば、被害者の過失割合が20%とされた場合、本来100万円もらえるはずだった慰謝料は、80万円に減額されてしまいます。
保険会社は、「被害者にも前方不注意があった」「回避行動が不十分だった」などと主張して、過失割合を大きく見積もることがあります。
【対処ポイント】
過失割合は、保険会社の言い分がそのまま通るわけではありません。
事故状況、ドライブレコーダー映像、実況見分調書などをもとに、被害者側から適切に反論・主張することが重要です。
② 通院頻度が少ない場合など
通院期間が短い、通院頻度が極端に少ないといった場合、保険会社から「精神的苦痛は軽い」として慰謝料を減額されることがあります。
整骨院への通院が中心で、整形外科の受診が少ないケースでは、慰謝料が低く算定されていることもあります。
【対処ポイント】
医師の指示に従った通院の記録を残すことが重要です。
骨折などでは、経過観察となって通院回数が少なくなることもありますが、自己判断で通院を中断せず、医師の指示に従って通院し、症状についてもしっかり記録してもらうことで、治療の必要性を医学的に説明できる状態を作りましょう。
③ 既往症がある場合(素因減額)
例えば、既往症として変形性頸椎症・変形性腰椎症やヘルニアなどがある場合、これらの症状が「身体的素因」と判断されて、慰謝料やその他の賠償金を減額されることがあります。
これは、交通事故によって、首や腰の痛み(むち打ちなど)が生じていても、既往症によるところが大きいのであれば、その分を減額するべきとの考え方で、「素因減額」と言われます。
【対処ポイント】
保険会社が主張してきたからといって、必ずしも減額が認められる訳ではありません。
裁判例では、以下のような基準が重視されていますので、これらの点を基に反論する必要があります。
・「疾患」といえるレベルか: 単なる「首が長い」「平均より太っている」「加齢相応の変化」などは、個体差(身体的特徴)の範囲内とされ、減額されないことが多いです。
・事故前の自覚症状:事故前にその部位で通院していなかった、症状が出ていなかったという事実は、反論材料になります。
このように、慰謝料が減額されるかどうかは、単に「被害者かどうか」だけで決まるものではありません。
保険会社の提示内容をそのまま受け入れてしまうと、本来受け取れるはずの慰謝料よりも低い金額で示談が成立してしまう可能性があります。
減額理由や主張の妥当性を一つずつ確認し、必要に応じて適切に対処することが重要です。
⑸ 交通事故慰謝料はいくらもらった?【軽傷・重傷の実際の解決事例】
以下、当事務所弁護士が解決した事例を紹介いたします。
※これらは、「慰謝料」のみの実績であり、示談金総額(治療費・休業損害・逸失利益等を含む)はさらに高額になります。
事例1(むちうち・14級): 保険会社提示額 約100万円(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料) → 弁護士介入後 約190万円で解決(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)。
事例2(骨折・12級): 保険会社提示額 約240万円(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料) → 弁護士介入後 約390万円で解決(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)。
事例3(頸髄損傷・7級):保険会社提示前に弁護士介入 約1050万円(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)
事例4(死亡・一家の支柱以外):保険会社提示前に弁護士介入 約2800万円(傷害慰謝料+死亡慰謝料)
3.交通事故慰謝料はいつもらえる?支払いまでの期間と流れ
交通事故の慰謝料について、「結局、いつになったらお金を受け取れるのか」「支払いまでにどのくらいの期間がかかるのか」と不安に感じる被害者の方は多いのではないでしょうか。
慰謝料が支払われる時期は、怪我の内容や後遺障害の有無、示談の進め方によって異なります。
ここでは、交通事故慰謝料を受け取れるまでの一般的な期間と流れを解説します。
慰謝料が支払われるまでの一般的な流れ
交通事故慰謝料の支払いは、原則として次の流れで進みます。
① 治療の終了(症状固定)
怪我の治療が終了し、これ以上の回復が見込めない状態になると「症状固定」と判断されます。
② 後遺障害等級の申請(必要な場合)
後遺症が残った場合は、自賠責保険に対して後遺障害等級の申請を行います。
申請から結果が出るまでには、通常1〜3ヶ月程度かかります。
③ 示談交渉
損害額を算定したうえで、加害者側保険会社と示談交渉を行います。
④ 示談成立・支払い
示談が成立すると、通常は遅くとも30日以内に慰謝料が支払われるケースが多いです。
ケース別|慰謝料を受け取れるまでの期間の目安
慰謝料を受け取れるまでの期間は、事故の内容によって異なります。
・軽傷で後遺障害が残らない場合
治療終了後すぐに示談交渉が始まり、事故から3〜6ヶ月程度で慰謝料を受け取れることが一般的です。
・後遺障害が残った場合
等級認定に時間がかかるため、事故から6ヶ月〜1年程度かかることがあります。
・死亡事故の場合
相続関係の整理や損害額の確定が必要となるため、1年以上かかるケースもあります。
なお、示談交渉が長引いたり、過失割合や後遺障害等級について争いが生じた場合には、慰謝料の支払いまでに想定以上の期間がかかることもあります。
4.交通事故慰謝料を受け取るための具体的な手続きと注意点
⑴ 請求できるのは誰?被害者・家族の場合のポイント
原則は被害者本人です。
ただし、死亡事故の場合は遺族(相続人)が請求します。
死亡慰謝料の基準(自賠責)では、死亡した被害者本人の慰謝料は400万円ですが、弁護士基準であれば一家の支柱で2800万円、その他の方でも2000万円~2500万円程度が相場となります。
⑵ 交通事故慰謝料を受け取るための具体的な手続きと注意点
前章で解説した「支払いまでの期間」を踏まえ、ここでは、実際に交通事故慰謝料を受け取るために被害者が行うべき具体的な手続きと注意点を解説します。
①治療終了(症状固定):医師が「これ以上良くならない」と診断する時期。
②後遺障害等級の申請:自賠責保険会社に対して申請。
➂後遺障害等級の結果:自賠責保険会社から認定結果が通知されます。申請してから2ヶ月程度かかることが多いです。
④示談交渉開始:損害額について計算の上、加害者側保険会社と交渉。
⑤示談成立・入金:合意してから2~3週間程度で支払われる。
なお、手続きの進め方を誤ると、本来受け取れるはずの慰謝料が減額されたり、支払いまでに余計な時間がかかることもあります。
⑶ 示談・裁判など手続き別の特徴と注意点
示談交渉で話がまとまらない場合、「交通事故紛争処理センター」の利用や「裁判」への移行を検討します。
裁判は時間がかかりますが(半年〜1年以上)、認められれば遅延損害金や弁護士費用の一部も加算され、結果として受ける金額が最も高くなる可能性があります。
⑷ 必要な書類・認定・等級の取得方法
適正な等級(1級〜14級)を獲得するには、「後遺障害診断書」の内容が極めて重要です。
医師任せにせず、弁護士のアドバイスを受けて作成することをおすすめします。
MRI画像の所見や、自覚症状の一貫性が認定のカギとなります。
5.慰謝料を最大化するための具体的な方法と増額交渉のコツ
⑴ 保険会社と交渉する際のポイント・注意点
被害者本人が交渉を試みた際,保険会社の担当者から「これが上限です」「相場です」と言われたとしても、それはあくまで「自賠責や任意保険の基準」での話である可能性が高いです。
「弁護士基準で計算してください」と個人で伝えても、なかなか認めてもらえません。
専門家である弁護士が代理人として交渉することで、初めて対等な話し合いが可能になります。
⑵ 弁護士に依頼するメリットと費用
弁護士に依頼する最大のメリットは、「慰謝料の増額」と「精神的負担の軽減」です。
費用については、ご自身の自動車保険などに「弁護士費用特約」が付帯していれば、相談料や着手金など最大300万円まで保険会社が負担してくれるため、実質無料で依頼できるケースが多いです。
特約がない場合でも、「着手金無料」「完全成功報酬制」を採用している法律事務所であれば、初期費用なしで依頼できます。
精神的負担の軽減については、相手方保険会社と直接やり取りをする必要がなくなるという点が挙げられます。
⑶ 示談金が提示され減額されるパターンと対処法
過失相殺:例えば「被害者にも20%の過失がある」として、賠償金全体から20%減額するとの主張をされることがあります。この主張に納得できない場合、信号の色や一時停止の有無など、事故状況の証拠(ドライブレコーダー等)をもとに反論していきます。
素因減額:もともとの持病(ヘルニア等)が原因で痛みが長引いたとして,減額を主張されることがあります。この主張に納得できない場合,診断書やカルテ等をもとに,持病は加齢に伴う通常の変性の範囲内であること等を反論していきます。
⑷ 後遺障害等級認定を活用した増額の方法
後遺障害が残った場合、等級認定を受けることで「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」が新たに請求できます。
例えば「14級」が認定されるだけで、請求金額に後遺障害慰謝料110万円+逸失利益を上乗せできるため、後遺障害等級認定の申請も視野に入れた方が良いでしょう。
6.交通事故慰謝料に関するよくある悩み&Q&A
- 被害者なのに、慰謝料が思ったより少ないのはなぜですか?
「通院日数が少ない」「整骨院ばかりで整形外科に行っていない」などの理由で減額されることがあります。
医師の指示に従い、適切な頻度で病院へ通うことが、治療費や慰謝料をしっかり受け取るための条件です。
- 治療中に保険会社から「そろそろ治療を終えてください」と言われたらどうすればいいですか?
「治療費の打ち切り」を通告された場合でも、医師が必要性を認めれば、保険会社が治療費の支払いを延長してくれることもあります。
また、健康保険を利用して通院を継続し、後から請求することもあります。
- 相手の保険以外にも、交通事故でもらえるお金はありますか?
加害者の保険だけでなく、被害者自身が加入している「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」も確認しましょう。
これらは過失割合に関係なく保険金が支払われることが多く、慰謝料とは別に受け取れる可能性があります。
- 保険会社から示談金を提示されましたが、すぐにサインしても大丈夫ですか?
原則として、保険会社から示談金を提示された場合でも、すぐにサインすることはおすすめできません。
一度示談が成立すると、その後に「金額が低かった」「計算方法に誤りがあった」と気づいても、原則として内容を変更することはできなくなります。
保険会社の提示額は、自賠責基準や任意保険基準といった被害者にとって低い基準で算定されていることが多く、本来受け取れるはずの「弁護士基準」の金額より少ないケースが少なくありません。
示談金の金額や内訳に少しでも疑問がある場合は、サインをする前に、交通事故に詳しい弁護士へ相談することで、増額の可能性や適正額を確認することができます。
7.まとめ|交通事故被害者が納得できる慰謝料を受け取るために
交通事故の慰謝料で損をしないためには、以下の3つが鉄則です。
①保険会社の提示額(自賠責・任意基準)を鵜呑みにしない。
②本来受け取れる「弁護士基準」の金額を知る。
③適正な等級認定と示談交渉のために、専門家である弁護士に相談する。
弁護士法人優誠法律事務所では、交通事故被害者の方からのご相談をお問い合わせフォームや電話で受付中です。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)

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進路変更事故の過失割合は本当に30:70?直進車が0になるケースと修正要素を弁護士が解説
今回のテーマは、「進路変更事故の過失割合」です。
進路変更事故の過失割合はなぜ「30:70」と言われるのか?
