Archive for the ‘後遺障害’ Category

【速報】後遺障害等級認定事例(3)非接触事故~頚椎捻挫・腰椎捻挫~

2022-05-03

皆さん、こんにちは。弁護士の甘利禎康です。

前々回から私が2021年に後遺障害の異議申立てを行った事例をご紹介していますが、今回は頚椎捻挫・腰椎捻挫の怪我を負った被害者のCさんの事例をご紹介します。

Cさん:非該当⇒併合14級(頚椎14級9号・腰椎14級9号)

1.初回の申請は非該当

 Cさんは、ご家族が運転する自動車の後部座席に乗っていたところ、隣の車線を走っていた加害者車両が急に車線変更してきたため、Cさんの車両の運転手の方が、衝突を避けるために急ブレーキをかけました。幸い急ブレーキによって衝突を回避することはできたものの、後部座席に乗っていたCさんは、急ブレーキの反動で体が前方に大きく振られて、前の座席に顔面を強打してしまい、顔や頚椎、腰椎を負傷してしまいました(外傷性顎関節症・頚椎捻挫・腰椎捻挫)。

 その後、Cさんは整形外科と口腔外科で治療を続けていましたが、首や腰の痛みがなかなか改善しませんでした。Cさんは、前の仕事を辞めて転職活動をしているタイミングでしたが、首や腰の痛みもあって転職活動を中断せざるを得ず、早く症状を改善させたいとの思いでリハビリを続けました。しかし、交通事故から約1年が経過した時点でも首と腰の痛みが改善しませんでした。そうしたところ、相手方保険会社に治療費の打切りを通告され、主治医もそのタイミングで症状固定と診断しました。

 Cさんは、治療費を打ち切られて症状固定となったことで、その後の後遺障害申請や示談交渉などの手続きを弁護士に任せたいというお考えで私たちの事務所にご相談にいらっしゃいました。ご依頼いただいた後、私たちは必要な書類を揃え、被害者請求で後遺障害申請をしました。

 その結果、残念ながら初回の申請では首の痛みと腰の痛みについて、それぞれ「将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」として非該当と判断されました。

 Cさんとしては、首も腰も痛みが残存していて日常生活に支障があるにもかかわらず、非該当という結果では納得できないということで、異議申立てを行うことになりました。

2.異議申立ての結果、併合14級が認定

 頚椎捻挫や腰椎捻挫の場合、交通事故から通常6ヶ月程度で症状固定と診断されることが多いですが、Cさんの場合は交通事故から約1年間も治療を続けており、リハビリの回数も通算170回以上にも上っていました。長年交通事故の後遺障害申請を担当してきた私たちの経験上、通院回数の多い人は痛み(神経症状)による後遺障害等級(14級9号)が認定されやすいという感覚があります。通院回数が多いということは、それだけ痛みが強かったことを推認する事情でもあると考えられるためではないかと思います。ただし、通院回数が多かったり、通院期間が長くても、症状が改善傾向にあったり、訴えている症状に一貫性がなかったりすると、後遺障害とは認定されにくくなります。

 そこで、私たちはCさんの異議申立てをするにあたり、主治医に頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移についての照会書の作成をお願いし、併せてカルテを取り寄せて、症状の経過や一貫性があるか否かを確認しました。その結果、Cさんは交通事故直後から症状固定まで一貫して首と腰の痛みを訴えて治療を続けていたことが分かり、主治医から症状が慢性化していて改善は見込めないとの回答を得ました。

 また、Cさんの交通事故は、急ブレーキで自動車同士の衝突を避けられており、非接触の交通事故であったため、自賠責保険は「後遺障害が残るほどの怪我が発生する事故ではない」と判断したのではないかと考えられました。

 そこで、私たちは、交通事故当時の状況をCさんから詳しく聞き取り、Cさんが靴を脱いで後部座席に座っていたこと、シートベルトをしていなかったこともあって急ブレーキで前方に押し出されて前の座席に顔面を強打したこと、この前方座席に強打した際に首や腰も負傷したことなど、自動車同士は非接触であっても後遺障害が残るほどの怪我を負っても不自然ではないことを細かく主張する異議申立書を作成して異議申立てを行いました。