その根拠となる「判例タイムズ153図」を弁護士が徹底解説しつつ、直進車の過失が0になるケースや、ウインカーなし等の修正要素を具体例とともにご紹介します。
1.はじめに
進路変更(車線変更)事故の過失割合は、「30:70」と言われることが多いですが、すべてのケースで当てはまるわけではありません。
✔ 直進車の過失0になるケース
✔ 車線変更のタイミング次第で過失割合が修正されるケース
✔ 保険会社の説明が必ずしも正しいとは限らないケース
進路変更事故の過失割合は、事故の状況次第で大きく変わります。
本記事では、直進車と進路変更車との間で発生する交通事故について、
・進路変更事故の基本的な過失割合
・30:70が前提とする事故状況
・過失割合が修正される具体例
・保険会社との交渉で注意すべきポイント
・弁護士が介入すべき判断基準
を、交通事故実務の視点からわかりやすく解説します。
実際に、進路変更事故に遭った方の多くが、保険会社から「直進車が3割、進路変更した側が7割です」と説明を受け、「3割もこちらが悪いのだろうか?」と疑問を感じながらも、保険会社が言うなら「進路変更事故はそういうものなのだろう」とそのまま受け入れてしまっています。
しかし、交通事故実務の視点から見ると、進路変更事故だからといって一律に30:70と判断されるわけではありません。
進路変更事故における過失割合の考え方を正しく理解するためには、まず、なぜ「30:70」と言われることが多いのか、その根拠と前提となる事故状況を知る必要があります。
次では、進路変更事故の過失割合の根拠として、実務上参照されている「判例タイムズ」と基本過失割合について詳しく解説します。
2.進路変更事故の過失割合
進路変更事故における過失割合は、一般的には「後続直進車30%・進路変更車70%」とされることが多いです。
これは、進路変更を行う車両には、後方を十分に確認し、安全に進路変更を行う注意義務があるためです。
もっとも、この「30:70」はすべての進路変更事故に当てはまるものではなく、事故の状況によって過失割合が修正されるケースも少なくありません。
特に、以下のような場合には、直進車の過失が軽減されたり、過失なし(0%)と判断される可能性があります。
・進路変更車がウインカー(合図)を出さずに進路変更した場合
・進路変更車が直進車の真横や後方から、急に車線変更してきた場合
・進路変更車がゼブラゾーンをまたいで進入してきた場合
・交差点付近で無理な進路変更が行われた場合
・駐車場内での進路変更・接触事故の場合
なぜ進路変更事故で「30:70」と言われるのか、また、どのような事故状況を前提としているのかについて、次章で詳しく解説します。
3.なぜ「30:70」と言われるのか-判例タイムズと基本過失割合-
進路変更事故の基本的な過失割合は、道路交通法上の「進路変更時の安全確認義務」を前提に判断されます。
特に、
・ウインカー(合図)の有無
・進路変更開始時の位置関係や確認状況
・進路変更時の速度差
といった要素が、過失割合を左右します。
進路変更事故における30:70という過失割合の根拠として実務上参照されているのが、別冊判例タイムズ38号(以下「判例タイムズ」といいます。)という雑誌に掲載されている「153図」です。
判例タイムズは、日本国内で年間30万件を超える交通事故が発生している実情等を鑑み、これまでの交通事故過失割合に関する考え方を集積し、早期の解決・早期の被害者保護のために事故状況をデフォルメし、類型化したうえで、あらかじめ類型ごとの基本的な過失割合等を定めているものです。
裁判官や弁護士等の専門家も多くの場合、この判例タイムズを参考にして過失割合を議論・認定しています。
さて、判例タイムズ153図は、「車線変更車と後続直進車との事故」を類型化したもので、進路変更車70%、後続直進車30%という基本過失割合が示されています。

※基本過失割合(後続直進車Ⓐ30%:進路変更車Ⓑ70%)
保険会社が進路変更事故について「30:70です」と説明する場合、その多くは、この判例タイムズ153図を前提としています。
もっとも、判例タイムズは結論を自動的に導くものではありません。重要なのは、「153図」がどのような事故状況を前提としているのかを正確に理解することです。
4.判例タイムズ153図が前提としている進路変更事故の状況
判例タイムズ153図は、進路変更車70%、後続直進車30%という基本過失割合を示しています。
この点、「なぜ後続直進車に30%も過失があるのか」と疑問に思われる方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、まず、判例タイムズ153図が前提としている事故状況及び後続直進車の基本過失の内容について解説します。
この点、判例タイムズは、153図について、「あらかじめ前方にある車両が適法に進路変更を行ったが、後方から直進してきた他の車両の進路と重なり、両車両が接触したという通常の態様の事故を想定している」と明確に記載しています。
ポイントとなるのは、その位置関係です。
すなわち、判例タイムズでは、「進路変更は、通常、後続直進車の速度又は方向を急に変更させることとなるから、基本的には後続直進車に有利に考えるべきであるが、後続直進車としても、進路変更車があらかじめ前方にいるのであるから、その合図等により、進路変更を察知して適宜、減速等の措置を講ずることにより衝突を回避することは、前車が進路変更と同時に急制動をかけたような場合でもない限り、一般にさほど困難ではない」としています。
簡単に言えば、後ろから走行してきたのだから、前方にいる車両の動向に注意を払い、その動向に合わせて危険を回避することは比較的容易なのであるから、それにもかかわらず漫然と直進走行した後続車には過失があり、その程度は30%ほどである、と言っているわけです。
ただ、逆にいえば、「進路変更」の態様にも種々あり、「合図等により、進路変更を察知して適宜、減速等の措置を講ずることにより衝突を回避する」ことが容易ではないという具体的な状況であれば、判例タイムズ153図が想定している30%の過失割合を後続直進車に負わせるべきではありません。
したがって、一律に「進路変更事故では後続直進車も3割の過失を負う」という理解は誤りであり、結局は具体的な事故状況によって判断されるのです。
5. 進路変更事故の過失割合が修正される代表的なケース
上でご説明したように、進路変更事故における過失割合は、基本的には「進路変更車70%・直進車30%」とされることが多いですが、事故の状況によっては、この割合が修正されるケースも少なくありません。
特に、進路変更の方法や場所、相手方との位置関係によっては、直進車の過失が軽減されたり、過失なし(0%)と判断されることもあります。
① ゼブラゾーンでの進路変更
ゼブラゾーンは、車両の進入が原則として想定されていない区画であり、そのゼブラゾーンを横断・進入して進路変更を行った場合には、進路変更車の過失が通常より重く評価される傾向があります。
このようなケースでは、直進車に結果予見可能性や回避可能性があったとは言い難く、直進車の過失が0%と判断される例もあります。
② 交差点直前での車線変更
交差点付近では、右左折車や信号の存在などにより、周囲の交通状況が複雑になります。
そのような場所で無理な車線変更や進路変更が行われた場合、進路変更車に高度な注意義務が課されるため、基本の「30:70」から進路変更車側の過失が加重されることがあります。
特に、交差点直前での急な車線変更は、直進車にとって回避が困難であるとして、過失割合が修正されやすい典型例です。
③ 駐車場内での接触事故
駐車場内で発生する進路変更・接触事故については、一般道路とは異なる注意義務が問題となります。
駐車場内では低速走行が前提となる一方で、車両の進行方向が定まっていないことも多く、一律に判例タイムズの基準が適用されるわけではありません。
そのため、駐車場内の事故では、事故状況次第で過失割合が大きく修正されることがあります。
④ 自転車との進路変更事故
進路変更事故の相手方が自転車である場合には、自動車同士の事故とは異なる評価がなされることがあります。
自転車は交通弱者として保護される側面がある一方で、自転車側の走行位置や進行方向、速度によっては、自転車側にも過失が認められるケースがあります。
このような事故では、単純に「進路変更=7割」とはならず、個別の事故状況に応じた判断が不可欠です。
このように、進路変更事故の過失割合は、事故の場所や進路変更の態様によって大きく左右されます。
過失割合を正しく判断するためには、単に事故類型を見るだけでなく、法律上の「過失」の考え方を理解することが重要です。
6.そもそも法律上の「過失」とは何か
過失割合を考えるうえで欠かせないのが、「過失」という概念の理解です。
それでは、「過失」とは何でしょうか?
過失とは、結果を予見することができたにもかかわらず、その結果を回避するための行動を取らなかったこと、すなわち、結果予見可能性を前提とした結果回避義務違反を意味します。
判例タイムズ153図が想定する進路変更事故では、進路変更車は、後続の車両の有無及び動向を確認すること(予見可能性)は容易であり、自らがその進路上に進入するわけですので、その回避(回避可能性)も通常容易にできるわけです。
その上で、判例タイムズ153図が想定する進路変更事故では、双方の速度に差のあることが前提となる(すなわち、後続直進車の速度が進路変更車より高速であるか、進路変更時に進路変更車が減速するか、又は後続直進車が加速中であるかのいずれか)ところ、このような進路変更は、通常、後続直進車の速度又は方向を急に変更させることとなる可能性が高いため、進路変更車により重い注意義務が課せられているのです。
他方で、後続直進車については、進路変更車の合図等により、進路変更を察知して(予見可能性)適宜、減速等の措置を講ずる(回避可能性)ことができるということです。
7.過失割合の争い方~過失割合は「事実」と「評価」の二段階で決まる~
⑴ まず問題となる「事実」の争い
進路変更事故の過失割合を検討する際、最初に問題となるのは、判例タイムズ153図の前提となる事実関係が本当に存在するのかという点です。
これが、過失割合における第一の争い、すなわち「事実レベルの争い」です。
実際のご相談であった事例ですが、直進車の運転手が「進路変更車が後方から近づいてきて、真横あたりで一時的に並走したかと思った直後、いきなり進路変更してきたため、回避できずに衝突された」と主張しました。
これに対し、進路変更車の運転手は、「すでに進路変更中であり、その最中に後方の直進車が衝突してきた」と主張していました。
ここで争われているのは、進路変更車が直進車の前方に位置していたのか、それとも真横付近だったのかという点です。
判例タイムズ153図は、進路変更車が直進車の前方に位置していることを前提に、直進車にも結果予見可能性・結果回避可能性があったとして3割の過失を認めています。
しかし、直進車の運転手の主張どおり、真横付近から突然進路を塞がれたのであれば、直進車について結果予見可能性や回避可能性が否定され、無過失と評価される可能性も十分にあります。
そのため、どちらの主張する事故状況であったのかは極めて重要なポイントでした。
このような事実の争いは、ドライブレコーダー、防犯カメラ、警察の実況見分調書などの証拠によって裏付けられるかどうかが大きなポイントです。
上記実際にあったご相談においても、被害車両(直進車)にドライブレコーダーが搭載されており、これを確認したところ、直進車運転手の主張のとおりであったことが確認され、0:100での交渉を行うことが出来ました。
反対に証拠によって立証できなければ、一般的な進路変更事故として30:70と評価されてしまう可能性もあります。
⑵ 事実に争いがなくても「評価」で争いになることがある
事故の事実関係が明確であっても、過失割合が争われるケースがあります。
これが、過失割合における第二の争い、すなわち「評価」の問題です。
こちらも実際にあったご相談ですが、直進車の前方に別の車両が存在し、直進車はその車両に追従して走行していました。
その状況下で、進路変更車が前方車両を追い抜いた直後、ほとんど間を置かずに直進車の前方へ進路変更し、衝突したという事故です。
この事例の場合、事故状況そのものに争いはありませんでした。
問題となるのは、直進車にどこまで結果予見可能性や回避可能性があったと評価すべきかという点です。
直進車は、前方車両に続いて走行できるという一定の信頼のもとで運転しており、その直後に第三の車両が割り込んでくることまで予測すべきか否かは評価が分かれます。
一方で、進路変更車については、後続車両の存在を十分に確認せずに進路変更を行っている点で、通常の過失を超える「著しい過失(脇見運転や酒気帯びなど通常想定される以上の不注意)」を問うべきかどうかが問題となります。
この点は、判例タイムズ等の事故類型から自動的に結論が導かれるものではなく、裁判例や過失概念に照らした法的評価に委ねられます。
この事例では、先行車が通過した直後に進路変更をしたことが進路変更車の過失を加重させる事由であるとして、後続直進車15:進路変更車85での解決となりました。
⑶ 小括~過失割合は「事実」と「評価」の二段階で決まる~
以上のとおり、進路変更事故を含む交通事故における過失割合の争いは、
① 判例タイムズ153図の前提となる事実が存在するのかという事実認定
② その事実をどのように法的に評価するのかという評価
という二段階のいずれの問題であるかをきちんと整理したうえで、証拠を収集しなければならないのか、法的評価を固めなければならないのか等方針を決めていく必要があるのです。
8.過失割合の交渉で弁護士が果たす役割
過失割合の交渉において、弁護士は法律のプロであると同時に、事実認定のプロでもあります。
法的判断には、事実の認定と法律への当てはめ(評価)があります。
どの事実が争点なのか、その立証のためにどの証拠が必要なのか、証拠を収集するためにどのような手続きが必要なのか。
弁護士であれば、ドライブレコーダーの開示請求、防犯カメラの確認、警察の実況見分調書の取得などを通じて、事実認定を補強できる場合があります。
他方で、このような主張の構成、証拠収集、法的評価までを、被害者ご本人が一人で行うことは現実的には極めて困難です。
だからこそ、交通事故、とりわけ過失割合に精通した弁護士の関与が重要になります。
9.交通事故は「誰に相談するか」で結果が大きく変わる
進路変更事故の過失割合については、保険会社の説明が必ずしも正しいとは限りません。
保険会社は、判例タイムズの基本過失割合を前提に「30:70」と説明することが多いですが、事故の具体的な状況や証拠次第では、過失割合が修正される可能性は十分にあります。
しかし、過失割合の判断や修正には、事故状況の整理、証拠の収集、法的評価が必要となるため、被害者ご本人が保険会社と対等に交渉することは簡単ではありません。
当事務所では、進路変更事故を含む交通事故について、
・過失割合に関する無料相談
・弁護士費用の事前説明
・保険会社との示談交渉の代行
を通じて、事故状況に即した適正な過失割合の判断と、請求できる損害賠償額の最大化をサポートしています。
「進路変更事故だから過失割合は30:70で仕方がない」と諦めてしまう前に、一度、専門家に相談してみることをおすすめします。
ご相談の結果、必ずしもご依頼いただく必要はありません。
まずは、ご自身の事故状況がどのように評価されるのかを確認するだけでも構いません。
当事務所では、進路変更(車線変更)事故を含む交通事故のご相談は無料でお受けしております。
全国からご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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投稿者プロフィール

これまで、交通事故・離婚・相続・労働などの民事事件を数多く手がけてきました。今までの経験をご紹介しつつ、皆様がお困りになることが多い法律問題について、少しでも分かりやすくお伝えしていきます。
■経歴
2009年03月 法政大学法学部法律学科 卒業
2011年03月 中央大学法科大学院 修了
2011年09月 司法試験合格
2012年12月 最高裁判所司法研修所(千葉地方裁判所所属) 修了
2012年12月 ベリーベスト法律事務所 入所
2020年06月 独立して都内に事務所を開設
2021年3月 優誠法律事務所設立
2025年04月 他事務所への出向を経て優誠法律事務所に復帰
■著書
こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)

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交通事故被害者の慰謝料|保険会社の提示額は適正?相場・増額のポイント
今回のテーマは、交通事故の「慰謝料」です。
交通事故に遭われた被害者が、怪我の治療を終えると、加害者側の任意保険会社から慰謝料などの示談金が提示されますが、その提示金額を見て、「これは本当に適正な額なのだろうか?」と疑問を感じることがあるかもしれません。
ほとんどの被害者の方は、交通事故に遭うのは初めてですから、そもそも疑問を感じることもないまま保険会社の提示を受け入れてしまっている方も少なくないと思います。
私ども弁護士法人優誠法律事務所は、多くの交通事故の事案を取り扱う事務所として、保険会社の提示がかなり低額だと感じる事例を数多く見てきました。
保険会社が提示してくる慰謝料は、裁判で認められる適正な相場(弁護士基準/裁判基準)よりも低額な任意保険基準であることがほとんどです。
この事実を知らずに安易に示談に応じてしまうと、本来受け取るべき損害賠償金、特に慰謝料を大幅に減額された状態で解決してしまう可能性があります。
本記事では、交通事故被害者が知っておくべき慰謝料の種類、計算基準、ケース別の相場と注意点、そして補償不足やトラブル事例について、専門家の視点から詳しく解説します。
交通事故の被害者となった場合、「慰謝料はいくらもらえるのか」「保険会社の提示額は相場と比べて高いのか低いのか」「どのような方法・流れで確認すべきか」といった疑問を持つ方は非常に多いです。
本記事では、慰謝料の基準や算定方法だけでなく、被害者が実際に受け取れる金額を判断するための具体的な確認ポイントについてもわかりやすくお伝えします。
適切な慰謝料を獲得し、納得のいく解決を弁護士とともに目指しましょう。
1.交通事故の慰謝料とは?~3つの慰謝料の種類~
交通事故で被害者が請求できる損害賠償金のうち、精神的苦痛に対する賠償金が慰謝料です。
慰謝料は、主に以下の3種類に分類されます。
① 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
怪我の治療のために入院や通院したことによる精神的苦痛に対して支払われます。
通院期間や入院期間、実通院日数などによって算定されます。
② 後遺障害慰謝料
治療を続けても症状が治りきらなかった場合(症状固定)、後遺症が残り、自賠責保険から後遺障害等級認定を受けた際に、その等級に応じて支払われます。
後遺障害についてどの等級の認定を受けられるかが、慰謝料額に大きく影響します。
③ 死亡慰謝料
交通事故により被害者が死亡した場合に、亡くなられた本人と遺族の精神的苦痛に対して支払われます。
通常、近親者固有の慰謝料も含んだ金額が提示されます。
2.慰謝料の3つの算定基準と弁護士基準の圧倒的な優位性
慰謝料の金額は、どの算定基準を用いるかによって大きく変動します。
被害者の方が最低限知っておくべき3つの基準を比較します。
以下の表は、交通事故の慰謝料について用いられる3つの算定基準を一覧で比較したものです。
それぞれの基準によって慰謝料額がどの程度異なるのかを把握することで、保険会社の提示内容が適正かどうかを判断しやすくなります。
| 算定基準 | 特徴 | 慰謝料の目安 |
| 自賠責基準 | 自賠責保険が法律で定める最低限の補償基準。この金額以下ではいけないという下限です。 | 最も低額 |
| 任意保険基準 | 任意保険会社が独自に定める基準。非公開のことが多く、自賠責基準から少し上乗せした程度の低額です。保険会社はこの基準での解決を目指します。 | 自賠責基準よりやや高額 |
| 弁護士基準(裁判基準) | 過去の裁判例に基づき、弁護士が示談交渉や訴訟で用いる基準。被害者が正当に受け取るべき適正な相場です。 | 最も高額(適正な相場) |
保険会社が提示するのは、ほぼ任意保険基準です。
弁護士基準の適用には、弁護士による交渉または裁判が必要不可欠になりますので、弁護士に依頼することで、弁護士基準に切り替えることが、効果的に慰謝料を増額させる方法といえます。
3.交通事故被害者のケース別・慰謝料事例と体験談・保険会社との交渉論点
被害者が受け取る慰謝料の金額は、症状の程度、入通院期間、後遺障害の有無・等級によって大きく異なります。
死亡慰謝料の場合は、被害者の属性(高齢者、主婦、家族構成など)によっても金額が異なります。
保険会社との交渉では、論点になりやすいポイントに注意が必要です。
以下では、軽傷・骨折・後遺障害など症状別の具体例をご紹介します。
⑴ 軽傷(むち打ち、打撲)の場合
軽傷(むち打ちなど)の場合、多くの事例で通院期間が数か月で終了します。
具体的には、事故後3ヶ月くらいから保険会社が治療費の打ち切りを打診してくることがあり、長くても6ヶ月くらいで打ち切られることが多いです。
裁判所基準(弁護士基準)では、通院期間に応じて慰謝料が算定され、3ヶ月間の通院で53万円、6ヶ月間の通院で89万円とされています。
なお、通院頻度が低いと、慰謝料の減額理由とされることもあります。
【Aさんの事例】
北海道在住のAさんは、信号待ちで追突の交通事故に遭い、頚椎捻挫(むち打ち)の怪我を負って、整形外科で治療を受けましたが、事故から約5ヶ月後に完治して治療が終了し、通院実日数は54日でした。
そして、治療終了後に、相手方保険会社から慰謝料として46万4400円の提示を受けました。
Aさんは、息子さんが過去に当事務所に依頼されていたため、息子さんを通じて慰謝料の増額交渉を依頼したいとご連絡をいただきました。
なお、Aさんは、息子さんと同居しており、息子さんの車の弁護士費用特約が使えましたので、弁護士費用の負担なくご依頼いただけました。
ご依頼後、当事務所で相手方保険会社の提示額を確認したところ、これは自賠責基準の金額であることが分かりました。
保険会社は、通常、自賠責基準より少し高額になる任意保険基準で示談提示しますが、軽傷の場合には最低限の自賠責基準で提示してくることも珍しくありません。
そこで、担当弁護士は、裁判所基準で慰謝料を計算して保険会社と示談交渉をしました。
示談交渉では、保険会社側はAさんが軽傷であったことを強調してきて、本来は3~4ヶ月で打ち切るつもりだったところ、Aさんの希望で約5ヶ月後まで治療期間を延ばしたことから、慰謝料を裁判所基準で算定するとしても4ヶ月程度の金額が妥当だなどと反論してきました。
しかし、担当弁護士は、主治医が治療の必要性を認めて5ヶ月後に治癒の診断をしている以上、減額に応じる必要はないと毅然と拒否して交渉を続け、その結果、最終的に通院慰謝料を75万円とする内容で示談することができました。
Aさんの慰謝料:5ヶ月間の通院(むち打ち)で75万円
⑵ 骨折などの重傷の場合
骨折や脱臼といった重傷の場合、入院や手術が必要となり、入通院期間が長期化し、入通院慰謝料も高額になることがあります。
後遺症が残る可能性も高く、後遺障害認定を見据えた治療や画像診断の収集が重要となります。
症状にもよりますが、一般論としては、交通事故から6ヶ月後くらいの時期に症状固定(治療を続けても症状が固定している状態)と診断されて後遺障害申請に移行することが多いといえます。
骨折・脱臼の場合の入通院慰謝料は、入院と通院のそれぞれの期間に応じて算定されますが、例えば、通院のみで6ヶ月の治療期間であれば裁判所基準で116万円とされており、同じく6ヶ月の治療期間でもそのうち1ヶ月入院した場合は141万円とされています。
【Bさんの事例】
神奈川県在住のBさんは、バイクで走行中に車線変更してきた自動車に衝突されて転倒し、左鎖骨骨折などの怪我を負いました。
Bさんは、事故現場から救急搬送されて、1週間ほど入院しました。
退院後は、6ヶ月ほど通院を続けることになりましたが、幸い骨折した左鎖骨は早期に骨癒合して左肩関節の可動域制限などの障害は残りませんでした。
そして、Bさんは、骨折した部分に多少の痛みはあったものの、事故後6ヶ月で治療を終えました。
その後、Bさんは、相手方保険会社との示談交渉を前に、ご友人のご紹介で当事務所にご相談にお越しになりました。
なお、Bさんは、弁護士費用特約を付けていませんでしたが、弁護士費用をご負担になっても、ご自身で保険会社と示談するより大幅な慰謝料増額が見込めるとのお考えがあり、ご依頼いただくことになりました。
ご依頼後、担当弁護士が、裁判所基準で入通院慰謝料を算定して示談交渉をしたところ、相手方保険会社は裁判所基準での算定は認めるものの、裁判外の交渉であることやBさんの通院頻度が少ないことを理由に90万円程度での対案を提示してきました。
その後、担当弁護士は、Bさんが鎖骨骨折の傷病であったことから、経過観察となっていた期間が長く、通院頻度が少ない点は症状が軽いことを示す事情ではないことなどの反論をして、裁判や交通事故紛争処理センターへの申立ても辞さない姿勢で交渉を続けました。
そうしたところ、入通院慰謝料は、ほぼ裁判所基準と同水準の約120万円まで引き出すことができ、示談を成立させることができました。
Bさんの慰謝料:6ヶ月間の治療(骨折など)で120万円