 その結果、私たちの主張が認められ、Cさんの頚椎捻挫後の首の痛みと腰椎捻挫後の腰の痛みについてそれぞれ14級9号が認定されて、併合14級の認定となりました。

3.まとめ

 今回は、頚椎捻挫・腰椎捻挫で初回申請非該当から、異議申立てでそれぞれ14級9号が認定された事例をご紹介しました。

 今回のCさんのように、交通事故の被害者の多くが頚椎捻挫・腰椎捻挫の怪我を負っていますが、首や腰の症状は回復するまで長い時間がかかることも多く、首や腰の痛みが残ってしまう方も少なくありません。

 その場合、多くの方は相手方保険会社に任せて後遺障害の申請を行いますが(この保険会社に任せる方法を「事前認定」といいます。)、この事前認定では必要最低限の書類を揃えて提出するという対応以上は期待できません。

また、少なくとも私たちの経験では、初回の事前認定が非該当だったケースで、相手方保険会社が異議申立てをしてくれて後遺障害等級が認定されたというケースは見たことがありません。

 ですから、やはり後遺障害の申請は弁護士に依頼した方が適切な等級が認定される可能性が高まるといえるのではないかと思います。

 Cさんと同じように首や腰の後遺障害で困っている方も多いと思いますので、今回の記事が同じようなことでお困りの方の参考になれば幸いです。

 私たち優誠法律事務所では、交通事故に関するご相談は無料でお受けしております。ぜひ、お気軽にお問合せください。

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投稿者プロフィール

 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)

【速報】後遺障害等級認定事例(2)~右肩腱板損傷~

2022-04-18

皆さん、こんにちは。弁護士の甘利禎康です。

前回から私が2021年に後遺障害の異議申立てを行った事例をご紹介していますが、今回は頚椎捻挫・右肩腱板損傷の怪我を負った被害者のBさんの事例をご紹介します。

Bさん:併合14級(頚椎・右肩)⇒併合12級(頚椎14級9号・右肩12級13号)

1.初回の申請は併合14級(頚椎・右肩)

 Bさんは、自転車を運転していて、信号のある交差点が赤信号だったため、自転車から降りて信号待ちをしていました。その際に、その交差点のBさんが立っていた角を左折しようした加害者車両が、内回りし過ぎて信号待ちをしていたBさんの自転車に衝突してしまいました。Bさんはそのまま自転車ごと転倒して、頚椎や右肩などを負傷してしまいました(頚椎捻挫・右肩腱板損傷)。

 その後、Bさんは整形外科で治療を続けていましたが、首の痛みや右肩の痛みがなかなか改善しませんでした。しかも、右肩の痛みが強く、事故直後から肩が90度(水平)以上上がらない状態が続いていました。Bさんとしては、特に右肩の可動域制限が仕事にも日常生活にも大きな支障があり、少しでも改善しようとリハビリを続けましたが、交通事故から6ヶ月が経過した時点でも改善せず、主治医が症状固定と診断しました。

 Bさんとしては、適切な損害賠償を求めたいということで、この時点で私たちの事務所にご相談にいらっしゃいました。私たちは、ご依頼いただいた後、後遺障害申請に必要な書類を揃え、被害者請求で後遺障害申請をしました。

 その結果、初回の申請では首の痛みと右肩の痛みについて、それぞれ14級9号の後遺障害等級が認定されて、併合14級の結果が通知されました。しかし、右肩の腱板損傷については、腱板損傷自体を否定するのか、腱板損傷自体は認めるものの今回の交通事故で損傷したことを否定するのか、どちらか理由は分からないものの、「本件事故による腱板損傷は認められない」との判断となり、右肩の可動域制限は後遺障害として認められませんでした。

 Bさんとしては、右肩の可動域制限が残り、その当時でも90度(水平)から少し上くらいまでしか肩が上がらない状態でしたので、右肩腱板損傷が認定されなかった結果には納得できないということで、異議申立てを行うことになりました。