⑶ 後遺障害が残った場合
治療を尽くしても症状が治りきらないと医師が診断した症状固定の後、後遺障害等級認定(第1級〜第14級)を受けると、入通院慰謝料だけでなく後遺障害慰謝料が加算されます。
等級によって慰謝料の相場は異なり、例えば、第14級で110万円、第12級で290万円、第7級で1000万円、第1級で2800万円が目安となります。
後遺障害の認定を受けられるか、どの等級になるかは、医師の診断書や後遺障害診断書、画像所見、神経症状の立証などが重要な証拠となります。
適切な等級認定のためには専門家のサポートは不可欠です。
【Cさんの事例】
愛媛県在住のCさんは、自転車で交差点を直進しようとしたところ、左折してきた自動車に衝突され(いわゆる左折巻き込み)、左上腕骨骨折、左肩関節脱臼、左肩関節唇損傷などの怪我を負いました。
Cさんは、事故現場から救急搬送されて、骨折部の手術などを行いましたが、入院はせず、10ヶ月ほど通院で治療しました。
しかし、左肩関節の可動域制限や痛みなどが改善しませんでした。
そうしたところ、相手方保険会社から治療費の打切りを打診されたこともあり、主治医が事故後約10ヶ月で症状固定の診断をしました。
その後、Cさんは、後遺障害の申請をするつもりでしたが、相手の保険会社に任せる「事前認定」では不安を感じ、当サイトをご覧になったことがきっかけで当事務所にご相談されました。
なお、Cさんは、同居のご家族の自動車保険に弁護士費用特約が付いており、これが使えましたので、弁護士費用のご負担なくご依頼いただくことができました。
ご依頼後、当事務所にて後遺障害申請の準備をして、被害者請求で後遺障害申請をしたところ、左肩関節の可動域制限について12級6号の認定を受けることができました。
そして、担当弁護士が、裁判所基準で入通院慰謝料・後遺障害慰謝料などを算定して示談交渉をしたところ、事故状況からCさんにも10%の過失を取られましたが、後遺障害逸失利益なども含めて総額1100万円で示談をすることができました。
なお、この示談金1100万円の内訳で、入通院慰謝料は約145万円、後遺障害慰謝料は290万円とされています。
Cさんの慰謝料:10ヶ月の治療(骨折・脱臼など)で145万円+12級の後遺障害慰謝料290万円
⑷ 高齢者・主婦の場合の注意点
ここからは慰謝料の算定の話ではありませんが、被害者の立場や職業によって、休業損害や逸失利益(将来得られたであろう収入の補償)の算定にも注意点があります。
- 主婦(主夫)の場合
主婦や主夫は家事従事者として扱われ、休業損害が認められます。基礎収入は賃金センサスの女性の平均賃金に基づいて計算されるのが一般的ですが、保険会社は自賠責基準の一日単価6100円を用いたり、家事従事者としての立証が不十分だとして否定したり、減額を試みることがあります。弁護士は、過去の裁判例に基づき、適正な基礎収入と休業期間を主張します。 - 高齢者の場合
高齢者の被害者の場合、逸失利益の計算で基礎収入が低くされたり、就労可能年数が短くなるため、賠償額全体が低くなる傾向があります。しかし、就労の蓋然性や後遺障害の程度など、個別の事情によっては高額な賠償となるケースもあります。健康状態や実際の労働実態を証拠として立証することが重要です。
⑸ 死亡事故・高齢者のケースでの慰謝料相場と特徴
死亡事故は、被害者や遺族の精神的苦痛が甚大であるため、慰謝料も高額になります。弁護士基準の相場は以下の通りです。
- 一家の支柱(家計を支える人):2,800万円程度
- 母親・配偶者:2,500万円程度
- その他(子ども、高齢者、独身の男女):2,000万円~2,500万円程度
高齢者の死亡事故でも、死亡慰謝料自体は最低で2,000万円程度が弁護士基準の相場となりますが、逸失利益は就労可能年数の違いで若年層より低額になることが多いです。
4.よくある減額・補償不足・トラブル事例 【弁護士にご相談いただくべき分岐点】
交通事故の慰謝料請求では、被害者が注意すべきポイントを知らないまま示談を進めてしまい、本来よりも少ない金額で解決してしまうケースが少なくありません。
以下では、特に確認すべき注意点と、弁護士へ相談すべき判断基準を整理します。
交通事故の示談交渉では、保険会社との間でさまざまなトラブルや補償不足が生じることがあります。
これらのトラブルが発生した時点も専門家である弁護士に依頼すべき重要な分岐点となりますが、できる限り早い段階で弁護士に依頼することで、このようなトラブル自体を回避することもできます。
① 治療費の打ち切り
保険会社が、一方的に治療期間が不相当に長いなどとして治療費の支払いを停止(打ち切り)してくる事例は多いです。
保険会社の主張は法的・医学的な根拠を欠くことも多々あり、医師と連携した治療継続の必要性の立証が必要です。
まだ治療が必要な状態なのに、保険会社から治療費の打ち切りの打診を受けた場合、弁護士に相談すべきといえます。
② 過失割合の争い
交通事故の責任割合(過失割合)によって、被害者が受け取る損害賠償金が減額されます。
保険会社は加害者や自社に有利な割合を提示してくることが多いため、事故態様に基づき適正な過失割合を主張することが不可欠です。
保険会社の過失の主張に納得できない場合、妥当かどうか分からない場合、弁護士に相談すべきといえます。
③ 後遺障害認定の非該当
症状が残っても後遺障害と認定されない「非該当」となる事例があります。
非該当では後遺障害慰謝料はゼロです。
この場合、異議申立てにより再審査を請求することが可能ですが、医学的な証拠の精査と追加の立証が必須であり、弁護士の専門性が最も活きる場面です。
後遺障害申請で悩む場合、異議申立てをお考えの場合、弁護士に相談すべきといえます。
④ 休業損害の不足
休業損害の計算において、基礎収入や休業日数について保険会社と見解が異なり、不足が生じるケースがあります。
特に、個人事業主や主婦(家事従事者)は適正な計算ができていないことも多いです。
個人事業主や主婦の方は、弁護士が保険会社と交渉することで休業損害が増額する可能性がありますので、弁護士に相談すべきといえます。
5.弁護士へご相談ください:適正な慰謝料を獲得する最後の砦
交通事故の被害者が保険会社の提示を超えて、弁護士基準の適正な慰謝料を獲得するためには、専門家である弁護士への相談が最も有効な手段です。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、交通事故の解決に専門性を有しており、これまで数多くの交通事故事案を解決し、被害者の正当な権利(適切な賠償を受ける権利)を守って参りました。
保険会社との交渉について熟知しておりますので、論点を整理して、慰謝料の増額の交渉をすることで、適切な金額までの増額が実現できるよう尽力します。
保険会社の提示は本当に適正か、後遺障害の等級認定に不満がある、治療費を打ち切られそうで不安だ――全ての疑問や不安は、私たち専門家にお任せください。
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【弁護士にご依頼いただくメリット】
- 慰謝料の算定:弁護士基準に基づき、適正な慰謝料の相場を計算・提示し、増額を目指します。
- 示談交渉の代行:保険会社との交渉を全て代わりに行い、精神的な負担を軽減し、治療に専念いただけます。
- 後遺障害認定のサポート:等級認定に向けた医師との連携や、提出書類の精査を行い、適正な等級の獲得を目指します。非該当の事案に対する異議申立てにも強みがあります。
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投稿者プロフィール

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベストベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
初回相談は無料で、弁護士費用特約にも対応しています。
全国どこからでもご相談いただけますので、不安を抱え込まず、まずは一度お気軽にお問い合わせください。
バイク事故で脊髄損傷|慰謝料・逸失利益が数百万円変わる分岐点とは
今回のテーマは、バイク事故による「脊髄損傷」です。
交通事故の中でも、身体が剥き出しの状態であるバイク事故は、重篤な怪我につながるケースが少なくありません。
中でも脊髄損傷は、手足の麻痺や感覚障害など、被害者の将来にわたって深刻な影響を残す重大な傷害です。
脊髄損傷の被害者が適切な補償を獲得するためには、後遺障害の等級認定が極めて重要です。
認定される等級が1つ違うだけで、慰謝料や逸失利益が数百万円、あるいは数千万円単位で変わることもあります。
本記事では、交通事故・バイク事故を多く取り扱ってきた弁護士の視点から、脊髄損傷の基礎知識、賠償額が決まる仕組み、そして解決へのポイントを解説します。
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1.交通事故による脊髄損傷とは?症状・後遺症・被害者に生じる障害を解説
まずは、医学的な観点から脊髄損傷がどのような状態を指すのか、その症状と診断の基礎知識を確認しましょう。
・脊髄損傷が起きる仕組みと主な原因(交通事故事例を中心に解説)
脊髄とは、脳から背骨(脊椎)の中を通って伸びる太い神経の束のことです。
バイク事故では、転倒時の強い衝撃などにより、背骨の骨折や脱臼が生じ、その中の脊髄が圧迫されたり傷ついたりすることで損傷が起きます。
特にバイクは、ヘルメットで頭部は守られていても、首(頚椎)や腰(腰椎)は衝撃を受けやすい部位です。
事例としても、交差点での出会い頭の衝突や、ガードレールへの激突などで、頚髄(首の神経)を損傷するケースが多く見られます。
2.脊髄損傷の症状・種類・部位別の違い|頚髄損傷が重くなりやすい理由
交通事故による脊髄損傷では、損傷した部位や損傷の程度に応じて、様々な症状が現れます。
代表的なのは、麻痺・感覚障害・運動制限であり、これらの症状がどの程度残るかによって、後遺障害等級や慰謝料額が大きく左右されます。
脊髄損傷では、脳からの指令が神経を通じて伝わらなくなることで、手足が動かしにくくなる「麻痺」や、痛み・温度を感じにくくなる「感覚障害」が生じることがあります。
また、歩行や階段昇降が困難になるなど、日常生活や労務に支障をきたす「運動制限」が残るケースも少なくありません。
これらの症状は、損傷の程度だけでなく、どの部位の脊髄が損傷したかによっても大きく異なります。
特に頚髄(首の脊髄)を損傷した場合には、上肢・下肢の双方に障害が及びやすく、重症の場合には介護が必要となる後遺症が残ることもあります。
一方、胸髄や腰髄の損傷では、主に下半身に麻痺や感覚障害が現れ、歩行困難や日常生活動作の制限が問題となるケースが多く見られます。
さらに、脊髄損傷が「完全損傷」か「不完全損傷」かによっても、症状の重さや生活への影響は大きく異なります。
完全損傷では神経機能がほぼ失われるのに対し、不完全損傷では一部の運動機能や感覚が残ることがあります。
この違いは、後遺障害等級や賠償額にも大きく影響します。
次に、こうした症状や損傷の違いが、後遺障害等級としてどのように評価されるのかを解説します。
3.交通事故による脊髄損傷|後遺障害等級(1級〜12級)の一覧と認定ポイント
脊髄損傷による損害賠償において、最も重要なのが「後遺障害等級」です。
この等級によって、保険会社から支払われる金額の基準が決まります。
⑴ 後遺障害等級(1級~12級など)の違いと認定基準・理由
脊髄損傷の後遺障害は、麻痺の範囲や生活への支障の程度に応じて、主に以下の等級に分類されます。
| 等級 | 状態の目安 |
| 第1級 | 常に介護が必要な状態。 |
| 第2級 | 随時介護が必要な状態。 |
| 第3級 | 終身労務に服することができない状態。 |
| 第5級 | 特に軽易な労務以外の労務に服することができない状態。 |
| 第7級 | 軽易な労務以外の労務に服することができない状態。 |
| 第9級 | 服することができる労務が相当な程度に制限される状態。 |
| 第12級 | 局部に頑固な神経症状を残す状態。 |
重い等級であれば、将来の介護費用も認定されやすくなるため、賠償額が非常に高額になります。
⑵ 等級認定に必要な資料・画像・診断書と申請手順
後遺障害認定の流れとしては、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらい、自賠責保険(損害保険料率算出機構)へ申請を行います。
この際、単に診断書を提出するだけでなく、MRI画像や、日常生活に関する状況報告書(日常の困難さを伝える書類)などをセットで提出することが、適正な等級を受けるために有効です。
⑶ 等級非該当・低い等級と異議申立て|成功・解決のコツ
例えば、弁護士に依頼しないで自賠責保険に申請した際,非該当にされたり、想定よりも低い等級が認定されたりしてしまったとします。
この場合、手続上は「異議申立て」を行うことが可能です。
ただ、同じ資料で再審査しても、結果が変わる可能性は低いといえます。
そこで、有効な異議申立てを行うためには、新たな医学的証拠を用意したり、医師や弁護士による意見書を添えるなどの必要があります。
一般論としては、異議申立てで後遺障害等級が変更される確率は低いですが、新たな医学的証拠などを添付して再審査を求めることで、認定結果が覆るケースもあります。
4.脊髄損傷の後遺障害認定に必要な診断書・検査内容と医師の所見
交通事故による脊髄損傷で後遺障害認定を受けられるかどうかは、医師が作成する診断書と検査結果の内容によって左右されます。
実際、症状が残っていても、診断書の記載や検査結果が不十分な場合、後遺障害非該当や、想定より低い等級にとどまってしまうケースも少なくありません。
特に重要なのが、MRIや神経学的検査による客観的な所見です。
これらの検査結果がなければ、症状があっても医学的に裏付けられず、後遺障害として認定されないことがあります。
また、診断書に記載される医師の所見次第で、後遺障害等級が大きく変わる点にも注意が必要です。
5.自賠責保険と保険会社の対応|脊髄損傷はどこまで認められるか
交通事故による脊髄損傷で補償を受ける際、自賠責保険と任意保険会社がどこまで損害を認めるのかは、被害者にとって非常に重要なポイントです。
実務上は、
「症状があるのに認められない」
「後遺障害等級が想定より低い」
といったトラブルが多く発生します。
ここでは、自賠責保険の役割と保険会社の対応の実態、そしてなぜ認められないケースがあるのかを解説します。
(1) 自賠責保険とは|脊髄損傷で請求できる補償の範囲
自賠責保険は、すべての自動車・バイクに加入が義務づけられている保険で、交通事故被害者に対する 最低限の補償 を目的としています。
脊髄損傷の場合、自賠責保険では主に次の補償が対象となります。
- 治療費・入通院慰謝料・休業損害などの傷害部分の損害
- 後遺障害が認定された場合の後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
ただし、自賠責保険には 後遺障害等級ごとに支払限度額 が定められており、脊髄損傷のような重い後遺症では、補償額が実際の損害に比べて不足するケースが多いのが実情です。
(2) 脊髄損傷は自賠責保険でどこまで認められるのか
自賠責保険では、脊髄損傷が客観的資料によって裏付けられているかどうかが支払いの前提となります。
認定されるためには、
- 事故と症状との因果関係が明確であること
- 症状が将来にわたって残存していること
- MRIなどの検査結果や医師の所見がそろっていること
が必要です。
一方で、
- 「画像上、明確な損傷が確認できない」
- 「症状が医学的に説明できないと判断された」
といった理由で、脊髄損傷と診断されていても非該当と判断されるケースもあります。
(3) 保険会社(任意保険)の対応と注意すべきポイント
任意保険会社は、自賠責保険で認定された等級を前提に、独自の基準で賠償額を算定・提示してきます。
実務上、保険会社の対応として問題になることが多いのが、
- 労働能力喪失率や喪失期間を限定した逸失利益の提示
- 「症状が軽い」「日常生活に支障が少ない」との主張
- 治療費の早期打ち切り要請
といったケースです。
保険会社は、支払額を抑える立場にあるため、被害者に有利な判断を自発的に行うことはほとんどありません。
(4) 脊髄損傷が認められないケースと正当な補償を受けるためのポイント
脊髄損傷で補償が十分に認められない背景には、いくつか共通する理由があります。
例えば、
・診断書の記載内容が抽象的で、症状の程度が具体的に示されていない
・MRIや神経学的検査による客観的所見が不足している
・事故と症状との因果関係が弱いと判断されてしまう
・日常生活や労務への影響が十分に伝わっていない
といった点が重なると、実際には重い症状が残っていても、後遺障害非該当や、低い等級にとどまってしまうケースがあります。
そのため、正当な補償を請求するためには、必要な検査を適切な時期に受け、症状や生活上の支障が診断書に正確に反映されているかを確認することが重要です。
また、保険会社からの提示をそのまま受け入れず、内容が妥当かどうかを慎重に判断する姿勢も欠かせません。
(5) 弁護士に相談することでできること
交通事故・脊髄損傷に詳しい弁護士に相談することで、
- 自賠責保険への適切な後遺障害申請
- 保険会社との交渉・示談対応
- 認定結果に納得できない場合の異議申立て
- 裁判基準を前提とした賠償請求
といったサポートを受けることができます。
保険会社の提示額が適正かどうかを判断するためにも、一度専門家に相談することを強くおすすめします。
6.交通事故による脊髄損傷の慰謝料・逸失利益|請求額が変わる分岐点
なぜ後遺障害等級によって「数百万円変わる」と言われるのか。
その理由は、後遺障害慰謝料の基準と、後遺障害逸失利益の計算方法にあります。
⑴ 脊髄損傷で認定される後遺障害慰謝料・損害賠償金の相場と算定基準
交通事故の慰謝料には、大きく分けて3つの基準があります。
・自賠責基準:最低限の補償。
・任意保険基準:保険会社が独自に定める基準。
・弁護士基準(裁判基準):裁判所が採用している基準(最も高額)。
例えば、後遺障害の等級が12級である場合、自賠責基準では慰謝料が94万円ですが、弁護士基準では290万円と、基準が違うだけで金額が跳ね上がります。
脊髄損傷のような重い障害では、その差はさらに広がります。
⑵ 後遺障害逸失利益の計算の考え方|等級・年収・年齢ごとの増減額例
逸失利益とは、「事故がなければ将来得られたはずの収入」のことです。
計算式は以下の通りです。
逸失利益 = 基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(原則67歳まで)に対応する係数
ここで重要なのが「労働能力喪失率」です。
次のとおり、このパーセンテージは等級によって大きく異なります。
・第1級~3級:100%喪失(全く働けない)
・第9級:35%喪失
・第12級:14%喪失
例えば、36歳で年収500万円の方で、労働能力喪失期間に対応する係数を便宜上20とした場合,次のとおり,等級によって後遺障害逸失利益の金額には大きな差が生じます。
・第1級~3級:500万円×100%×20=1億円
・第9級:500万円×35%×20=3500万円
・第12級:500万円×14%×20=1400万円
⑶ 等級の分岐点:賠償が数百万円変わる認定・症状の境界線
争点になりやすいのが、9級(労務が相当制限される)と12級(頑固な症状)の境界線です。
画像上の明確な損傷所見の有無や、神経学的検査の結果が分岐点となります。
また,介護が必要か否か(1・2級かそれ以外か)の境界線は、(非常に高額となる)将来の介護費用が認定されやすくなるか否かに関わるため、極めて重要です。
7.交通事故の脊髄損傷は弁護士に相談すべき理由|法律事務所選びのポイント
脊髄損傷の事案は専門性が高く、保険会社との交渉を被害者自身で行うのは非常に困難です。
⑴ 弁護士に依頼するタイミングと費用|無料相談・事務所選び
依頼のタイミングは、事故直後または治療中の早い段階がベストです。
適切な検査を受けるアドバイスができるからです。
多くの法律事務所や弁護士法人では、交通事故の無料相談を実施しています。
費用についても「弁護士費用特約」を利用すれば実質0円になる場合が多く、特約がない場合でも、着手金無料で賠償金獲得後の後払い(成功報酬)とする事務所が増えています。
⑵ 交通事故・バイク事故対応で弁護士が行う交渉や裁判サポート事例
弁護士は、被害者の代理人として以下のサポートを行います。
・医師に対して診断書の作成を依頼する際のアドバイス等
・保険会社からの治療費打ち切りへの対応
・適正な後遺障害等級の申請手続き
・弁護士基準を用いた賠償金の増額交渉
⑶ 弁護士による高額解決事例
実際、弁護士が介入することにより、高額で解決できた事例は珍しくありません。
弊所においても、弊所弁護士が解決した「交通事故により脊髄損傷を負ってしまった方の高額解決事例」を紹介していますので、ご参照ください。
8.脊髄損傷後の生活|介護・歩行困難・将来に必要な補償と支援
賠償金の問題だけでなく、被害者とその家族は、これからの生活にどう向き合うかという課題も抱えます。
⑴ リハビリテーション・治療法と回復の可能性
脊髄の神経は一度損傷すると完全な修復は難しいとされていますが、近年の再生医療の研究や、専門的なリハビリによって、機能の改善が期待できるとされています。
残された機能を最大限に活かすためのリハビリは非常に重要です。
具体的な治療方針やリハビリ計画については、必ず主治医の先生とよく相談してください。
⑵ 介護・車椅子・生活補償|被害者と家族の悩みへの対応策
車椅子生活になる場合、自宅のバリアフリー化や、介護用ベッドの購入などが必要になります。
これらの費用も、必要性・相当性が認められれば損害賠償として請求可能です。
また、家族の悩みを軽減するためにも、利用できる公的支援や補償内容も把握しておくことが大切です。
⑶ 病院・専門医の選び方と将来の生活設計
脊髄損傷の治療・リハビリに特化した病院や専門医を選ぶことは、その後の回復に影響します。
また、獲得した賠償金を将来の生活費や治療費としてどう管理していくかも含めた生活設計が求められます。
9.まとめ|バイク事故の脊髄損傷被害にどう向き合うか
バイク事故による脊髄損傷は、被害者の方の人生を一変させる重大な出来事です。
身体的な苦痛に加え、将来への不安は計り知れません。
しかし、適切な等級認定を受け、正当な賠償(慰謝料・逸失利益・介護費用など)を獲得することで、今後の生活の基盤を整えることは可能です。
保険会社の提示額を鵜呑みにせず、弁護士などの専門家のサポートを受けることをお勧めします。
優誠法律事務所では、脊髄損傷を含めた交通事故被害の相談を随時受け付けております。
無料相談も可能ですので、お気軽にご連絡ください。
投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
初回相談は無料で、弁護士費用特約にも対応しています。
全国どこからでもご相談いただけますので、不安を抱え込まず、まずは一度お気軽にお問い合わせください。
進路変更事故の過失割合はどう決まる?|車線変更時の交通事故の過失を弁護士がケース別に解説【交通事故の過失割合コラム】
今回のテーマは、車線変更(進路変更)の交通事故の過失割合です。
進路変更中の交通事故では、「どちらにどれくらいの過失割合があるのか」が大きな争点になります。
特に、
・直進していただけなのに、保険会社から3割の過失を主張された
・ウインカー(合図)を出していなかったと言われ、不利な判断をされた
・車線変更のタイミングが問題にされた
といったケースで、「この過失割合は本当に正しいのか」と疑問を持たれる方が非常に多くいらっしゃいます。
進路変更事故の過失割合は、事故の状況や道路環境、当事者の位置関係などによって判断が分かれ、保険会社の説明が必ずしも正しいとは限りません。
例えば、進路変更しようとした車両と後続の直進車が衝突した事故の基本過失割合は進路変更車70%:直進車30%ですが、ウインカー(合図)なしで進路変更した場合は、直進車側の過失が大きく減る、または0%と判断される可能性があります。
また、ほぼ並走状態で進路変更しようとして接触した事故であれば、直進車側で事故を回避することは難しく、進路変更車100%:直進車0%と判断されるケースもあります。
交通事故の分野で広く参照される最新版の「別冊判例タイムズ38号」(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)では、交通事故の事故態様・道路状況ごとに、事故当事者の過失割合の判断基準が提示されていますが、この中の【153】図は、「進路変更車と後続直進車の四輪車同士の事故」として、過失割合が設定されています。
本記事では、この【153】図を基に進路変更事故における基本的な過失割合の考え方や判断の流れを整理した上で、その基本過失割合に固執する相手方保険会社の主張を覆し、依頼者の過失を軽減した当事務所の具体的な解決事例をご紹介します。
1. 進路変更事故における過失割合の基本~判例タイムズ【153】図とは?~
判例タイムズ【153】図は、あらかじめ前方にある車両(進路変更車)が進路変更を行ったものの、後方から直進してきた他の車両(後続直進車)の進路と重なり、両車両が接触したという態様の事故について過失割合の基準を示したものです。

この図が定める基本の過失割合は、次のとおりです。
・進路変更車 70%
・後続直進車 30%
それではなぜ、このような割合になるのでしょうか?