2.異議申立ての結果、右肩に12級13号が認定

 私たちは、異議申立てをするにあたり、まずBさんが右肩のMRI撮影をした画像診断専門のクリニックの読影レポートを取り寄せました。この読影レポートを確認したところ、右肩の画像上に腱板損傷があるとの読影結果が明確に記載されていました。

 ただ、MRI撮影が行われたのが今回の交通事故から約2ヶ月後であったため、おそらく初回の申請では自賠責調査事務所が交通事故以外による損傷の可能性も否定できないという判断をして、腱板損傷と交通事故の因果関係を認めなかったのではないかと考えられました。

 そこで、私たちは、主治医からカルテを寄り寄せ、交通事故直後のBさんの右肩の症状について、腫れなどの外傷を裏付けるような症状の記載がないか確認しました。そうしたところ、カルテに明確な外傷所見についての記載はなかったものの、事故直後の診察の際に、「腕神経叢引き抜き損傷の疑いあり」との記載と「右肩の可動域制限あり」との記載を見つけました。

 この腕神経叢引き抜き損傷は、バイクの転倒事故などで生じることがあり、上肢のしびれや肩が上がらないなどの症状が生じます。主治医がカルテにそのような記載をするということは、交通事故直後にBさんの右肩に外傷による所見が見られたことを裏付けるものと考えられました。また、交通事故直後に既に可動域制限があったことも裏付けられました。

 そこで、私たちは、MRIの読影レポートと主治医のカルテを添付して、Bさんの右肩腱板損傷は、交通事故によるものであることを強く主張する異議申立書を作成して異議申立てをしました。

 その結果、右肩腱板損傷が今回の交通事故によるものと認められ、Bさんの右肩腱板損傷後の痛みについて12級13号が認定されました。

 しかし、MRI画像上の腱板損傷の程度が軽く、肩の可動域制限が生じるほどではないと判断され、可動域制限については等級が認定されませんでした(可動域制限についても等級が認定される場合には、12級6号が認定されます。)。

 この結果に対して、Bさんは、可動域制限の等級は認められなかったものの、右肩腱板損傷が交通事故によるものと判断されて、同じ12級が取れたということで結果を受け入れ、首の14級9号と合わせて併合12級で示談交渉をするということになりました。

3.可動域制限と神経症状の後遺障害等級と示談金の関係

 今回のBさんは、右肩腱板損傷による痛み(神経症状)で12級13号が認定されましたが、右肩の可動域が4分の3以下に制限された場合に認定される12級6号は認定されませんでした。

 12級6号と12級13号は、同じ12級ですから、裁判所基準の後遺障害慰謝料は同じ290万円となり、違いがないようにも思えますが、後遺障害を負ったことによる将来の減収部分の補償である「逸失利益」の算定では大きな違いが発生します。

逸失利益は、「基礎年収×後遺障害等級ごとの喪失率×喪失期間」で計算され、

通常、12級の後遺障害の逸失利益は、

被害者の交通事故前年の年収×14%×67歳まで年数のライプニッツ係数

で計算されますが、神経症状の12級13号の場合には、喪失期間が67歳までではなく、10年間程度に制限されるのが一般的です。

 例えば、症状固定の時に47歳だった被害者の場合、一般的な後遺障害では喪失期間が20年間とされるのに対し、12級13号の場合には10年間に制限されることが多いです。そのため、この被害者の交通事故前年の年収が500万円だったとすると、喪失期間が20年間の場合には、

 500万円×14%×14.877(20年のライプニッツ係数)=1041万3900円

喪失期間が10年間の場合には、

 500万円×14%×8.530(10年のライプニッツ係数)=597万1000円

となり、逸失利益で大きな差が出る場合があります。

 ですから、同じ12級でも可動域制限での後遺障害等級が認定されるか、神経症状での後遺障害等級が認定されるかは重要です。

 今回のBさんの場合は、実際に可動域制限も残っていたため、再度の異議申立てを行うか、紛争処理機構に審査してもらうよう申立てをするという選択肢もありましたが、画像から腱板損傷が軽微と判断されたのであれば、もう仕方ないと結果を受け入れることにしましたので、後遺障害等級については併合12級で確定させ、示談交渉を開始することになりました。