まず、道路交通法上、進路変更車は、みだりにその進路を変更してはいけません(法26条の2第1項)。
また、進路変更車は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度または方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはなりません(法26条の2第2項)。
進路変更車にはこのような義務が課されているため、基本的には進路変更車の過失が大きくなるのです。
一方、後続直進車についても、道路交通法上、安全運転の義務(法70条)を負っています。
これは、車両の運転者は、当該車両のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し(安全操作履行義務)、かつ、道路、交通及び当該車両の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない(安全状態確認義務)というものです。
あらかじめ前方にいる進路変更車の進路変更は、進路変更と同時に急ブレーキを掛けたような場合でもない限り予測可能な運転行動であることもあり、後続直進車についても過失が問われることになるのです。
このように、判例タイムズ【153】図は、上記で示した進路変更車の過失と後続直進車の過失の割合を、7対3で評価したものといえます。
2.進路変更事故の過失割合はどのような流れで判断されるのか
進路変更事故における過失割合は、感覚や一方的な主張で決まるものではなく、一定の判断プロセスに沿って検討されます。
一般的には、以下のような流れで判断されるのが基本です。
① どちらが進路変更を行った車両か
② 相手車両は直進中であったか
③ 進路変更の合図(ウインカー)が適切に出されていたか
④ 前方・後方の位置関係や並走状態であったか
⑤ 衝突時の速度や回避の可能性
⑥ 道路交通法に違反する運転がなかったか
これらの要素を総合的に検討したうえで、判例タイムズ【153】図などの基準を参考にしながら、過失割合が判断されます。
そのため、保険会社が示す過失割合が、必ずしも事故状況を正確に反映しているとは限りません。
3.過失割合を修正する「修正要素」の詳細
判例タイムズ【153】図の過失割合である30%(後続直進車):70%(進路変更車)は、あくまでも「基本の」過失割合です。
一方で、判例タイムズ【153】図では「修正要素」も定められており、個別の状況に応じて過失割合が修正されることになります。
このうち、進路変更車の運転に関する修正要素は次のとおりです。
①進路変更禁止場所 -20%
進路変更車が、進路変更禁止場所で進路変更をしていた場合、後続直進車について20%の減算修正がなされます。
②合図なし -20%
進路変更の合図は、後続直進車の前方注視義務違反の基礎として重要な意味を持つため、進路変更車が合図をしていなかった場合、後続直進車について20%の減算修正がなされます。
③著しい過失 -10%
例として、わき見運転や携帯電話の画像を注視しながらの運転などが挙げられます。進路変更車に著しい過失がある場合、後続直進車について10%の減算修正がなされます。
④重過失 -20%
重過失は、著しい過失よりもさらに重い、故意に比肩する重大な過失をいい、例として、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転が挙げられます。進路変更車に重過失がある場合、後続直進車について20%の減算修正がなされます。
例えば、進路変更車が、進路変更禁止場所で進路変更したことにより交通事故が発生した場合、後続直進車について20%の減算修正がなされることから、後続直進車の過失割合は10%(基本過失割合30%-修正要素20%)になります。
4.判例タイムズ【153】図の適用範囲
冒頭述べたとおり、判例タイムズ【153】図は、あらかじめ前方にある車両(進路変更車)が進路変更を行ったものの、後方から直進してきた他の車両(後続直進車)の進路と重なり、両車両が接触したという態様の事故について過失割合の基準を示したものです。
なお、進路変更事故といっても、すべての事故が必ずしも判例タイムズ【153】図に当てはまるわけではありません。
事故が発生した場所や当事者の交通手段によっては、過失割合を判断する際に重視される要素が大きく異なる場合があります。
例えば、
・交差点付近で進路変更を行った結果、事故が発生したケース
・ゼブラゾーンへの進入中に進路変更して接触した事故
・駐車場内での車両同士の接触事故
・自転車と自動車との間で発生した進路変更事故
などでは、車線の明確性や進行優先関係、安全確認義務の範囲などが問題となり、【153】図の基本的な過失割合がそのまま適用されないことも少なくありません。
そのため、例えば次の場合は本基準の対象外となり、具体的事情を考慮して過失割合を検討することになります。
①進路変更車が、隣の車線の前方を走行していた他の車両を追い抜いた直後、進路を変えて当該車両の進路前方に出たところ衝突した場合
②進路変更車が、進路を変更した後の車線における前車との車間距離が十分ではなかったため、車線を変更した後、前車への追突を避けるために直ちに急ブレーキを掛けたために衝突した場合
③進路変更を完了した後の進路変更車に対して、後続直進車が追突した場合。
5.保険会社が主張する過失30%を0%にした解決事例
ここでは、相手方保険会社が杓子定規に判例タイムズ【153】図の基本過失割合30%(後続直進車):70%(進路変更車)を主張してきたにもかかわらず、当事務所がそれを覆した具体的な解決事例をご紹介します。
⑴ 事案の概要と相手方の主張
当方車両(依頼者):後続直進車
相手車両:進路変更車
事故状況:当方車両が、片側2車線直線道路の第1車線を直進走行していたところ、第2車線を直進走行していた相手車両が第1車線への車線変更を開始し、当方車両に衝突したもの。
相手方の主張:判例タイムズ【153】図に基づき、基本過失割合である30%(後続直進車):70%(進路変更車)を主張。
⑵ 当事務所による反論と決定的な証拠の立証
当事務所は、基本過失割合の適用を安易に認めず、事故態様の詳細な立証に注力しました。
まず、当方車両に備え付けられていたドライブレコーダーの映像を分析しました。
その上で、本件事故当時、第2車線にいた相手車両が車線変更を開始したタイミングが、当方車両とほぼ並走状態のときであったこと、そのため相手車両はほぼ真横にいた当方車両に一方的に衝突したものであることを指摘しました。
また、当方車両を運転していた依頼者としても、ほぼ並走状態の相手車両が突然進路変更してくることなど予見することはできません。
そのため、依頼者には過失がないことも併せて主張しました。
その他にも、本件事故は判例タイムズ【153】図の適用範囲外であることを主張したり、同様の事故について直進車の過失を否認した裁判例を提示しました。
⑶ 解決結果と意義
このような主張立証活動の結果、相手方保険会社は、当事務所の主張を受け入れ、過失割合0%(当方車両):100%(相手車両)での解決をすることができました。
本事例は、判例タイムズ【153】図はあくまで「基準」であり、絶対ではないことを示しています。
保険会社が主張する基本過失割合に対して納得できない場合、客観的な証拠(特に車両の損傷状況やドラレコの映像)を踏まえて、基本過失割合からの修正を主張できるかどうかが結果を大きく左右します。
6.よくある質問(進路変更事故の過失割合)
Q.保険会社が提示する過失割合は、必ず従う必要がありますか?
A.いいえ、必ずしも従う必要はありません。
示談が成立する前であれば、事故状況や証拠をもとに、過失割合の修正や交渉を行うことが可能です。
特に、進路変更事故では、ウインカーの有無や車両の位置関係、当時の速度などが十分に検討されていないまま、保険会社の杓子定規な考えだけで過失割合が提示されるケースも少なくありません。
Q.過失割合について弁護士に相談すると、費用はかかりますか?
A.事務所によって異なりますが、交通事故については「無料相談」を実施している弁護士も多くいます。 当事務所でも、進路変更事故を含む交通事故のご相談は無料でお受けしています。
Q.どの段階で弁護士に依頼すべきでしょうか?
A.保険会社から過失割合の提示を受けた段階、または示談書に署名する前にご相談いただくのが望ましいです。一度示談が成立すると、その後に過失割合を修正することは原則として困難になります。
7.まとめ
保険会社が提示する過失割合は、必ずしも正しいとは限りません。
交通事故の被害に遭われた際、相手方保険会社からは、保険会社側の視点に基づいた被害者にとって不利な過失割合を提示されることがあります。
また、判例タイムズ【153】図のように、後続直進車に基本的に30%の過失が課せられる類型の事故では、この30%をいかに減らすかが、最終的に手元に残る賠償額に直結します。
ご自身の過失割合に疑問や不満をお持ちでしたら、示談に応じる前に、交通事故の専門知識を持つ弁護士にご相談ください。
私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料です。
全国からご相談いただいておりますので、お気軽にご相談ください。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」

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交通事故で脊髄損傷を負った方へ|後遺障害等級の認定基準と慰謝料相場を弁護士が解説
今回は、「脊髄損傷」に関する後遺障害等級について、解説いたします。
脊髄損傷は、交通事故や転落事故などによって引き起こされる重篤な損傷であり、その後の生活に重大な影響を及ぼします。
適切な後遺障害等級が認定されることは、正当な賠償を受ける上で非常に重要です。
しかし、「どのような基準で後遺障害等級が認定されるのか」「後遺障害等級認定の申請をするためには、どのような書類が必要なのか」など、脊髄損傷に関する後遺障害等級は難しいと感じる方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
交通事故により脊髄損傷を負った被害者の方は、手足の麻痺や感覚麻痺など、日常生活に大きな制限が残る「後遺症」を抱える可能性があります。
こうした後遺症が残った場合には、自賠責保険や相手方保険会社に対して「後遺障害等級」の認定請求を行うことが極めて重要です。
適切な等級が認められれば、後遺障害慰謝料や将来にわたる介護費・生活補償など、相当額の賠償金を受けられる可能性があります。
しかし、認定される等級によって金額は大きく変わるため、認定の段階での対応が非常に重要となります。
この記事では、脊髄損傷に関する後遺障害等級の認定基準と、申請に必要な書類について詳しく解説します。
特に、画像所見の重要性についても掘り下げて解説しますので、現在、脊髄損傷による後遺障害でお困りの方、またはその可能性のある方は、ぜひご一読いただき、適切な補償を獲得するための一助としていただけますと幸いです。
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1.脊髄損傷とはどんな状態?後遺障害の基礎知識を深掘り
⑴ 脊髄損傷のメカニズムと症状の多様性
そもそも脊髄とは何かについて、ご説明いたします。
脊髄とは、脳から連なる中枢神経系の一部をいいます。
脊髄は神経であり、直径わずか1cmほどの細い組織の中に、運動神経や知覚神経の繊維が詰まっています。
脊柱管によって守られてはいますが、わずかな病変が生じても四肢麻痺などの症状が出現し得るため、脊髄は非常に繊細なものです。
そして、脊髄損傷とは、交通事故などによる外力が脊髄に加わって、脊髄が損傷された状態のことをいいます。
脊髄損傷は、脊椎(いわゆる背骨)の脱臼や骨折を伴って生じることが多いです。
このうち、脊髄全横断面にわたって神経回路が断絶したものを完全損傷、一部でも保たれたものを不完全損傷といいます。
脊髄損傷の症状は、「完全損傷」と「不完全損傷」で大きく変わります。
完全損傷の場合、脳からの命令が断たれるため、四肢・体幹の運動機能が失われるだけでなく、感覚機能も失われ、体温調節機能や代謝機能も困難になってしまいます。
一方、不完全損傷の場合、神経が完全には断裂していないため、症状の有無や程度には広範囲の差異があるとされています。
脊髄損傷によって生じる症状は、損傷した脊髄の「部位」によって大きく異なります。
・頚髄(首の脊髄)を損傷した場合:手足(上肢・下肢)の麻痺、呼吸機能低下など
・胸髄を損傷した場合:体幹の保持が困難になり、歩行障害や姿勢保持が困難になる場合がある
・腰髄を損傷した場合:下肢の運動障害や感覚障害が生じやすく、歩行に支障が出ることが多い
このように、損傷部位と神経の走行が深く関係しているため、症状の「程度」や「残る後遺症」は個人によって大きく異なります。
⑵ 後遺障害等級とは何か
後遺障害等級は、自賠責保険会社や裁判所等において認定がなされます。
等級が認定されることは、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益といった適正な賠償の支払いに向けた大きな前進です。
一方、等級が認定されない場合、後遺障害が残っていても基本的には賠償対象にならないことから、等級認定の重要性は極めて高いです。
2.脊髄損傷の後遺障害は「等級」がカギ! 具体的な認定基準と分類
このように、脊髄損傷に関する後遺障害の等級認定は、その後の賠償額を大きく左右します。
ここでは、どのような基準で等級が判断されるのかを具体的に見ていきましょう。
⑴ 「神経系統の機能または精神の障害」としての評価
脊髄損傷の後遺障害は、主に「神経系統の機能または精神の障害」として評価されます。
その等級ですが、症状の程度や日常生活への影響、介護の必要性などによって細かく分類されています。
具体的には、別表第1と別表第2に分かれており、重度な麻痺を伴う場合、別表第1の等級(第1級、第2級)が認定される可能性があります。
これは、常時介護や随時介護が必要な状態を指し、非常に重いものとされています。
後遺障害の等級認定がされるのか、されるとしても等級は何かを判断する要素としては、麻痺の程度(徒手筋力テストの数値など)、麻痺の範囲(四肢、対麻痺)、感覚障害の範囲・程度、排泄機能の障害の有無・程度などが挙げられます。
⑵ 脊髄損傷で認定される等級の目安
【常時介護が必要な状態:別表第1の第1級1号】
広範囲な麻痺により、日常生活のほぼ全ての動作(食事、入浴、排泄、着替えなど)に常時介護が必要となる状態です。
【随時介護が必要な状態:別表第1の第2級1号】
運動能力や感覚機能が著しく低下し、歩行が困難で、日常生活の重要な動作に随時介護が必要となる状態です。
【労働能力に支障が生じた状態:別表第2の第3級~第9級】
脊髄損傷により、手足の麻痺や体幹機能の障害が残ることで、仕事に大きな制限がかかったり、今後仕事に就くことが困難になったりする状態です。
具体的な等級は、麻痺の程度や、どの程度の労働能力が失われたか等によって判断されます。
【局部に頑固な神経症状を残している状態:別表第2の第12級13号】
例えば、筋緊張の亢進が認められるもの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの等が挙げられます。
・後遺障害等級認定までの流れ
① 医師による診断書作成と画像検査(MRI・CT)
② 症状と画像所見に整合性があるかの確認
③ 自賠責保険へ後遺障害等級認定の申請
④ 認定された等級に応じ、慰謝料・逸失利益・将来介護費などの損害賠償を請求
この「流れ」を正しく踏むことで、適正な賠償の獲得に繋がります。
3.等級認定の成否を分ける「画像」の全貌
脊髄損傷に関する後遺障害の等級認定においては、医師の診断書や各種証明書のほか、特に重要なのがMRIやCTなどの「画像」所見です。
これらが認定の成否を分けると言っても過言ではありません。
その理由ですが、脊髄損傷は、外からは分からない神経の損傷であるものの、MRIやCTといった画像検査によって、この損傷を客観的かつ視覚的に捉えることができるためです。
画像は、骨折や脱臼の有無だけでなく、脊髄そのものの損傷部位、損傷の程度、脊髄がどの程度圧迫されているかといった重要な情報を提供します。
そのため、等級認定の審査にあたっては、MRIやCTなどの「画像」所見と、症状の内容や程度等との間に整合性はあるか否かが重要になります。
ここで、「画像」所見が重要であることを示す裁判例(京都地裁平成16年6月16日判決)をご紹介いたします。
この裁判例は、「画像」所見について次のとおり判示するとともに、結論として原告の頚髄(脊髄の一部)損傷を否定しました。
「頸髄損傷は、頸髄に対する器質的な損傷があり、頸髄実質内に出血や浮腫を伴い、事故直後から重度の麻痺を呈する傷害であって、その診断はMRI検査で頸髄に輝度変化があること、事故直後から四肢麻痺などの神経症状のあることが重要であり、さらに電気生理学的検査を総合して判断することになる(弁論の全趣旨、当裁判所に顕著な頸髄損傷の病態)が、(ア)原告には、受傷直後に四肢麻痺が発生したかについては、前記のとおり、事故の翌日に左上肢痛、挙上不可及び指尖の知覚異常を訴えたが、他の部位の知覚はあったのであり、上記麻痺があったとは窺えず、(イ)病的反射はみられず、エックス線写真、CT、MRI検査上頸髄損傷を疑わせる異常所見もみられず、(ウ)その他、頸椎第4・第5間、第5・第6間に突出部があったとしても、これが片麻痺の原因とはなり難く、麻痺、知覚異常を訴える部位は上記変性部の神経支配域とも一致しないことからすれば、原告が本件事故により頸髄損傷を受傷したと認めることはできず、この点の原告の主張は採用できない。」
保険会社は、被害者にとって「最も有利な等級」が認定されるように動いてくれるわけではありません。
むしろ、後遺障害が「軽い」と判断されることで、支払う慰謝料や逸失利益が低額で済むため、保険会社側としては被害者にとって不利な等級が認定される方が都合が良いともいえます。
そのため、後遺障害の等級認定は「保険会社任せにしないこと」が非常に重要です。
特に脊髄損傷は、画像所見の読み取りや診断書の記載内容、神経症状の証明など、医学的・法的な観点での整理が必要となるため、適切なサポートを受けずに申請すると本来認められるべき等級よりも低く評価されてしまうケースがあります。
当事務所では、脊髄損傷に関する後遺障害認定について
・診断書の記載内容の確認
・MRI/CTなどの画像所見の分析
・必要資料の収集
・自賠責保険への申請手続き
までを一貫してサポートいたします。
無料相談も随時承っておりますので、おひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
4.まとめ:脊髄損傷による後遺障害は、お一人で悩まず専門家にご相談ください
脊髄損傷に関する後遺障害の等級認定は、賠償額を大きく左右する極めて重要なものです。
このとき、MRIやCTなどの画像所見は、あなたの症状を客観的に証明する強力な証拠となります。
しかし、その内容を適切に評価し、等級認定に繋げるための主張立証は、一般の方には難しいものと思われます。
優誠法律事務所では、脊髄損傷による後遺障害でお困りの方をサポートいたします。
無料相談も可能ですので、まずは一度ご相談ください。
専門知識を持つ弁護士が、これまでの解決事例も踏まえて親身に寄り添い、解決へと導きます。
弁護士費用についても、ご依頼いただく際に明確にご説明いたしますのでご安心ください。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」

交通事故で心身ともに大きな負担を抱えている被害者の方々。
保険会社とのやり取りや後遺障害の申請など、慣れない手続きに途方に暮れてしまう方も少なくありません。
私たち弁護士法人優誠法律事務所は、そんな被害者の方々が正当な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
交通事故案件の解決実績は2,000件以上。所属弁護士全員が10年以上の経験を持ち、専門的な知識と豊富なノウハウを蓄積しています。
「弁護士に相談するほどのことだろうか」「費用が心配だ」と感じる方もご安心ください。
初回相談は無料で、弁護士費用特約にも対応しています。
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交通事故の休業損害を徹底解説|計算方法・請求のポイントを弁護士が詳しく説明
交通事故に遭うと、ケガの治療費や慰謝料のほかに、「仕事を休んだ期間の収入減少」も損害として認められます。
これを「休業損害」といい、会社員・自営業者・家事従事者など、被害者の職業や所得状況に応じて請求額の算定方法が異なります。
一方で、実際の保険会社との示談交渉では、「本当に休業損害が発生したのか」、「どの程度の期間認められるのか」が争点となるケースが多くあります。
特に、家庭内で家事を行っている方(主婦・主夫)は、「収入がないのに損害賠償が請求できるのか?」と疑問に思われるかもしれません。
しかし、裁判所は家事労働にも経済的価値があると明確に認めています。
ただ、給与所得者や自営業者の休業損害は比較的理解しやすいものの、家庭内で家事に従事する方(主婦・主夫など、以下「家事従事者」)の休業損害、通称「主婦休損」は、その算定や認定を巡って保険会社との間で争いになりやすい論点の一つです。
家事労働は、家庭生活を維持するための重要な労働であり、裁判実務ではその経済的価値が認められ、休業損害の対象となります。
本稿では、この家事に関する休業損害について、裁判所の判断基準や最新の裁判例を交えて詳細に解説します。
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1.家事休業損害の基礎知識
家事従事者(主婦・主夫など)が収入を得ていない場合でも、家事労働には経済的価値があると認められます。
家事を外部業者に委託すれば一定の費用が発生するため、裁判所はこれを「財産上の利益」=補償対象となる損害と評価しています。