4.まとめ

 今回は、右肩の腱板損傷で14級9号の認定から、異議申立てで12級13号が認定された事例をご紹介しました。

 実は、今回のBさんの初回申請の結果のように、腱板損傷の事例では、交通事故から時間が経ってからMRIを撮影したケースで、交通事故と腱板損傷の関係性が否定されるという例は珍しくありません。そのため、私たちは腱板損傷を負った被害者の方には、なるべく早期にMRI撮影をするように勧めています。同じように肩の後遺障害で困っている方も多いと思いますので、今回の記事が同じようなことでお困りの方の参考になれば幸いです。

 そして、そのようなアドバイスをするためには、交通事故後なるべく早い段階でご相談いただく必要がありますから、交通事故に遭ったら早期に弁護士にご相談いただくことを強くオススメしています。

 私たち優誠法律事務所では、交通事故に関するご相談は無料でお受けしておりますので、お気軽にお問合せください。

 また、当事務所のブログでも、異議申立てで肩腱板損傷について後遺障害12級が認定された事例(弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~右肩腱板損傷・異議申立て・後遺障害12級13号~)や逆に残念ながら肩腱板損傷で後遺障害が認定されなかった事例(後遺障害等級が認定されなかった事例~左肩腱板損傷~)をご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。

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投稿者プロフィール

 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)

【速報】後遺障害等級認定事例(1)~頚椎捻挫~

2022-03-28

皆さん、こんにちは。弁護士の甘利禎康です。

これから何回に分けて、私が2021年に担当した交通事故事案のうち、後遺障害の異議申立てを行った事例をご紹介したいと思います。

2021年に私が担当した事案で異議申立てを行った事例は5件ありましたが、実は、以下のようにその5件とも異議が認められるという結果を得ました。

Aさん:非該当⇒14級9号(頚椎)
⇒本記事

Bさん:併合14級(頚椎・右肩)⇒併合12級(頚椎14級9号・右肩12級13号)
【速報】後遺障害等級認定事例(2)~右肩腱板損傷~

Cさん:非該当⇒併合14級(頚椎・腰椎)
【速報】後遺障害等級認定事例(3)非接触事故~頚椎捻挫・腰椎捻挫~

Dさん:非該当⇒14級9号(頚椎)
【速報】後遺障害等級認定事例(4)右直事故~外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)~

Eさん:12級14号⇒9級16号(外貌醜状)
【速報】後遺障害等級認定事例(5) ~外貌醜状(顔面の醜状痕)~

異議申立てが認められる確率はかなり低く、2020年の統計では15%程度とされています。ですから、成功率100%は本当に偶然ではありますが、それでも当事務所所属の弁護士たちの異議申立て成功率は通算で50%くらいですので、全体の統計よりもかなり高い確率で成功しています。

それでは、今回はAさんの事例をご紹介します。

1.初回の申請は非該当

 Aさんは、信号のない交差点で右側の道路から一時停止無視で進入して来た加害者車両と衝突してしまいました。加害者車両は、Aさんの車両の運転席付近に衝突し、Aさんの車両は大きく損傷しました。運転していたAさんはかなり強い衝撃を受け、頚椎を負傷してしまいました(頚椎捻挫)。

 その後、Aさんは整形外科で治療を続けていましたが、首から肩にかけての痛みや腕の痺れがなかなか改善しませんでした。ところが、相手方保険会社は、交通事故から8ヶ月が経過した時点で治療費を一方的に打ち切ってしまいました。Aさんとしては、もう少し治療を続けたいという希望があり、当事務所に相談にいらっしゃいました。

 私たちは、ご依頼いただいた直後、相手方保険会社にもう少し治療費の支払いを延ばすように交渉しました。しかし、もう8ヶ月経過しているということで治療費の延長には応じませんでした。そこで、Aさんには一旦健康保険に切り替えて治療を継続してもらいました。