かつては「専業主婦は収入がないから休業損害は発生しない」とされていた時代もありましたが、現在の実務では男女を問わず家事従事者の休業損害が認められるのが一般的です。
これは、家庭内での家事労働が家族全体の生活を支える重要な役割を果たしていると認められているためです。
そのため、家事従事者であっても、交通事故によるケガや治療期間中に家事ができなかった場合には、実際に経済的損害が発生したものと見なされ、損害賠償請求が可能です。
ただし、自分一人のために家事を行っている単身者などは、法的には「家事従事者」に該当せず、休業損害の対象外となります。
2.休業損害の計算方法と基準
休業損害の金額は、次の計算式によって算出されます。
・基礎収入(日額) × 休業日数
これは、交通事故によって仕事を休まざるを得なかった期間の「収入減少分」を賠償金として請求するための基本式です。
– 給与所得者の場合:事故前の給与額を基準に計算します(別途、賞与減額分も請求可能)。
– 自営業者の場合:確定申告書や前年所得をもとに算出します。
– 家事従事者の場合:賃金センサス(厚生労働省の統計)に基づく平均賃金を参考に計算します。
このように、被害者の職業や所得状況によって「基礎収入」や「算定基準」が異なります。
そのため、請求時には勤務先の休業損害証明書や確定申告書など、客観的な資料をそろえて立証することが重要です。
また、保険会社は「休業日数の考え方」や「支給金額」に対して独自の基準や考えで提示してくることもあるため、弁護士を通じて適正な金額を算定することで、より正確な補償を受け取ることができます。
3. 家事休業損害の算定方法
専業の家事従事者については、家事労働の対価として収入を得ているわけではないため、原則として、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(賃金センサス)」における「女性・学歴計・全年齢(女性労働者の全年齢平均賃金)」が基礎収入となります。
兼業の家事従事者についても,実収入額が女性労働者の全年齢平均賃金を下回るときには,原則として女性労働者の全年齢平均賃金が基礎収入となります。
家事従事者の基礎収入は、厚生労働省の「賃金センサス(女性全年齢平均賃金)」が原則です。
令和6年の平均年収は419万4400円(日額約1万1460円)となっており、これを基準に算定します。
家事の支障の程度や治療期間によっては、全日休業とみなされることもあれば、30%・50%など部分的に認められる場合もあります。
【算定式の一例】
419万4400円 ÷ 365日 × 休業日数 × 休業割合 = 休業損害額
実際には、治療・通院・後遺障害の有無などを考慮し、弁護士が個別に計算・証明していく必要があります。
給与所得者の休業損害は、事故前の収入に基づく基礎収入(日額)×休業日数として算定されます。
しかしながら、家事休業損害については、家事の支障の程度に応じて、給与所得者の休業損害でいうところの「休業日数」を認定している裁判例が散見されます。
また、担当する家事の内容、その支障の程度、治療経緯は個々の事案によって異なっており、これら個々の実状を踏まえて、裁判所は家事休業損害の金額を認定していることが窺われます。
大まかには、①治療期間全体について平均的に一定割合の休業割合を認定する例、②休業期間を区切って、各期間の割合を認定する例、③実通院日数を基準として休業日数を認定する例に分類できるかと思います。
以下では、それぞれの裁判例について紹介いたします。
実際に裁判所が家事従事者の休業損害をどのように認定したか、3つの最新裁判例を紹介します。
判決では、治療期間・通院日数・休業割合などの事情をどのように考慮したかが明確に示されています。
これらのケースを比較することで、裁判所がどのような基準で「休業損害額」を算定しているか、その判断傾向を具体的に理解することができます。
4.治療期間全体について平均的に一定割合の休業割合を認定した例(①)
ここでは、京都地裁令和4年1月20日判決を紹介します。
原告の主張は、次のとおりです。
「基礎収入は、家事従事者として平成25年賃金センサス女性全年齢平均賃金353万9300円によるべきであり、日額は9600円となる。全期間の計算式は以下のとおりである。
9600円×180日+7500円×180日+5000円×180日+3500円×197日=466万7500円
実通院日数での計算式は以下のとおりである。
9600円×390日=374万4000円以上を踏まえると、原告の休業損害は400万円を下らない。」
被告の主張は、次のとおりです。
「基礎収入を仮に日額9600円とする場合でも、原告の休業損害は、実通院日数12日間程度であり、労働能力喪失率は40%を超えないから、合計4万6080円(9600円×通院日数12日×0.4)となる。」
裁判所は、次のとおり判断しました。
「証拠・・によれば、原告は、本件事故前、夫と2人暮らしで家事に従事しながら飲食店でパート勤務をしていたことが認められるから、基礎収入(年収)は平成25年賃金センサス女性全年齢平均賃金353万9300円(日額9697円、端数は四捨五入。以下同様)と認めるのが相当である。労働能力喪失率、同喪失期間については、前記1(2)認定の原告の症状経過に加え、前記3(2)認定のとおり、症状固定日である平成28年4月25日時点において、概ね日常生活は可能であるが時々支障が生じる状態であったことからすると、本件事故日から上記症状固定日までの間家事に一定の支障が生じていたといえ、その喪失率は当該全期間を通じて25%と認めるのが相当である。
計算式
9697円×734日×0.25=177万9400円」
5.休業期間を区切って、期間ごとの割合を認定した例(②)
ここでは、神戸地裁令和3年3月8日判決を紹介いたします。
原告の主張は、次のとおりです。
「原告は、本件事故当時、夫と二人暮らしで、H株式会社姫路支店(以下「勤務先」という。)に事務職員として勤務しつつ、すべての家事を担当する兼業主婦であった。原告は、本件事故後、頚部や両肩、腰部、両膝等の全身に疼痛やしびれの症状が現れ、また、人目につく顔面部のけがのため、やむなく勤務先を休業し、自宅での静養に努めた。そのため、平成26年9月末までの間、夫に食事や買い物等の家事を代行してもらい、それ以降は夫の手助けを借りつつ、可能な家事を徐々に行うようにしていた。したがって、原告は、本件事故後、段階的に家事を休業しており、その内容は、別紙「休業損害金計算表(兼業主婦)」記載のとおりである。
この点、被告は、原告が妊娠・出産により休業していた可能性がある旨主張する(後記(被告の主張)ア(イ))。しかし、原告は、本件事故時には同年10月末での退職が決まっていたため、同年11月以降は専業主婦として稼働していたから、原告の妊娠、出産が勤務先の休業に影響を与えたことはない。」
被告の主張は、次のとおりです。
「否認ないし争う。医学的にみて休業が必要なのは、受傷後1週間程度である。原告は、平成26年9月11日から同月22日まで休業しているが、その後仕事に復帰しており、これはまさに医学的な休業の必要性がなくなったためである。したがって、同月22日までは休業の必要性が認められるが、それ以降については休業の必要性は認められない。
また、原告は、交通事故とは相当因果関係のない妊娠及び悪阻等による休業損害を交通事故によるものとして請求している可能性がある。すなわち、妊娠や出産が主婦業の労働能力を低下させないことはないし、また、仮に、長期間の休業損害が認められたとしても、原告が妊娠・出産のために入通院したのであれば、本件事故との因果関係がないことは明らかである。」
裁判所は、次のとおり判断しました。
「証拠(甲14、15、22、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件事故当時、勤務先において事務職員として勤務し、また、自宅では夫と二人暮らしであり、家庭においては家事を担当するいわゆる兼業主婦であったこと、本件事故前年である平成25年の原告の所得は309万7000円であったこと、原告は、平成26年9月11日から同月22日は有給休暇を取得して勤務先を休業したこと、少なくとも同月末までは頚部痛などのために家事労働に支障が出ていたこと、原告は、本件事故の時点で、勤務先を退職することになっており、同年11月以降は専業主婦の状況にあったことの各事実が認められる。これに、前記2で認定説示した原告の受傷内容、治療経過や自覚症状を考慮すれば、原告は、本件事故日から症状固定日である平成28年1月6日までの484日間のうち、本件事故日及び有給休暇を取得していた平成26年9月11日から同月22日までの12日間の合計13日間は100パーセント、その他の471日間については平均して30パーセント休業したものと認めるのが相当である。なお、原告は、上記期間の間、妊娠および出産を経ているが(甲22、原告本人)、これにより家事に影響が全くなかったか否かは明らかではないものの、これまで認定説示した原告の受傷内容等からすれば、上記認定説示に係る休業は、本件事故との因果関係を欠くものではないというべきである。
そうすると、平成25年賃金センサス・女子・全年齢平均は353万9300円であり、これを兼業主婦の基礎収入と見るのが相当であるから、休業損害は、149万6092円となる。
(計算式) 353万9300円÷365日≒9696円、9696円/日×13日×100%=12万6048円、9696円/日×471日×30%≒137万0044円、12万6048円+137万0044円=149万6092円」
6.実通院日数を基準として休業日数を認定した例(③)
ここでは、東京地裁令和4年2月28日判決を紹介いたします。
原告の主張は、次のとおりです。
「原告X2は、原告X1と同居し、家事従業者であるから、基礎収入は平成29年の賃金センサスである377万8200円を365日で日割りした1万0351円とする。休業期間は、実通院日数の165日として算定した。」
被告の主張は、次のとおりです。
「休業損害は争う。通院日に家事労働に差し障りがあったとしても、全期間全日、家事労働が提供できなかったとはいえない。」
裁判所は、次のとおり認定しました。
「証拠(括弧内に記載したもののほか、甲56)及び弁論の全趣旨によれば、原告X2は、本件事故当時、△△区役所の◇◇課に非常勤職員特別職として勤務していたが、平成29年3月末に退職し(甲48)、平成28年度の給与は197万7300円であったこと(甲47)、原告X2は、原告X1、2人の子、原告X2の両親と同居し、家事を担っていたことが認められる。以上によれば、原告X2は、本件事故当時、家事労働に従事しつつ、△△区役所に非常勤職員としても勤務していたところ、△△区役所からの収入は賃金センサスには及ばないが、家事労働の内容を加味すれば、賃金センサスと同程度の収入があったといえる。よって、基礎収入は、賃金センサスの377万8200円とするのが相当である。休業割合は、原告X2の本件事故による傷害の内容が家事労働に及ぼす影響を踏まえると、実通院日数の5割とするのが相当である。
よって、原告X2の休業損害は、以下の式により算定する。
377万8200円÷365×165×0.5=85万3976円」
7.保険会社との示談で注意すべきポイント
実務上、保険会社から提示される休業損害の金額は、実際よりも低く見積もられるケースが多くあります。
たとえば、「実通院日数分しか支払わない」「家事従事者は対象外」といった主張を受けることもありますが、裁判所ではこうした考え方が必ずしも認められるわけではありません。
また、示談書に署名・押印してしまうと、原則としてその内容が最終合意となり、後から金額を追加請求できなくなります。
そのため、加害者側の保険会社から提示を受けた段階で、安易に合意せず、弁護士に相談して金額の妥当性を確認することが重要です。
適正な支払いを受け取るためには、医師の診断書・通院記録・勤務先の証明書などを整え、家事労働に支障があった期間や程度を明確に立証することが大切です。
8.弁護士に依頼するメリットと示談金アップの可能性
保険会社との示談交渉や損害額の算定は、専門的な知識と経験が求められます。
弁護士が介入することで、次のような点を一括してサポートできます。
– 正確な基礎収入・算定期間の証明
– 保険会社との示談交渉
– 後遺障害の認定手続き
– 必要書類(診断書・通院記録・勤務先証明など)の整備支援
実際、弁護士を通じて休業損害を請求した場合、**賠償金額が数十万円〜数百万円増額したケース**もあります。
交通事故の損害賠償は、計算方法や立証手続きが複雑なため、早期に弁護士へ依頼することで、より適正な補償を受け取れる可能性が高まります。
特に、家事従事者の休業損害は「見えにくい損害」であるため、法的な専門知識をもつ弁護士によるサポートが有効です。
9.まとめ:交通事故の休業損害は専門家に相談を
家事従事者の休業損害は、収入の有無にかかわらず認められる可能性があります。
家事労働は「財産上の利益」として法律上も保護されており、事故によって家事ができなくなった場合には、損害賠償の対象となります。
ただし、実際の示談交渉や賠償請求では、保険会社から提示される金額が適正でないケースも少なくありません。
適正な補償を受け取るためには、確定申告書・勤務先の休業損害証明書・診断書などの資料をそろえ、専門の弁護士による立証サポートを受けることが最も確実です。
保険会社との示談を進める前に、まずは無料相談などを利用して、休業損害の金額や支払い基準が妥当かどうかを確認しておきましょう。
早期に弁護士へ依頼することで、より高い補償を受け取れる可能性があります。
優誠法律事務所では交通事故被害者のご相談を無料で承っております。
全国対応ですので、お気軽にご相談ください。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。
これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」

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