 それから2ヶ月ほどしてもAさんの症状にほとんど変化が見られなかったことから、主治医も交通事故から10ヶ月経過した時点で症状固定の診断をしました。

 そして、当事務所にて被害者請求で後遺障害申請をしました。しかし、残念ながら初回の申請では後遺障害等級は認められず、非該当という結果が通知されました。

 Aさんは、その間も自費で治療を続けるほど症状が残っており、非該当という結果には納得できないということで、異議申立てを行うことになりました。

 そこで、私たちは主治医に医療照会を行い、Aさんの交通事故直後から症状固定までの症状の経過などを回答書に記載してもらいました。また、症状固定後に自費で治療を続けている状況やAさんの異議申立て時点での症状についても報告書を作成して、異議申立てを行いました。

2.異議申立ての結果、14級9号が認定

 上記のように、私たちがAさんの後遺障害非該当の認定に対して異議申立てを行ったところ、異議が認められ、Aさんの頚椎捻挫後の症状について14級9号が認定されました。

 14級9号の場合には、骨折や脱臼などのいわゆる器質的損傷がXPやMRIなどの画像で証明できなくても認定されますが、受傷状況(事故状況)や症状経過等から総合的に判断されることになります。

 具体的な認定の基準は公表されていませんので、ここからは私たちの私見にはなりますが、過去の私たちの経験上は、症状固定後も自費で治療を継続している被害者の方が、症状固定時点で治療をやめた被害者の方に比べて異議申立てが認められやすい傾向があるように思います。

 交通事故の加害者側が被害者の治療費を負担しなければならないのは症状固定までで、症状固定後は相手方保険会社が治療費を負担してくれることはありません。ですから、その時点で治療をやめる方も多いですが、症状固定の診断を受けたからといって治癒する訳ではなく、症状は残ります。治療費が自己負担になったとしても治療を続けているという事情は、それだけ症状が重いという裏付けと考えられているのかもしれません。

 今回のAさんも、症状固定後も数ヶ月間自費で治療を継続しており、これが有利に働いた可能性があります。また、主治医が作成してくれた回答書にしっかりAさんの症状が残存していることが記載されていた点も異議が認められた要因になったと思います。

3.後遺障害等級と示談金の関係

 後遺障害等級が認定されるか否か、認定されるとして何級が認定されるかは、最終的な示談金の金額に大きく関わります。

 例えば、首のムチウチ(「頚椎捻挫」の診断)で治療期間が交通事故から半年くらいだった過失割合0:100の被害者の方の場合、後遺障害等級非該当(もしくは申請しなかった場合)であれば、示談金は通院慰謝料の約90万円程度となることが多いですが、14級9号の後遺障害が認定された場合には後遺障害慰謝料や逸失利益なども加わり、最終的な示談金は300万円以上になることが多いです。

 このように、後遺障害等級が認定されるかどうかは交通事故被害者の示談にとってかなり重要です。

 今回のAさんの場合は、初回の後遺障害申請も当事務所で行いましたが、相手方保険会社に初回申請を任せて(これを「事前認定」といいます)納得の行く結果にならなかった場合でも、弁護士に依頼して異議申立てをすることができます。

4.まとめ

 今回は、後遺障害非該当から異議申立てによって14級9号が認定された事例をご紹介しました。

 統計では、交通事故被害者の半数以上の方が頸椎(首)を負傷しているというデータもあり、今回のAさんと同じように首の後遺障害で困っている方も多いと思いますので、今回の記事が首の後遺障害でお困りの方の参考になれば幸いです。

 私たち優誠法律事務所では、交通事故に関するご相談は無料でお受けしております。お困りことがございましたら、是非お気軽にご相談ください。

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後遺障害認定と弁護士に依頼するメリット

神経症状の後遺障害(12級13号・14級9号)の逸失利益~労働能力喪失期間の相場~

後遺障害診断書を作成してもらえず、裁判で後遺障害等級14級9号前提で和解できた事例

整骨院・接骨院で治療すると後遺障害等級が認定されないって本当?

投稿者プロフィール

 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)

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